「聞き入る文化」の創造を理念に掲げ、「audiobook.jp」のサービスを展開している株式会社・オトバンク。

今回は、広報の佐伯帆乃香さんにインタビューを実施しました。

耳で聞く物語をつくる裏側では、計り知れない熱量が渦巻いています。

熱く尖った仲間たちとつくるコンテンツの背景について、佐伯さんに語っていただきました。

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「audiobook.jp」は祖父への想いから始まった

──「audiobook.jp」というサービスが生まれた経緯について、教えてください。

佐伯:
オトバンクは、2004年に創業しました。現会長であり、当時の創業者である上田渉の祖父が緑内障になってしまったのがきっかけです。本が大好きで読書家だった祖父のために、目が見えなくても読書が楽しめる世の中にしたいと、大学生になった上田が考えたことが始まりですね。

──まだ上田さんは大学生だったんですね。

佐伯:
そうですね。そういった原体験があり会社を立ち上げたのですが、当時は周囲からかなり反対されたそうです。オーディオブックというサービスはまだ日本になく、存在自体がそこまで知られていなかったんです。また、80年代ごろにはカセットブックというものもあったのですが、あまり広がらなかったという歴史もあったため、周りに反対されながら会社を立ち上げたと聞いています。

──かなり逆境のなか創業したのですね。「audiobook.jp」が軌道に乗ったきっかけはなんだったのでしょうか。

佐伯:
1つは“サブスクリプション”の誕生です。2018年にサービスをリニューアルしたのですが、そのタイミングで定額でオーディオブックが聴き放題となる新しいシステムを導入しました。これによって1冊買い切りで利用する必要がなくなり、『試しに聴いてみよう』という感じで、サービスを利用するハードルがグッと下がったんです。

もう1つは“ワイヤレスイヤホン”の普及です。有線のイヤホンだと、1日中つけて何かを聴くというのは、少し手間に感じますよね。それがワイヤレスになったことで、聴くという行為がより手軽になったんです。こういった流れもあり、創業当初は市場がない状態で始めたサービスでしたが、世の中の流れがやっと追いついてきたと感じています。

──現在は市場も拡大し、さまざまな音声コンテンツに溢れていますよね。逆に、他社との差別化が必要になってくるのではないのでしょうか?

佐伯:
オーディオブックというサービスは、まずコンテンツを音声化すること自体に専門性があると考えています。それに加えてオトバンクは、2004年の創業時から会社の中にスタジオを構えて、コンテンツづくりの研究をずっと重ねてきました。オーディオブック専門の作り手が社内にいるということも、弊社の強みになっていると考えています。

日々の楽しみの1つとして、シニア層からも支持

──ちなみに、オーディオブックはどのようにして作られているのでしょうか?

佐伯:
まずはマーケティングチームが作品を選び、出版社さんから音声化の許諾をもらいます。その後、ディレクター、プロデューサーなどが原作をしっかりと読み込んで、作品に合ったナレーターさんを探したり、つくり方を検討します。

佐伯:
たとえばビジネス書だったらナレーター1人で読むことが多く、著者の方に近い人物像の方に読んでもらいます。あとは、小説だと複数のキャストで読む場合もあるので、配役を考えます。そして台本をつくり、漢字や固有名詞の読み方をすべて確認し、セリフやテンション感などを擦り合わせ、完成時間の3倍くらいの時間をかけて収録、編集をして、完成という流れですね。

──た、大変ですね……。

佐伯:
そうですね(笑)。ただ、このコンテンツづくりにもっとも重きを置いているところが、弊社の魅力につながっていると思います。現場のディレクターは、素敵な作品を音で表現しなければいけないという責任があるので、作品もかなり読み込んで、効果音も作品の時代背景に沿ったものを探しに行くくらい、徹底的にこだわってつくっています。そういう姿をみると、私も制作陣に負けないくらいの熱量でコンテンツを世の中に広げないと、という気持ちになりますね。

──現在、「audiobook.jp」のユーザー層はどのような方が多いのでしょうか?

佐伯:
一番多いのは、30代〜40代のビジネスパーソンになります。この世代は仕事や家事などで日々の生活が忙しく、インプットする時間がなかなか取れないことから、利用する方が多いですね。耳の隙間時間を見つけて、サービスを利用していただいています。また、最近ですとシニア層のユーザーも増えてきました。老眼が始まり、本から少し離れてしまった世代の方が「audiobook.jp」を利用して、また読書を楽しんでいるという声もいただいています。

──シニア層の利用が増加しているのは、意外ですね。

佐伯:
シニア層と言っても50代〜60代の方になるんですが、スマートフォンを持っている割合も増えてきたため、利用する方も増えてきたのだと考えています。30代〜40代の世代は“学び”の利用目的が大きいので、ビジネス書や歴史書、新書などが人気なのですが、シニア層は学ぶというよりは、日々の楽しみの1つとして捉えてくださっている方が多いですね。

──世代によって、利用目的もそれぞれなんですね。

磨かれた尖りを持つ「いぶし銀」が集まる会社

──佐伯さんは、いつごろからオトバンクにジョインしたのでしょうか?

