コロナ禍にリモートワークが定着したと思いきや、2024年に入り全世界的に出社回帰の流れが生まれています。フル出社までいかずとも週や月あたりの出社回数を定めている企業もあります。

今回は、「ITエンジニアの働き方」について御三方に徹底的に話し合っていただきました。各企業の事例として参考になると思いますし、みなさん自身の働き方の最適解、理想を導き出すきっかけにもなれば幸いです。

この座談会の参加者
・タイミー VPoE 赤澤剛 氏
・エムスリー VPoE 河合俊典 氏
・ログラス CTO(取材時 VPoE) 伊藤博志 氏

また、モデレーターとして、タイミー DevRelの河又涼氏とpaiza メディア編集長の柳下修平も参加し、テーマならではということでZoomにて座談会を行いました。

※誰かが目を閉じていたり、ブレていたりはご愛嬌です。

リモートワークを継続しつつ「出社推奨日」をつくるなどの工夫も

ーーまずは各社のテックチームにおける、リモートと出社のバランスについてお聞かせください。

ログラス 伊藤:ログラスでは全社で週2回出社が必須のハイブリット型出社です。、これはカルチャーを”つくる”フェーズの現在において、オフラインのコミュニケーションが重要であるという経営方針で決定しました。毎週金曜日を全社出社日としていて、ビジネスサイドもプロダクトサイドも一堂に会します。そこでは経営陣から直接事業やプロダクトの開発進捗の他、全社に向けてのメッセージを発信しています。もう1日はチームごとに出社日を設定し、ミーティングやランチなど、コミュニケーションする機会を作っています。

タイミー 赤澤:プロダクト開発組織ではフルリモート体制を継続していますが、これはコロナ前から変わっていないポリシーです。我々の提供しているサービス自体が、「働く場所や時間の制約を受けない」という考えを掲げていますので。自分達自身もさまざまな場所で働ける状況を作って強いチームにするために、コロナ禍より以前からリモートを推進してきました。

ちなみに現実的な側面としては、物理的なオフィスの広さに対して組織が急拡大しているため、プロダクト開発に携わるメンバーよりも事業やセールスのメンバーを優先してオフラインで働きやすい状況にするという点もあります(笑)。。

エムスリー 河合:弊社はリモートを導入した後に、2フロアあったオフィスを1フロア削っています。現在はほとんどリモートです。ほとんどというのは、エンジニアに限らず毎月2回は出社を推奨しているからです。エンジニア組織としてはいろいろな働き方を認めていて、福岡や京都、大阪などの遠方に住んでいるメンバーもいるため、かなり柔軟な形でリモートワークを継続しています。

「チームで集まってミーティングをするためだったり、リリース後の打ち上げをするなど理由をつけて月2回は来よう」といった感じです。基本的には各々の自主性に任せています。

ーータイミーはフルリモートとのことですが、居住地も自由なのでしょうか。

タイミー 赤澤:自由です。ただ期のキックオフなど重要な全体ミーティングなどの日は、しっかり現地に集まれる状況を作って、極力ハイブリッドの形はとらないようにしています。もちろん個々の事情で来られない人のためにオンライン接続もしますが、基本的には全員現地で参加するか、全員オンラインで参加するかのどちらかに寄せることを意識しています。

ハイブリッドを否定するわけではありませんが、ときどき非対称性が生じてしまいますよね。オフィスで話が進んでいくのを遠くから見て、「リモート参加の方、何かありますか」と聞いても「大丈夫です、あとでSlackに書きます」となったりして。そういうことがないように、オンラインと出社の両方を使うけど、場としては可能な限り混ざらないようにしています。

ーーログラスでは、みなさん関東近郊にお住まいなんですか。

ログラス 伊藤:そうですね、基本は関東近郊にいます。ログラスでは、全社を挙げて本気でカルチャーの醸成にコミットしているので、同じ場の共有を大事にしているんです。たとえば採用でも、みんなでリファラルをするために一か所に集まってスカウトをします。その場の空気感が重要で、ほかのチームの人たちも近くを通るとその様子が目に入って「頑張っているな」と感じられますから。

