16歳から34歳までの18年間、競泳日本代表として活躍してきた入江 陵介さん。4大会の五輪に出場し、2012年ロンドン五輪では200メートル背泳ぎの銀メダル含め3個のメダルを獲得したトップアスリートだ。20244月に引退を表明し、新しい道を歩みはじめている。

入江さんに、仕事や人生に向き合ううえで大切にしている7つのルールを聞いた。

入江 陵介さん プロフィール

イトマン東進所属。0歳から水泳をはじめ、中学のときに種目を背泳ぎ一本に絞る。高校1年のとき、はじめての高校総体200メートル背泳ぎにおいて優勝。 2011年8月におこなわれたユニバーシアードで三冠を達成。2012年ロンドン五輪では200メートル背泳ぎの銀メダル含め3個のメダルを獲得。2016年リオ五輪出場。2020年東京五輪に出場し、4大会の五輪日本代表となり、 2022年国際大会日本代表選考会にて7大会連続の世界水泳日本代表選手となった。2024年4月に現役引退を表明。今後は水泳の普及活動に挑戦予定。

Rule.1 明確な目標を持つ

日々の仕事をしているなかで、モチベーションを保てなくなってしまった経験のある方もいるだろう。長年にわたって競技生活を続けてきた入江さんに、モチベーションを保つための方法を聞いた。

「『明確な目標を持つこと』が大事だと思います。僕自身は最近引退したことで明確な目標を持てていないため、少しダラダラした生活を送ってしまっています。あらためて目標の大切さを感じているので、フルマラソンを完走するという新しい目標を持とうと思っているところです。目標があることで、達成に向けてモチベーションが保てるのではないでしょうか」

入江さんは現役時代、モチベーションが落ちてしまったときに実践していたことがあるという。

「モチベーションが落ちたときは、クロールやバタフライなど、背泳ぎ以外の種目を練習して気持ちを切り替えていました。ビジネスパーソンの場合、仕事内容が決まっていると別の仕事をするのはなかなか難しいかもしれません。でも、仕事する場所を変えたり服装を変えたりすることで、気持ちを切り替えるきっかけになると思います」

明確な目標を持ちながら、モチベーションが落ちてしまったら気持ちを切り替える。そうすることでモチベーションを保ち、日々の仕事に向きあおう。

Rule.2 オンとオフを切り替える

誰もが抱えているストレス。ストレスを溜めすぎると、仕事や人生に大きな悪影響を及ぼしてしまう。日本代表で多くの期待を集め、大きなプレッシャーを背負ってきた入江さんは、どのようにストレスと向き合ってきたのだろうか。

「オンとオフの切り替えが大事です。2017年に拠点を移したアメリカで、オンオフの切り替えを学びました。日本だと水泳に打ち込むためのいい環境があったので、つねに水泳のことを考えられる状況でした。ただ、それだとストレスも溜まってしまいます。アメリカでは、練習が終わると遊びに行く人が多いんですよ。朝練が終わったら昼間からお酒を飲みに行く人もいました。日本では、なかなか考えられないですよね。

仕事をしているだけの生活だと、しんどくなってしまうと思います。なにかオフの楽しみを持つことで、仕事も頑張れるのではないでしょうか。僕は音楽のライブに行ったり、友だちと飲みに行ったりすることでリラックスできています。体を休めると同時に、心を休めることも大事になってくると思います」

仕事以外の時間は好きなことをし、楽しむことで体と心を休める。オンとオフを切り替えることで、好循環が生まれストレスも軽減される。

Rule.3 外の世界とつながる

キャリアアップのためには成長は欠かせない。自分の可能性を広げるため、成長したいと考えている方もいるだろう。成長を続けてきた入江さんは、どのようなことを実践してきたのだろうか。仕事の成長だけではなく、人としての成長が大事だと入江さんは話してくれた。

「成長にもいろいろありますが、『人としての成長』が大事です。僕はアメリカに行って人としての部分が成長したと思っています。ずっと同じ会社にいると、そこの世界だけの成長と向き合ってしまうのではないでしょうか。外に出て、いろいろな人と接することでしか成長できないこともあると思います。

僕自身、プライベートでは他業界の方と一緒にいることが多いです。別に水泳界の方たちと仲が悪いわけではなく、飲みに行くこともあるのですが、いろいろな人と会って考えを聞くことが大事だと思っています」

ビジネスパーソンの場合、社外の勉強会や交流会などに参加することで外の世界とつながれる。外の世界とつながることで、日常の業務では得られない成長機会が生まれるだろう。

Rule.4 100パーセントの力を出せるようにしっかりと準備をする

仕事をしていると、大事な商談や重要な会議でのプレゼンテーションなど、プレッシャーのかかる場面も多い。日本代表として、大きなプレッシャーを背負ってきた入江さんは、どのようにプレッシャーを乗り越えてきたのだろう。