佐伯:
2015年に新卒で入社して、ずっと広報を担当してきました。当時は、本とインターネットの会社に興味があり、それがきっかけで入社したので、広報が何かもまったくわかっていませんでした。広報の仕事に出会えたのは偶然でしたが、どんどん会社の周りの環境が変化していくので、自分自身興味が尽きないまま仕事を続けられています。

──佐伯さんから見てオトバンクはどのような組織だと思いますか?

佐伯:
一言で表すなら、「いぶし銀」な人たちが集まった集団だなと思います。深く突き詰めていく、職人肌の社員が多いんです。派手に自分から発信することはないんですけど、強いこだわりを内に秘めていたり、ずっと自分の領域を追求し続けているような人たちの集まりなんです。

──職人肌であり、一人ひとりがプロフェッショナルな集団ですね。

佐伯:
だからこそ、広報を担当していてやりがいにもなります。みんなの“好き”の気持ちが、サービスに乗ってユーザーに伝わるように日々考えて仕事をしていますね。たとえば、表に出ることに積極的ではない職人肌の制作ディレクターが、取材に快く協力してくれるようになったときはとても嬉しかったですね。

──もっと外へ魅せていくことが、現在の組織の課題なのでしょうか。

佐伯:
現状いろんな方法でアプローチをしています。最近ですと駅前でのビラ配りに挑戦しました。オトバンクが扱っているサービスはインターネット上のものなので、ユーザーさんの声はメールやSNSで受け取っています。でもそうではなくて、リアルで知らない人からの反応に触れたらどうなるんだろう、というのが気になり、検証してみたんです。

──ビラ配りとは、逆に斬新な手段を取りましたね。

佐伯:
広報チームや他部署の社員、会長や社長も一緒にビラ配りに取り組みました。もちろんチラシを受け取ってくれる人もそうじゃない人もいたのですが、知らない人に足を止めてらうにはどうしたらいいのか、興味を持ってもらうにはどうしたらいいのかなど、広めるという行為の原点に触れて、今までと違った視点で得られたものがありましたね。今はビラ配り以外にも、いろんな手法で広める手段を試しているところです。

手に取れる場所に当たり前に存在する

──佐伯さんから見て、オトバンクではどのような人材が活躍できると考えますか?

佐伯:
以前、“コンテンツへのリスペクトを持っているか”が重要、と言われたことがあるのですが、たしかに周りの社員を見てもそういう人ばかりだと思います。わたし自身、サービスの制作チームにはリスペクトの気持ちがあるので、その気持ちを持っていることが大前提なのかもしれません。あとは、自分自身なんらかのコンテンツにのめり込んだ経験がある人も多いですね。音楽でも本でもアニメでも映画でも、自分の人生の中で何かしらのコンテンツにのめり込んだ経験が、社内のメンバーの共通点にもなっているかもしれません。

──これからの展望について、教えてください。

佐伯:
「audiobook.jp」というサービスが、日常の選択肢の中に当たり前のように存在するくらい、知ってもらうことが目標です。「audiobook.jp」は、まだまだ当たり前に知られているサービスという状況ではありません。そこから、たとえば老眼になったり、何かしらの事情で読書をすることが難しくなったときに、当たり前のように「audiobook.jp」を選んで使ってもらうことができるような存在になりたいですね。

──必要なときに、いつでも手に取れる位置に存在したいということですね。

佐伯:
そうですね。絶対に生きていくために必要なサービスというわけではないかもしれませんが、知ってもらえていたら、一生の中でこのサービスが役に立つ機会というのはあると思うんです。そんなふうに多くの方の耳に寄り添えるようなサービスを目指して、これからも頑張っていこうと思います。

──最後に、オススメのオーディオブックがあれば教えて下さい。

「もものかんづめ」がオススメです。

アニメ「ちびまる子ちゃん」のまる子役を演じるTARAKOさんの朗読で、さくらももこさんのエッセイを聴けるという夢のようなオーディオブック。ついクスッと笑ってしまうので、外で聴くときはご注意ください(笑)。

(取材/文:はるまきもえ、撮影:つるたま)

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― presented by paiza

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