ーーコロナ禍から現在までの間で、働き方に関する変化はありましたか。

ログラス 伊藤:コロナ禍の当時はリモートだったと聞いています。私が入社したのは2022年10月ですが、その前後で出社が解禁され、週2出社となりました。
2024年3月にオフィスが移転してからは、フリースペースや会議室が増え、全社的にコミュニケーションが活性化しているように思います。

タイミー 赤澤:タイミーはコロナ前からリモートを導入していますが、明確な基準はありません。フルリモートでもよいですし、出社しての勤務も歓迎しています。コロナ禍で受けた影響は、リモートでの生産性向上に向けて明確に舵を切ったことですね。たとえば、勤務に必要な備品をすべて自宅にレンタルできるサービス「リモートHQ」を導入しています。デスクやモニター、チェアなど自分自身が快適に働くための備品を借りられます。

エムスリー 河合:コロナ禍前は全員が出社していましたね。現在はオフィスのスペースが十分ではないのでフリーアドレスとなっていますが、以前は一人一席ありました。一部の社員は医療機関に出入りすることもあって、コロナ禍では早い段階でリモートワークを導入しました。その結果生産性も高まったので、このままの働き方でいこうという意思決定をしたと聞いています。現在はオフィスのスペースも削減しましたし、しばらくはこのままかと思います。

ーーエンジニア以外の部署でも、同じような働き方をされているのでしょうか。

ログラス 伊藤:部署ごとに違いはなく、同じポリシーでやっています。ただビジネスサイドは時期やフェーズによって、週2回よりも多く出社している部署もあります。

タイミー 赤澤:限られたオフィスのスペースを、事業チームやセールス、カスタマーサポートなど、一定以上の出社頻度が必要な部署に充てています。またビジネスサイドは、各地方の拠点や企業へのアプローチが必要な場面も多いため、本社だけではなく各支社への出社も発生します。

エムスリー 河合:リモートワーク運用は事業部ごとに様々な方法が取られている認識です。エンジニアリンググループは地方オフィスも上手く使って柔軟な運用を心掛けています。もちろん出社が必要な業務の多い事業部もあるので、そこは必要に応じて、ですね。

リモートワークを前提に、どうコミュニケーションを密にしていくか

ーーコミュニケーションや開発体制などについて、こだわっている部分を教えてください。

タイミー 赤澤:我々はよく「オンラインorオフライン」ではなく「オンライン&オフ会」という文脈で話しています。たとえばゲームをするとき、1か所に集まってプレイするのとオンラインプレイのどちらが正しいかという議論にはなりませんよね。どちらにも文脈や意味がある。タイミーも、コミュニケーションの方法は場所や状況に応じて適切に使いわけると決めているので、対比構造ではなく両方適切に使う前提で設計しています。

コミュニケーションにおいてもう一つ明確に掲げているのは、「オンラインの濃度をいかに対面に近づけるか」です。現在フルリモートを選択していますが、コミュニケーションの密度において対面を超えることは難しいと考えています。だから小さいことですが、Slackでたくさんスタンプを押したり、オンライン会議でもチャットでコメントしたりが盛んなチームになっていると思います。

対面だと喋っているだけでも、無意識のうちにリアクションをして、それが相手に伝わりますよね。頷いたり、アイコンタクトをしたりすることで、話し手は自分の意見が伝わっていると実感できます。一方でオンラインは、意識しないとそれが伝わりにくい。ときどきZoomでカメラをオンにすべきか否かの議論もありますが、本質としてはリアクションが見えるようにすべきだと思います。チャットでもスタンプでもいいから、いかにスピーカーが快適に話せるかというコミュニケーション設計を重視しています。

