「簡単で使いやすく信頼できる」ソフトウェアを提供し続ける弥生株式会社。弥生シリーズを筆頭とした数多くの製品は、簡単で使いやすく信頼性の高いソフトウェアとして、多くの企業や個人事業主から高評価を得ている。今回はPRチーム の小山早紀子さんと庄村優璃さんに、その背後にある思いや取り組みについて聞いた。なぜ弥生シリーズが30年以上に渡り愛されて続けているのか、その秘密に迫る。

企業の成長に寄り添う「事業コンシェルジュ」を目指して

ーーご自身の業務内容と、現在のポジションに至る経歴を教えていただけますか?

小山: 私は、2015年に弥生に新卒で入社しました。最初は営業部に配属になりまして、家電量販店やECサイトの営業を担当していました。家電量販店やECサイトと折衝して、販売戦略などを提案していました。

ーー新卒での就活のとき、なぜ弥生を選んだのですか?

小山: 中小企業向けのITサービスを提供する会社に惹かれていたんです。日本の企業のうち、9割以上を占めているのは中小企業なんですよね。その支援に貢献したいと漠然と思っているうちに、ITサービスが中小企業の成功に欠かせない要素だと気がつきました。

入社を決めた一因として、アルバイト先が弥生のユーザーだったことも大きな理由です。弊社の事例にも掲載されているのですが、地元の農業を支援する夢を持つ方が起業した会社です。その会社で、弥生のプロダクトが使われていて、身近なところで弥生のサービスがスモールビジネスを支援していることを知りました。

ーー 弥生のプロダクトの認知度の高さが伺えるエピソードですね。庄村さんはいかがでしょうか?

庄村: 私は中途入社で弥生に入りました。現在は広報を担当していますが、以前携わっていたのは人事の分野なんです。人材紹介エージェントや採用担当として経験を積み、その後弥生に転職。採用担当を経て、広報に異動になりました。

ーー キャリアの方向を変えられたのはどうしてですか?

庄村:企業を支えるという観点で、これからの時代は情報が重要だと感じたんです。4大経営資源として「ヒト・モノ・金・情報」が挙げられますが、現実的には人材採用はコストで実現が難しい。営業活動の中で、人材の提案って最初はご興味をお持ちいただけるものの、採用Feeのご説明をすると難色を示されるケースも多かったんです。人材は解決策として有効でも、中小企業だったりスタートアップのような資金が潤沢にあるとは言えない状況では無理だったりするんですよね。

ーー 百万単位のお金が動くケースも珍しくないですし。

庄村:そうですね。でも一方で、システムであればもう少し柔軟性があるかもしれないと思ったんです。人材のマッチングはスキルだけでなく社風のマッチなども必要で難しいけれど、ソフトウェアは金額に対するスキル(機能)がはっきりしているので「比較的導入しやすいのでは」と感じました。あとは私も彼女と同じく、弥生会計の名前を過去の仕事の中で耳にしていて。人材エージェントのときは、担当する経理職の方の履歴書に「弥生会計が使えます」とかなりの確率で書かれていました。

ーーそれでは、プロダクトについて詳しく教えていただけますか?

小山: 当社の主力は、企業のバックオフィス業務を支えるプロダクトです。具体的には、会計業務、給与計算業務、販売管理、 請求書作成、顧客管理などのプロダクトを提供しています。

ーーありがとうございます。合わせて、ユーザーターゲットを教えてください

小山:  中小企業の中でも、個人事業主や20人以下の中小企業が主なターゲットです。いわゆるスモールビジネスの領域ですね。

庄村: さらにいうなら、スモールビジネスというカテゴリの中でも、弥生は特に小さな企業にフォーカスしてます。競合他社でも、スモールビジネスに着目している企業って多いんです。ただ、私たちはさらに小さな事業者をサポートしようとしていて。それが、個人事業主や20人以下の中小企業というわけです。

ーー なるほど。ホームページの「事業コンシェルジュ」という言葉が印象的でした

小山: 弥生は主に会計ソフトウェアの会社として認識されがちですが、単にソフトウェアを提供することが目的ではないんです。先ほどお話ししたように、私たちはスモールビジネスを支える企業を目指しています。そのためには、起業から成長、事業承継など、さまざまなステップで支援が必要だと考えています。だから、「事業コンシェルジュ」という言葉を使っています。

ーー事業コンシェルジュとしての意識が特に強く反映されているサービスやプロダクトにおける具体例はありますか?