「プレッシャーは絶対にかかるものです。でもそれは、それだけ自分が真剣に取り組んでいる証拠だと思います。プレッシャーがかかって緊張するのは、自然なことです。

僕は準備をしっかりとして、100パーセントの力を出せるように集中をしていました。いい練習やいい準備をしておくことで、自信がついてプレッシャーを乗り越えられるのではないでしょうか」

入江さんは冬場の練習で1日に14キロも泳いでいた。それを週に5回もおこなう。練習量が自信を生んでプレッシャーを乗り越えられる。ビジネスパーソンも大事な商談や重要な会議の前には、予行練習を納得できるまでおこない本番に臨むことが大事になる。

Rule.5 調子が悪くても諦めず、もがく

調子の波は誰にでもあるもの。病気で体調の悪いときは休んだほうがいいが、やる気が出ないという理由だけでは休めないときもある。そんな調子の悪いときでも仕事で結果を出すためにはどうすればいいのか、入江さんに聞いた。

365日、ずっと調子のいい人ってたぶんいないので、いまの調子のなかでどれだけいい結果を残せるかが大事だと思います。その落差を激しくしないようにしたいところです。調子が悪いからといってすべてを諦めてしまうと、諦める癖がついてしまうと思います。調子の悪いなかでの100パーセントを出せるようにもがくことが大事です。調子が悪くても最後までもがいて頑張っていれば、周りの人も可能性を感じてくれると思います」

調子が悪いからといって諦めて仕事を投げ出してしまうような人に、大事な仕事は任せられない。調子が悪いなかでの100パーセントを出せるようにもがくことで、周りからの信頼も得られるはずだ。

Rule.6 人との縁を大切にする

仕事においては運も大事な要素だ。仕事で成功している人の話を聞くと、「運がよかった」と答える人は多い。「運も実力のうち」という言葉もある。どうすれば運がよくなるのだろうか。入江さんは「縁」が大切だと話してくれた。

「運を引き寄せるには、人との『縁』が大切だと思っています。先ほどお話しした内容とも近いのですが、縁をつなぐためには、いろいろな人と会うことが大事です。同じ世界にいる人とだけ接していると、新しい縁もつながりません。会社以外の人とも積極的に会うことは必要だと思います。そのときには、楽しく接することが大事です。楽しくないのに無理に会っていると相手にも伝わりますし、自分も疲れてしまいます。

あと、礼儀も大事です。日本代表チームでも『あいさつはちゃんとしよう』と口うるさいくらいに伝えていました。あいさつではじまりあいさつで終わると思っていて、そこは大事にしています」

いろいろな人と会って縁をつなぐ。その際には礼儀を忘れず、楽しく誠実に相手と向き合う。そうすることで、運もよくなっていくのかもしれない。

Rule.7 居心地のいい人と過ごす時間を長く取る

職場の人間関係に悩んでいる方は多いはず。仕事を辞める理由に人間関係を挙げる人も少なくない。入江さんはどのようにして人間関係を構築しているのだろうか。

「すごく難しいですよね。仕事に限らず、人生を送るうえでは相性の悪い人と過ごさなければならない場面もあります。相性の悪い人との相性がよくなればいいのですが、ずっと悪いままな可能性もあります。その場合、一緒にいて心地いい人と過ごすことが大事です。仲間や自分を大事に思ってくれる人がいれば、しんどいことでも乗り越えられると思います。自分にとって心地のいい時間を多くつくることで、総合的に人間関係がうまくいくのかなと思います」

職場では世代の違いによって生まれるギャップもある。若者とベテランはどのように人間関係を構築していけばいいのだろうか。さまざまな世代が集まる日本代表で主将を務めた入江さんは、それぞれの頑張りが必要だと語る。

「日本代表には高校生や大学生といった若い世代の方たちもいます。僕は去年まで日本代表の主将も務めさせてもらっていて、チームをまとめる役割でした。それこそ高校生の恋愛相談に乗ることもありましたよ。若い人たちとの話題についていけるように、最近の音楽やアプリについて勉強することもありました。

一方の若い人は、どんどん先輩に頼ったほうがいいと思います。先輩としては、頼られて嫌な気持ちはしません。お互いに積極的にコミュニケーションを取りにいってほしいですね」

トップアスリートとして、長年にわたって日本代表で活躍し続けてきた入江さんのルールは、多くの方たちの参考になるはずだ。ぜひ、仕事や人生を充実させるための参考にしていただきたい。

(ヘアメイク:青田真由美、取材/文:川崎博則、撮影:渡会春加、衣装協力:ZEGNA

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― presented by paiza

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