エムスリー 河合:何を大事にするかだと思います。リモートの大変さは、世の中で言われている通りだなと思います。たとえばマネージメントやチーム内のコミュニケーションなど、具体的に話を聞いてみると「1回飲みに行けば変わるのに」と思うこともよくあります。あ、ケースバイケースであって、飲みニケーションを推奨してる訳ではないですよ(笑)。
一方で、移動のコストがないことで生産性が上がる側面も大きいです。

よく取締役CTOの山崎とも話すのですが、我々はリモート派のエンジニアにも出社派のエンジニアに来てもらいたいんですよね。採用活動では、「ギークな人を採用する」というテーマを掲げています。いろいろな技術者がいるからこそ、多様な働き方を認めて、どこにいてもその技術を一緒に生かせるようにしたいんです。

実際に、九州や関西圏で働きたいメンバーのためにサテライトオフィスをつくりました。大学時代に過ごした京都に帰って仕事をしたい人がいたので、拠点をつくったんです。正確には、グループ会社のオフィスを間借りしているのですが。なぜそうするのかといえば、働く場所の制約をできるだけ取り除いて、できるだけ多くのエンジニアに来てもらいたいからです。

ログラス 伊藤:タイミーさんが、オンラインの濃度を対面に近づけていこうとしているのはすごいなと思います。ログラスはその逆で、ハイブリッドで対面の人もオンラインの人もいるときは、オンラインのよさを最大限活用しています。

たとえば、プロダクトサイドでもビジネスサイドでも、ミーティングをするときは必ず議事録と別に、Slack上に自由にコメントやリアクションをするためのスレッド、通称「わいわいスレ」を準備します。これがあらゆるミーティングで行われているので、テキストコミュニケーションが活発です、リモートでも対面でも、相手が考えていることは、聞かなければわかりません。ですが、手元にわいわいスレがあって、そのつど思ったことを残していけばわかりあえるので、よい文化だなと思っています。

ーーみなさんテキストコミュニケーションは、Slackがベースかと思います。ハドルミーティングやZoomなど、ボイスや映像でのコミュニケーションツールとの使い分けはどうされていますか。

タイミー 赤澤:基本的には使いやすいものを使ってもらえばよくて、制限したり指針を示したりはしていません。しいて言うなら、Zoomはネットワークの負荷が低いので、大規模な全社会議で使われがちですが。ハドルで雑談しているチームもあれば、Google Meetで集まっているチームもあります。メンバー同士がやりやすければ、なんでもよいという感じです。

エムスリー 河合:そうですよね。ツールに限らず、それぞれのチームにとって一番よいやり方を探ってほしいし、意思決定をしてほしいですね。エムスリーの場合は、エンジニア中心のミーティングの場合は、Slackのビデオチャットやハドルを使うことも多いですが、エンジニア以外が参加する場合は、全社で導入されているZoomを使うことが多いですね。グループ会社やクライアントとのミーティングではTeamsも使っています。その他のツール導入もチーム単位で積極的に、という感じです。

ログラス 伊藤:ログラスはバーチャルオフィスのGatherを使っていて、リモートでも出社日も割と常にみんなそこにいるようにしています。毎朝10分やっている勉強会のときも、みんなでGatherに集まって、交代で何かしら話をしているんです。毎日一度はそこで顔を合わせるので、リモートの人とも一緒に働いている感覚はあるかと思います。

「何を重要視して、どこを優先するか」でコミュニケーション手段が変わる

ーーここまで各社のやり方を聞いた上で、他社への感想などはありますか。

タイミー 赤澤:リモートでも出社でも、やっていることは割と同じですよね。オフィスに集まっても、チャットでわいわい会話しますし。出社頻度などのルールは各社にありますが、根本的なカルチャーや方向性に大きな差はないのかなと思いました。