小山: ユーザーとの接点でもあるカスタマーセンターの在り方ですかね。弥生には、業界最大規模のカスタマーセンターが札幌と大阪にあります。一般的なカスタマーサポートはソフトウェアの操作に関するものがほとんどですが、私たちのカスタマーサポートは法令対応のご相談や、帳簿の仕訳方法など、ソフトウェア以外の相談も受け付けています。この点に、ソフトウェア会社としてだけでなく、事業コンシェルジュとしての自負が表れているように思いますね。

「弥生会計」と企業イメージの結びつきがもたらす影響

ーー過去の企業noteでは、プロダクト名が強調され、“会計ソフトだけの会社”と誤解される場合があると書かれていました。これについては払拭されましたか?

小山: 以前に比べて、変わりつつあると思います。とはいえ、認知度の高いソフトの名前を超えて企業全体の姿を完全に伝える難しさは、まだまだ痛感しているところです。

庄村: ただ、製品名が企業イメージに結びついているのは悪い面だけじゃないんです。「弥生会計の会社ですね」と認知いただけているというメリットもあります。その上で、広報として「弥生会計」以外のプロダクトや事業もある点がもっと認識されると嬉しいと考えています。弥生が多くの企業を支援していること、そして事業の背景にある想いをもっと知ってほしいですね。

ーーそれこそ、noteを通した広報活動では、新卒の研修なども含め、企業の雰囲気をオープンに紹介していますよね。

小山: そうですね。 ソフトの会社というイメージからか「スーツ姿でメガネの人ばかり」と思われてしまう側面もあって。だからこそ、私たちは“等身大の私たちを見せる”というコンセプトでnoteを通じて、社内の「人」や「カルチャー」も公開しています。

ーー実際の社風はどう感じますか?

庄村: かなりオープンだと思います。会計ソフトは厳密な正確性が求められる製品ですが、一方の社員たちはかなりカジュアルな雰囲気があるというか。基本的に皆真面目ですが、話してみると、お茶目だったりチャーミングな面を持っている人が多い印象ですね。

ーー優秀な社員として活躍している方はどのような人が多いですか?

庄村:私が見ている限り、 自分から提案できる人がどの部署でも活躍している気がします。 「なぜこのようになっているのか」「どうすればもっと良くなるのか」という課題感を持って、課題解決のために行動する人は活躍できているような気がしますね。

ーー 小山さんはいかがでしょう?

小山: やりたいことを後押ししてくれる雰囲気があるので、周りを巻き込みながら成長できる人が活躍している印象があります。手前味噌ではありますが、ユーザー数で言うと300万を超えた影響力のあるプロダクトを持つ会社なので、カスタマーセンターや他の部署とコミュニケーションを取りながら推進している人が前に出て活躍しているのは確かです。

ーー他の部署が何をしているかを把握できる環境にあるのでしょうか?

庄村:経営会議の資料も含め、多くの情報がオープンにされています。Slackでの情報共有も盛んな会社風土があるので、いかに自分で情報をキャッチアップするかが活躍の鍵になると思います。

製品は、作って、提供して、使っていただき、その反応をもとに改善していくサイクルがずっと続いていくんです。たとえば同じ会社内でも、エンジニアたちはユーザーの声を取り入れた製品を開発し 、マーケティングは製品のコンセプトを理解して、ユーザーへ正確に伝える必要があります。実際にユーザーの声を受け取るカスタマーセンターは、それを受け取るだけじゃなくて、改良につなげるフィードバックとして社内へ提案していかないといけないわけです。どのチームにいても、全体の流れを把握するのは大事だと思いますね。

ーー最後に、これから広報として目指していきたい目標やビジョンを教えてください。

小山: 基本的に、スモールビジネスのバックオフィス業務をサポートする姿を伝えていく軸は変わりません。ただ、当社は30年以上前に設立されたため、当時に比べると技術の流れやトレンドは変わっています。例えば先日、 ITサービス各社とAPI連携開始を発表 したように、サービス同士がシームレスに連携することで、お客様の業務効率化に注力しています。広報という仕事を通じて、そういう新しい取り組みやプロジェクトの情報も広く発信していきたいですね。

庄村: 弥生に限らず、業務ソフトは一定の完成形があるプロダクトです。競合他社であっても、会計ルール(法律)に基づいた計算式が異なることはありえません。だからこそ“弥生らしさ”を持つには、スモールビジネスの皆様により価値を感じていただけるプラスアルファをどれだけ極めていけるかにかかっていると思います。製品機能をおすすめするだけでなく、事務作業の煩雑さに囚われずに本業へ集中できるといった、我々の目指す世界感を継続的にお伝えしていきたいです。

株式会社弥生
https://www.yayoi-kk.co.jp/

(取材・文:すなくじら、撮影:川島大雅

presented by paiza

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