一般社団法人ジュニアプログラミング推進機構が主催する、「全国小学生プログラミング大会 ゼロワングランドスラム」。全国よりエントリーのあった約1000名の小学生のプログラマが、プログラミングの知識やスキルを駆使して、頂点を競う大規模な大会です。
今回は、2023年10月15日(日)開催された2回戦(東日本ブロック大会)の決勝戦進出者である、6名2チームに、大会の感想やプログラミングへの思い、意気込みを語ってもらいました。小学3年生から小学6年生までの、キッズプログラマの熱意をお楽しみください。
目次
慣れない環境で集中しながら勝ち取った決勝戦進出
白熱した2回戦(東日本ブロック大会)の勝者である6名。チームワーク豊かに高得点をあげて決勝戦に進出となりました。どんな気持ちで、競技やチームワークを高めていったのでしょうか。まずは1位通過チーム(Fチーム)の3名である樋野友晴さんと、竹村葉太さん、塚原和真さんにお話を聞いてみました。
――あっというまに課題を進めていきましたが、みなさん簡単でしたか?
1位通過チーム(Fチーム):そんなことはなかったです。結構課題が難しかったです。やっぱり、たくさんの人が見ている中でやるのは緊張します。普段家では静かな環境でプログラミングをするけれど、今日みたいな大きな場所だったり、ざわざわした環境で集中するのは難しいです。(競技中は防音対策で)ヘッドフォンをつけてはいたけれど、思ったよりも周囲の雑音は入ってきました。なので、やっぱりいつもとは違う環境です。
――今日は競技だったけれど、普段は友達同士で対戦するのですか?
1位通過チーム(Fチーム):普段は競技のようなことはしないです。一人でプログラミング作品を作って、それを誰かに見せ合いっこをするような感じです。学校の授業でもプログラミングはあるのですが、友だち同士で休み時間に対戦したりするのは禁止されているから、誰かとともにすることができないんですよ。(一方で友だちと対戦することができるという子もいました)
――3人は事前に顔を合わせているとはいえ実際に会うのは今日が初めてです。どうやってお互いに協力しようと思いましたか?
1位通過チーム(Fチーム):事前のオンラインでのあいさつのときにお互いに話して、それぞれの得意分野をなんとなく気にしていました。それで当日になって、お互いの特技を生かそうと思いました。
――ちなみにそれぞれが得意と思う競技はなんですか?
1位通過チーム(Fチーム):ロボット! Scratch! Scratch!(と見事に3人答えが割れる)
――事前に顔を合わせたといっても、いきなり協力できるものですか? 驚きました。
1位通過チーム(Fチーム):う〜ん、そこは特に迷うことはなかったです。やっぱり好きなことが同じだから喧嘩とかはしないと思います。
淡々とフラットにこなす2位通過チーム
一方の2位通過チームはどのような思いを持って大会に臨んでいたのでしょうか。2位通過チーム(Bチーム)の3名である浅原拓己さん、平川史歩さん、望月陽斗さんにもお話を聞いてみました。
――半日かけての競技でしたが、疲れました?
2位通過チーム(Bチーム):そうでもなかったです。応援している時間も楽しかったです!
――今日の課題は、難しかったですか?それとも簡単でしたか?
2位通過チーム(Bチーム):
平川さん:自分の競技は意外と簡単でした。
浅原さん:ロボットをおく位置を間違えたけど、そこが直ったら意外とそんなに問題なかったです。
望月さん:自分は普通だと思った。
――今日3人初めて一緒に協力して競技しましたが、緊張しましたか?