ログラス 伊藤:お二方は、バーチャルオフィスは使っていませんか。

エムスリー 河合:バーチャルオフィスはいくつかのチームで試したんですが、結果的に古きよきSlackのtimes文化が主流ですね。遠方のメンバーがいるというのもあり、どちらかというとテキスト文化が強めな気がします。たとえばLinuxなどは、テキストコミュニケーションメインで開発されていますよね。大きなディストリビューションは開発者会議などもあるかと思いますが、若くて小さいディストリビューションなんかを見に行くと、GitHub等を通したテキストコミュニケーションで作られていますうちはOSSを作っている人も多いので、「テキストコミュニケーションでイノベーションを生んでいく」カルチャーは比較的強い気がします。もちろん、チーム単位では音声コミュニケーションはあるのですが。

タイミー 赤澤:タイミーも、テキストコミュニケーションの文化がかなり強いですね。国内の企業で、Notionをここまでの強度で使っている例はあまりないだろうなというくらい、あらゆる情報とコミュニケーションのベースがNotionになっています。そこで構造化して、非同期でコミュニケーションを取ることが多いですね。

ログラス 伊藤:ログラスは、テキストコミュニケーションも活発ですが、同じくらい同期的なコミュニケーションもアクティブにする文化です。ペアプロやモブプロなど、リソース効率よりもフロー効率を重要視する文化があって、同期的に喋りながら一緒に作業することがよくあります。そこは大きな違いかもしれません。

エムスリー 河合:なるほど。各社で大切にするコミュニケーション手段が異なるという感じなんでしょうね。たとえば、プロダクトのコアな思想を共有しながら開発を進める会社もあれば、互いの技術力が高い前提で「この人がこう言うなら、こんな設計やコードが必要だろう」という信頼感をベースにやっている会社もあると。何を重要視して、どこを優先するかという話ですね。

ログラス 伊藤:まさにログラスはプロダクトへの注力が強いですね。プロダクトの価値を生み出すためにもドメインへの深い理解が重要であり、適切な設計・実装をするためにもドメインモデリングを一緒に描きながら、口頭とテキストでああでもないこうでもないと喋りながら進めます。

三者三様の「属人化をどれだけ許容するか」論

エムスリー 河合:これはおもしろいポイントな気がします。エムスリーは開発において、属人性をかなり許容しています。たとえば、ある特定の医療制度やその関連機能について詳しい人がチームに1人しかいなくても、それはそれで構わないと考えます。その知識を無理に共有するよりも、メンバーそれぞれの得意分野で力を発揮する方がよい場合も多いからです。もちろんある程度の知識共有は前提です。優先順位としては、属人性を許容するので、みんなが一番スペシャリティを発揮できるところで戦ってほしい。その違いがある気がします。

タイミー 赤澤:私たちは、適切な属人化をもっと歓迎してもよいのではないかという話もしています。すべてが同期的に動くのではなくて、知らなくてもよいことは任せて信じよう、適切な属人性を恐れずに還元すべきではないか、という話をマネージメントレイヤーでしています。

エムスリー 河合:要はバランス、というやつになっていくんですね(笑)。

タイミー 赤澤:そうですね、その通りです(笑)。

エムスリー 河合:属人性も大事ですよね。スピードを出すには一人ひとりがお互いを信頼して、キングダムでいうところの将軍がそれぞれ戦っているような状況が理想だと思います。ただその状況では、将軍が一人抜けるときの損失はかなり大きくなります。そのぶんリテンションやドキュメンテーションは頑張らなければいけないので、順番の違いなのかなという気もしますね。

ログラス 伊藤:ログラスは2社と対極で、いかにチーム全体で一つの目標に対して同質的に向き合えるかを重視しています。そのために、最近は開発体制をスクラムから「FAST」(カンバンやOSTを取り入れた軽量なスケーリングフレームワーク)に変えています。ただ属人性を完全に排除するというよりは、一人ひとりが自律的に最大限動けるように、目的ややるべきことを一様に理解する必要があるという考え方です。難易度は高いですが、組織が大きくなっていく過程においては強力なやり方だと思います。

