世界15か国、国内外約300社、約56万人の従業員が働くイオングループ。その進化をITサービス面・シェアードサービス面で支えるのがイオンアイビス株式会社(以下、イオンアイビス)です。イオンアイビスのデジタルソリューション本部にて本部長を務める谷口進さんは、30年近く前から小売業界でITの仕事に携わっています。

ダイエー創業者の中内㓛氏とも仕事をしてきたという経験豊富な谷口さんに、仕事で大切にしている7つのルールをうかがいました。

谷口 進 氏

イオンアイビス株式会社 デジタルソリューション本部 本部長 兼イオンスマートテクノロジー株式会社 デジタルテクノロジー Div. シニアディレクター。1989年に株式会社ダイエーに入社。現場で働いた後、社長室に移動し、ダイエー創業者である中内㓛氏のもとで秘書的な役割を担う。その後、広報部へ異動し、ダイエーのホームページ制作に携わる。2001年にイオン株式会社へ入社し、情報システム部に配属。イオンアイビス設立時から、当社の技術を支える。

Rule.1 あらゆるチャネルを駆使してコミュニケーションの総量をとにかく増やす

新型コロナウイルスの流行以降、イオンアイビスでもリモートで働く社員が増えました。現在もリモートワークを継続している社員が多くいます。オフィスで働いていれば表情が見えるので困っていそうなときに声をかけられますが、リモートで働いているとなかなかそうはいきません。

そこで、あらゆるチャネルをオープンにして「どんなことでもいいから、困ったことがあったら相談して」と部署のみんなに伝えています。連絡が来た際には、スピーディーに返事をするように心がけています。返事が遅くなってしまうのを避けるため、長い文章は書きません。なるべく短い文章で、さっと返すようにしています。誤字脱字があったとしても、会話する感覚でチャットして、コミュニケーションを絶やさないようにしています。

コミュニケーションの「質」はもちろん大切ですが、一定以上の「量」がないと質のいいコミュニケーションは不可能です。そう考えて、量を大切にしています。

テキストコミュニケーションをして、よくわからないことは電話やオンライン会議に切り替えるようにしています。テキストだけではどうしても伝えきれないことがあるので、音声で会話することは溜飲を下げる意味においても重要です。

Rule.2 どんなに忙しくても自分にしかできないことは後回しにせず、確実に実施する

部下の出退勤管理や出張・外出申請承認、1on1ミーティングや稟議等の承認など、管理職の自分にしかできないことがあります。自分にしかできないことは「絶対にやる!」と自分のなかで、ルールにしているんです。どんなに忙しくても、自分にしかできないことをしっかりやらないと、部下の信頼を得られません。

交通費申請を1か月とか放置されたら嫌ですよね? そういう嫌な思いを部下にさせたくないんです。「あなたのことをちゃんと見ているし、考えているよ」という気持ちを表すためにも、言葉だけではなく行動で示さなければなりません。

直属の部下である7人との1on1は、2週間に1回、欠かさず実施しています。もちろん、直属の部下ではない社員からも話したいと言われれば、喜んで1on1をします。

私のスケジュールはOutlookカレンダーで管理していて、全社員が見られるようにオープンな状態です。空いている時間がわかるようになっていますし、仮にスケジュールが埋まっていても、とりあえず連絡をしてほしいと伝えています。状況に応じて優先順位を考えて、柔軟に対応しています。

Rule.3 平時は上から目線での指示は絶対にしない。実際にやる人に何をやるかを自分の言葉で語ってもらう

私自身もそうなのですが、何か行動するときには納得しなければ動けないと思うんです。指示を受けて納得しないまま行動しても、中途半端に終わってしまいます。ですので、指示したい気持ちをぐっと抑えて、実際にやる人に何をやるかを自分の言葉で語ってもらうんです。言葉で表せられないものは、行動に移せないと思うので、自分で解釈してテキストに落とし込んでもらいます。

そのうえで裁量を与え、何かあっても責任は私が取ります。責任を取るというのは、問題が起きたらそれを解決することです。謝ることが責任を取ることではありません。間違えたら、それを正す。そして、同じことを二度と起こさないように徹底しなければなりません。それが、個人の成長にも組織の成長にもつながると考えています。

部下には裁量を与え、自分で考えて仕事を進めてもらうのですが、私自身もしっかりと情報収集をして、何か相談されたときには代案を出せるようにしておきます。ただ、上司から代案を出してしまうと「そのとおりにやらなければ」と部下は思ってしまいがちです。なので、伝え方には気をつけています。

