映画ソムリエの東紗友美です。
試写会などで毎月多くの新作映画を鑑賞させていただいている私が「今観るべき話題作」や「オススメ作品」や「絶対に外せない映画」をご紹介させていただきます。今週は『名探偵コナン』もあります!
目次
名探偵コナン 黒鉄の魚影(くろがねのサブマリン)(4月14日公開)
このような人にオススメ!:
推理モノが好きな人、かっこいい・かわいいキャラにトキメキたい人
青山剛昌の人気コミックを原作とするアニメの劇場版第26弾です。今回の映画の舞台は東京都・八丈島です。八丈島の近海に世界各国の名エンジニアが集まる中、江戸川コナンたちに黒ずくめの組織の足音が忍び寄ります。
そう、今年のコナンは「エンジニアが誘拐される」話なので、Tech Team Journalの読者であるエンジニアの方々は、どこか当事者意識を持てるのではないでしょうか。
名探偵コナンの好きなキャラクターランキングで常に上位に位置する”哀ちゃん”こと灰原哀がポスターに大きく写っていることで、彼女の正体がついにバレてしまうのかとファンの方で既に話題になっている本作。
1997年に公開された「劇場版名探偵コナン 時計じかけの摩天楼」からもう数年で30作となるコナンですが、ここ数年は体感として毎年”歴代最高傑作”をたたき出している印象です。今回の作品、私も一足お先に見させてもらいましたが、結論から言うと最高です。
コナン&FBI&警察 VS 黒ずくめの組織という図式からしても瞬きする時間はほぼありませんし、絡んでくる組織も多いので、セリフのすベてに緊張感が張り詰めているのが特徴。キャラクター多く出てきますが、コナンくんの映画シリーズでは一瞬にしてすべて把握できる復習・おさらいシーンを冒頭に準備してくれているので予習は必要ありません。全キャラ把握など必要ないです。そして、体感としては15分に一度、山場がくるような、ハイライトだらけで構成された作品に痺れます。
名探偵コナンシリーズの魅力といえば、小学生の見た目のコナンくんが実は高校生の天才探偵・工藤新一であるという斬新な設定が生み出す人間ドラマ、綿密なトリックや推理ものとしてのレベルの高さ、キャラクターそれぞれの魅力、そして”胸キュン要素”も外せませんよね。
謎解きのドキドキと恋愛要素のドキドキ、ダブルの要素で胸を揺さぶるからこそ男女ともに人気が高いとも言えるのですが今回の作品がもたらしてくれる胸キュンレベルは過去最高値くらいの体感です。
試写室で私は心の声で何度も発狂しました。十分なトキメキを供給してくれる作品という点もお楽しみに!
ストーリーにも”現代的な題材”が組み込まれていた点も映画作りとして評価できますし、今回の推理は真剣にスクリーンを見続けたらもしかしたら犯人を推理できる人が案外いるかもしれません…!
最後に、注目の黒ずくめの組織の暗躍ぶりは今回も非常に残酷でぶっとんでいて正直イカレています…。
しかし、だからこそコナンくんの持つ正義感がよりいっそう際立ちエモーショナルに仕上がっていて感動ひとしお。乞うご期待です。
サーチ2(4月14日公開)
このような人にオススメ!:
デジタルデバイスで全シーン展開!インターネットの技術革新の現在地を体感したい人
全シーンがpc画面上で展開されたことでその斬新な映像手法が公開当時話題となった「search」(2018)に、ついに続編が登場! 個別の話になっていますので、前作は観ていなくても十分に理解できますのでご安心くださいね。
前作では突如いなくなってしまった女子高生の父親が使い慣れないSNSなどを駆使しながら娘を探すというお話だったため、どこか辿々しい瞬間もありましたが、今回の新作ではデジタルデバイスを駆使して、デジタルネイティブすぎる10代の女子高生が失踪した母親を探します。ロサンゼルスから遠く離れた場所で行方不明になった母を探す高校生の娘ジューンは、検索サイト、代行サービス、SNS…使い慣れたサイトやアプリを駆使し、捜索を試みる。当初は簡単に見つかると思っていたのですが物語は予期せぬ展開を迎えていきます。
おそらく幼少期からPCやスマホに触れていきたとも言える世代を主人公にしたことで前作よりも展開が体感的には10倍ほど速いです。SNSも世界中のネットサービスも一瞬にして使いこなすので、物語はよりスピード感を増し、同時にスリリング具合もヒートアップ!誰とどのようなやりとりをしているか…など全画面に伏線がてんこ盛りですので、最大限の集中力で楽しんで一緒にジューンの母を探しに挑戦してみて下さい。
「手持ちのデジタルデバイスでこのようなことまでできるんだ!」というITの進化の現在地にも触れられます。
エンタメ要素てんこ盛りの世界一面白いパソコン教室的な側面もある映画です。
映画館のスクリーンが世界で1番大きなパソコン画面に変化する、そのような唯一無二の体験をどうぞ!
世界の終わりから(4月7日より公開中)

このような人にオススメ!:
唯一無二の映像世界観を堪能!感性を刺激したい人へ
『CASSHERN』で監督デビュー以降『GOEMON』ハリウッド映画『ラスト・ナイツ』などを手掛けてきた紀里谷和明監督が、”絶望”をテーマにこれが最後の作品となると公言して世に放った話題の映画です。
ある種、遺作とも言える監督作品で、作品のジャンル的にも終末モノともいえますが、最初から最後まで全編にわたって表現者の魂の叫びを浴びているようで、鑑賞後にはとにかく感性が刺激されているはず。
これまでのこの紀里谷監督の作品は男性が主人公でしたが、今回はどこにも居場所を見つけられなかった女子高生・ハナが未来を変えるために奔走する姿を唯一無二の映像が織りなす世界観で描いた”世界を救うため奔走する一人の女子の物語”になっているのが印象的です。主人公は私たちの住む現代ともう一つの夢の中の世界、そのふたつの世界を行き来するのですが、その往来する様子は突き抜けた映像世界で誰も見たことのない物語になっていると言えるでしょう。
抗えない自然災害や終わらない戦争、未知のウイルス、格差に貧困、環境破壊。私たちの暮らす地球は終わりに進んでいるようにも見えますよね。しかし、このような世界で現代の私たちに必要なものはほんとうは何なのか……それをひたすらに考えさせられます。
そして、同時に「このような世界でも、絶対に終わってほしくない」と、この現実社会を少しだけ好きになってみようと思わせてくれるような映画になっているので実に意義深い時間を過ごせるようになっています。目よりも、耳よりも、心をつかって視る映画です。

主人公のハナを演じるのは、NHKドラマ「おかえりモネ」や映画『空白』『さがす』など話題作に出演する伊東蒼。一度みたらその顔を忘れられない俳優と名高い彼女ですが、とにかく彼女の存在感がすごく良いのです。佇まいも声も、何かを諦めているようにも見えるそのアンニュイな表情もこの作品に彼女が出ているだけで「この作品は観よう!」と私は秘かに心に決めている俳優です。
この機会にこの名前をチェックしてみてください。
(文:映画ソムリエ 東紗友美)