エムスリー 河合:それもまた良いですよね。1人では行けない所まで、みんなとなら行ける。大事にしたいものやつくりたいプロダクト、チームの思想があるので、そこに対して一番よい開発スタイルを選んでいきたい。今日のテーマであるリモートワークは、そのやり方の一つだというのが見えてきましたね。とはいえ、これは我々マネージャー側の言い分的な側面もあるなと思っていて、思想を押し付けすぎず上手くやる形をみんな模索しているのだなとも感じました。

リモートワーク・オフィス出社のどちらが得意な人もケアしたい

ーー入社されたエンジニアの方がオンボーディングしたりカルチャーになじんだりするのが大変な場合もあるかと思います。上司から「何でも気軽に聞いてね」と言われても、部下としてはなかなか気軽に聞けないものです。そうした状況を改善し、リモートでのオンボーディングを円滑に進めるための工夫があれば教えてください。

タイミー 赤澤:タイミーには全社的な文化で「肩ポン」というワードがあります。同期的なタイミングで質問や相談をしたいときに「肩ポンいいですか?」というのが全社に浸透しているんです。これによって話しかけやすくしています。

また、チーム内や部門間のコミュニケーションを促進するためなら広い用途で費用を申請できる制度があります。主に飲み会や食事会の費用に使われているのですが、「一緒にディズニーランドに行く」という使い方もOKです(笑)。一回直接話して人となりを知れば、同じメッセージでも読み取れる内容が変わって、コミュニケーションの濃度が上がりますよね。だから一度対面で一緒に食事や雑談をした上で、オンラインを開始のは望ましいなと思ったりします。

エムスリー 河合:最初のハードルが100あったとして、一回対面で会うと50くらいに下がる気がしますよね。ただリモートワークをすればするほど、たとえば出社したタイミングで「あの人に話しかけに行こうかな、でも久々だし、前に一緒に飲んだけどどんな感じだったかな」と記憶や体験が薄れていくイメージです。対面で会った直後はハードルが50まで下がっていたのに、だんだん60、70と上がっていってしまう。これがハイブリッドにおけるコンテキストスイッチみたいなもので、ハイブリッドで対応しようとすると逆に話しかけづらくなってしまう事象も発生していると思います。

タイミー 赤澤:ちなみに私は過去の所属企業でメンバーから、「オンラインだとよく喋るのに、対面だと目が合わない」と言われたことがあります。お前が人見知りするんかいと笑われました(笑)。

エムスリー 河合:チーム内にも、リモートと対面のどちらかが得意でどちらかは不得意というメンバーはいますよね。その両方をケアできたらいいなとは思います。

タイミー 赤澤:そうなんですよ。私たちはありたい姿に対する手段として、今のスタイルをとっていますが、個人的にはログラスさんのやり方にうらやましさを感じるところもあります。私個人は出社も嫌ではないタイプなので。手段としては現状が適していて、フルリモートのメリットも理解しているけど、もう少し対面での接点を増やしてもいいかなと思っています。

ログラス 伊藤:ログラスはハイブリッドだからこそ、みんながそれぞれ得意な手段をとれるというのがあるかもしれません。リモートワークが得意な人、対面が得意な人が自分の得意なやり方でできるので、困っている人はいなさそうだなと思います。たださきほどお話ししたわいわいスレやチャットって、慣れていない人には難しいこともあるので、オンボーディングの際には「わいわいする文化があります、書いてみましょう」と説明したりしています。

ーーそれは重要かもしれませんね、チャットでも人見知りをする人もいますし。timesをつくったはいいけど全然書かないとか、ほかのメンバーのところに入っていけないとか。

エムスリー 河合:難しいですよね。初見で他人のtimesに投稿するのは、私自身もそんなに得意ではありません(笑)。私はみんなの事を知りたいという気持ちで行動できますが、行動まで行きつけない人の気持ちもよくわかります。