一方、障害発生などの緊急時には、はっきりと指示します。障害発生時によくありがちなのは、原因を追求してしまうことです。そういう雰囲気になっていたら、サービス復旧が優先だと指示します。一番に考えなければならないのは、お客さまのことです。原因の追求よりも、お客さまが迷惑している状態を少しでも早く解消しなければなりません。

こうした判断や指示は、本部長である私がする必要があります。

Rule.4 問題・課題から絶対に逃げない。たとえ不十分であっても自分なりに考えて行動し、結果を残す

私はイオンアイビスと兼務で、イオンスマートテクノロジーでも仕事をしています。設立からそれほど時間が経っていないこともあり、まだルールの整っていない部分が多い状況です。そうした不十分な状況でも、事業会社から相談されて提案を求められれば、自分なりに考えて行動します。

システムを開発する人たちには、自分で考えて行動してほしいと思います。イオンアイビスでも積極採用しているように、テクノロジー技術を持っているスペシャリストは非常に重要な人材です。なぜかというと、最終的には技術を持っている人がつくるからです。システムを求める側から出された要件に沿ってつくっても、求めているシステムにならないことは結構あります。

そうならないために、システムをつくる側が自分たちで解釈して提案する必要があります。そして、それは技術を持っている人でなければできないことです。

要件に疑問がある場合は、相手とコミュニケーションを取って認識を合わせなければなりません。そのうえで、使うお客さま側の立場になって考えると、混乱をもたらす機能は削っていく選択肢も出てくるかもしれません。

Rule.5 常に学習する。アンテナを高く・広くし、さまざまな情報に接する

アンテナを高く、そして広げて、さまざまな情報に接することは大事です。常に学び続ける必要があります。

私も最近、あらためて「トヨタ生産方式」について学んでいます。学習しているうちにあらためて、誰のために仕事をしているのかを意識しました。トヨタには「後工程はお客さま」という言葉があります。この言葉は小売業でも大切な考え方です。偉い人からの指示でも、お客さまのことを考えたら違う結論が出るかもしれません。フォーカスするのは、お客さまです。自分たちが知識や技術を持って自律していくことにより、組織全体として強くなっていきます。

GoogleやAmazonなどのアメリカのIT企業もトヨタ生産方式をしっかりと学んでいます。アジャイルという開発手法とクラウドという技術が合わさることで、ソフトウェアの世界でのトヨタ生産方式がより現実的になりました。

いまこそ、常に学習をして、知識や技術を自分のものにしていかなければなりません。

Rule.6 絶対に自分を卑下することなく、誰とでも同じ態度で接する

話をしていると、とくに悪いことをしていないのに「すみません」という言葉をよく使う人がいます。口癖になってしまっているのだと思いますが、謝る必要のないときは謝る必要はありません。

自分を卑下する必要はないですし、卑下しすぎるのは逆効果です。自分に自信が持てなくなり、慎重になりすぎて失敗してしまいます。

「自分はダメだ」といった自分自身を卑下する言葉は口に出さないほうがいいです。言霊みたいなもので、言葉に出してしまうと、それが現実化してしまいます。態度に関しても同じです。普通に接している限り、相手が誰でも気を悪くするわけがありません。無理にへりくだらずに、普通に接すればいいんです。

自信過剰はよくありませんが、卑下する必要はありません。社会人生活は長いので、自分を卑下して仕事をするのは、ツラくなってしまいます。

Rule.7 緊張は伝搬するので、笑顔を絶やさない

緊張は失敗のもとです。緊張しすぎると自分で自分を追い詰めて、大きな失敗につながったり自分の心を崩壊させたりしてしまいます。

私は相手を緊張させないためにも、笑顔を絶やさないように接することを意識しています。気をつける点として、つくり笑顔にはならないようにしてください。たまに、顔は笑っているけど、目が笑っていない人もいます。

ただ、組織としては野放図にリラックスしていいわけではありませんので、ほどよい緊張感も大事です。組織運営をするうえで、これは永遠の課題ですね。

イオンはジャスコの時代から「連邦制経営」をベースに成長を続けてきました。いろいろな会社が集まって1つになっているので、それぞれが対等な関係です。こうした背景もあり、フラットな雰囲気で自由に発言できます。

採用面接時に「会社になじめるか不安」と言われることがありますが、そんな心配はいりません。新卒入社もキャリア入社も、みんなフラットです。緊張することなく、笑顔で仕事をしてもらえればと思います。

(取材/文:川崎博則、撮影:渡会春加

― presented by paiza

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