2位通過チーム(Bチーム):意外とそうでもなかったです。初めは話せなかったけれど、競技が始まったら急に話が弾むようになりました。
3人ともとても淡々と答えてくれる、頼もしさ溢れたインタビューでした。
学校教育を飛び越えて自主的に学習にのめり込む
ところで、ここまで勝ち進んだ選手たちを見ていると、いかに研鑽を積んできたのかとても気になるものです。1位通過・2位通過チームに、普段からどんなプログラミング学習をしているか聞いてみると、意外にも「独学」という声が聞こえてきたことに、筆者は驚きました。
具体的には、「チュートリアル本を買ってもらって独学」という子どもたちが多く、中には「ロボットだけは教室に通っている」「Scratchだけは通っている」というように分野を絞って教室に通っているという選手も。
それぞれ、「学校の授業でもあるけれど物足りなくて、もっと自分で深めていきたいと思った」という意欲的な気持ちを語ってくれました。
さぞ熱心に学習しているのかと思いきや、費やす時間は1日1時間程度だそう。本当は時間があればずっとやりたいけれど、他の習い事や学校の宿題などとのバランスをとりながら日々努力しているそうです。
気になるのは大会参加の動機ですが、多くの子どもたちは「新聞の広告を見て、お父さんやお母さんが勧めてくれた」のだとか。
「面白そうだから大会に出てみたかった」「腕試しをしてみたかった」「大会という経験をしてみたかった」と、その好奇心を家族から後押ししてもらい臨んでいるようです。
好きの力を伸ばして 将来目指すはプログラマ
大会に臨むほど夢中になる選手たち。どんなところが楽しいのでしょうか。話を聞いてみると、「自分の思い通りにロボットが動くとき」「失敗したら悔しいけれど、自分が作ったゲームをあとで見返すとき」が楽しいのだとか。
「自分が思い描いていたことが形になる」ことが魅力的なのでしょう。
実際に大会に出てみて、口々に面白かったと語る選手たち。というのも他にはこういう大会はあまりないそう。ロボット専門やScratch専門といった大会は存在するものの、複数競技が集う総合的な大会はゼロワングランドスラムぐらいしかないとのこと。オールマイティな競技が揃い、友だちと協力していくことも、また刺激的なのかもしれません。
こうした参加者の声に対して、本大会を運営している一般社団法人ジュニアプログラミング推進機構は、大会について次のような思いを話してくれました。
「まずはゼロワングランドスラムが、プログラミングが好き、興味があるすべての小学生がチャレンジしたくなる大会でありたいと願っています。その上で、今後はスポーツや勉強のように、努力やがんばりの成果が発揮できる場所として、どんどん大きく成長させていくのが目標です」
選手の親御さんたちは「プログラミングいいんじゃない」と子どもたちをあたたかく見守ってくれたり、コンテスト前はより熱を込めて応援してくれるそう。今やプログラミングは子どもたちにとっても必須の学習プログラムになったことがうかがえます。
全国からエントリーしてくれたすべての参加選手は、もちろんこれからもプログラミングを続けていくのだと思います。
今回インタビューを受けてくれたメンバーに将来やってみたいこと、なりたいことについて聞いてみると、やはり「プログラマ」と口々に答えてくれました。ゼロワングランドスラムとしても、選手たちの将来の夢につながるようなプログラムを検討中。
プログラミングに取り組む小学生と、協賛企業をはじめとしたプログラミングの学びを応援する企業とのコラボレーションを実現できるようなプロジェクトも始動しているそうです。
社会との接点をもつことができれば、より小学生たちの興味関心、実践力がアップし、ますますプログラミングに取り組みたいと思うことでしょう。
子どもたちの描く未来は、「プログラミングを使った仕事をしたい」「ゲームとかアニメを作りたい」「無人ロボットやドローンを作ってみたい」といった夢あふれる答えから、「パソコンの中のシステムを作ってみたい」「分析データを作りたい」といった現実的な答えまでさまざま。見据える未来は本格的です。
競技を通して、自ら好きなことを学習し、伸ばしていくという姿勢。その素晴らしさを、インタビューを通じて実感できました。
■全国小学生プログラミング大会 ゼロワングランドスラム
決勝戦は11月26日(日)@池袋・サンシャインシティ 噴水広場(アルパB1)(東京都豊島区)にて開催
■ゼロワングランドスラム公式ホームページ
■ゼロワングランドスラム公式SNS
公式X:https://twitter.com/01_grandslam
公式YouTube:https://www.youtube.com/@user-tr3jw6dm8m