タイミー 赤澤:私の直属のメンバーに対しては、Slackのオンボーディング用チャンネルを意図的にプライベートにして、話しやすい状況をつくるようにしています。オープンな場で『全員に見える場所で話せばよい』というのは、議論に慣れている人の考え方になりがちです。チャンネルを見せたくないわけではなく、ちょっとしたことでも聞きやすく、発言しやすい空間をつくるためにコントロールしています。基本的にはパブリックなチャンネルが大半ですが、オンボーディングに関してはメンターと私と3人のチャンネルをつくって、「3カ月くらいはこのチャンネルがあるから、なんでも話してください」としています。

エムスリー 河合:なるほど。人を選んでSlackのチャンネルを小さく保つと、いわゆる属人化にも近づいていくので、先の話同様ケースバイケースが大切ですね

タイミー 赤澤:おっしゃる通りです、これもバランスなんですよね。

「出社orリモート」二者択一ではなく選択肢がある状態がベスト

ーー最近はAmazonなどが出社回帰を進めたり、日本の企業でもここ一年で完全出社に戻るところが増えています。社会全体で出社回帰が主流になりつつある中で、どのようなことを感じますか。

エムスリー 河合:そうですよね。最近新卒採用のイベントに行くと、「全員週3出社必須です」というメガベンチャーも多くて、出社回帰がマジョリティという感じがしています。

業界全体の事を思うと、いろいろな働き方の形がある方がいいなと思っています。たとえば、ライフイベントなどを理由にリモートワークを希望する場合、気兼ねなく選べる方がよいですよね。そのため、すべての企業が一律に出社に戻すのではなく、それぞれが『うちはこういうスタイルです』と明確に打ち出せる状況が望ましいと考えます。

個人的には、OSSなどのすばらしいプロダクトが、GitHubなどをうまく使いながらリモートでつくられているという事実も重要だと思っています。こうしたソフトウェアの特性を最大限に生かしながら次世代に持っていきたいという意味では、リモートについての模索は永遠のテーマです。

たとえば私の妻にはプログラミングの知識はないですが、ドイツ留学の経験がありドイツ語ができます。妻がもし今後プログラミングを学ぶ機会があって「ドイツの企業から開発を請け負ってみよう」という状況になったとしたら、エンジニア業界にまた1人イノベーターが増えること、河合家や妻の人生の可能性が拡がることにワクワクするだろうなと思います。あくまで、妻の人生であり”if”として、ですけどね。つまりは、一律で出社に戻すよりも、リモートワークやハイブリッド方式について模索する企業が増えることを期待しているということです。

ログラス 伊藤:私も完全出社回帰よりは、いろいろな選択肢のある世界が望ましいと思います。そういう意味では、ログラスはよいバランスなのではと思っています。私自身はどちらかといえばリモートワークの方が得意なので、河合さんの意見に賛成です。一方で、今のログラスのやり方は現状の組織に非常に合っているので、会社が成長していく中ではベストだなと思っています。

タイミー 赤澤:私もお2人と同じで、エンジニアに限らずいろいろな人にいろいろな働き方を提供できて、やりたいことやライフステージにフィットした働き方を選べる社会がいいなと思います。だから一律での出社回帰ではなく、いろいろな会社があって、かつ一つの会社の中でもいろいろなパターンを選べるのが望ましいと思います。

一方で、対面のコミュニケーションを通して意図せず得られた情報から生まれるものも、否定はできないんですよね。対面なら、本人は何も言わなくても、表情や態度から「この作業で困っていそうだな」と察したり、そこから学んだりできますよね。そのような偶然性や偶発的な出来事も、ときには大切だと感じます。そのため、ハイブリッド形式やオフ会のような機会で、対面での交流も大切にしていきたいと考えています。

(取材・文:柳下修平)

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