あなたが最後に直筆で手紙を書いたのはいつですか?
告白もお別れも、バイトの退職もLINEで済ますなんていう話が、もはや驚く話ではなくなりました。直筆でものを書くことも、どんどん減る一方。
個人的には、脳梗塞の後遺症で利き腕側に軽い麻痺があったりして、ホントに手書きの者を避けて回っています。書くとしても、ちょっとした書類や宅配便のサインぐらいです(関連記事:2度の脳梗塞で強制リセット、現実的な「社会復帰」を模索した15年)。
そんな状況にあっても、手紙を介したラブストーリー映画は世代や舞台の設定を巧みに作り上げて、それなりの本数が公開されています。
今回は、よりSNS時代に近しいここ数年の邦画から3本をご紹介します。
目次
『交換ウソ日記』
夏にぴったりな爽やか青春ラブストーリーの最新作といえるでしょう、2023年7月7日に公開された『交換ウソ日記』。
主演は「仮面ライダーゼロワン」で主演した後、ドラマ「最愛」(2021/TBS系列)や「君の花になる」(2022/TBS系列)などなど、話題になったドラマに出演し、着々とキャリアを積み上げている高橋文哉。相手役は子役からキャリアを積み上げ、昨年の「silent」(2022/フジテレビ系列)で目黒蓮の妹役を好演した桜田ひよりです。
共演に、14代目ゼクシィガールの茅島みずきや、恋愛リアリティ番組で注目を浴びた曽田陵介などなど、この先々、顔と名前を覚えておいたほうがいい若手キャストが揃っています。
『交換ウソ日記』のタイトル通り、メインカップルのちょっとした誤解から端を発する手紙のやり取りが逆に新鮮です。高校生というSNSに手を付け始めた世代ということと、やり取りがスタートする設定の巧さで、手紙のやり取りを成り立たせています。またクライマックスでも“手書き”という部分が巧みに使われているので、注目です。
『恋は光』
昨年公開の“文科系哲学恋愛映画”が『恋は光』。
“恋をしている女性から発せられる光”を視ることができる主人公が、三人の女性との間で“恋とは何か?”に煩悶する一作です。
主演は、国宝級イケメンランキングにも入った神尾楓珠。彼を囲む3人のヒロインが、元乃木坂46の西野七瀬、子役からキャリアを積んでいる平祐奈、モグラ女子の代表格の馬場ふみかという並びで、この4人そろってヨコハマ映画祭で最優秀新人賞を受賞しました。
主人公の西条は出版社で働いて学費を稼ぎ、大学生になってからも文章校正のバイトをするという、今となってはちょっと“古風過ぎる文学青年”です。ところが、そんな彼が惹かれた東雲さんも、テレビもPCもほとんど触れないという浮世離れした女子大生で……といったところから、物語が動き始めます。
原作もありますが、映画はオリジナルの結末となっています。
『ラストレター』(&『チィファの手紙』&『Love Letter』)
「日本映画界を代表するラブストーリーの担い手といえば岩井俊二だ!」という世代の人もいるのではないでしょうか?
そのものずばりのタイトル、1995年『Love Letter』はアジア圏でもヒットして、韓国や台湾では映画の舞台の一つとなった北海道・小樽が観光地化(今でいう聖地巡礼)しました。
そんな岩井俊二が2020年に“セルフアンサー”のような形で作った映画が『ラストレター』。現代パートと過去パートを行き来する映画で、その二つの時代にさまざまな“手紙”のやり取りが描かれます。
福山雅治、松たか子、神木隆之介、広瀬すず、森七菜などに加えて『Love Letter』の主演コンビである中山美穂と豊川悦司も出演しています。同じ原作をもとに中国で先行して『チィファの手紙』も作られていて、こちらも岩井俊二がメガホンを取っています。
これらの映画以外にも、台湾映画を宮藤官九郎脚本でリメイクした『1秒先の彼』も“私書箱”が重要なアイテムとして登場します。メールも書かなくなりつつある中で、たまには手書きの手紙を書いてみようかなと思ったりもします。相手がいるかどうかはまた別の話ですが……。
(文:村松健太郎)