※こちらの記事は「paiza開発日誌」に2021月2月19日に掲載した記事を加筆・修正したものです。
最近は、40代・50代になってもエンジニアとして活躍されている方が少なくありません。ただ、年齢を重ねるにつれて「若いころと同じようにはいかなくなってきた」と感じる場面も増えてくるかと思います。
たとえば、いつのまにか周りに優秀な若手が増えてきて、あせりや不安を感じる。最新情報についていくのが大変。20代のころと比べると体力も衰えてきたような……。「今後もエンジニアを続けたい」とは思うものの、こうした悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。
わたしは7年以上の間、エンジニアの転職をサポートするpaizaで、さまざまな年代のエンジニアの方々から、転職やキャリアに関するお話を聞いてきました。
この記事では、そんな中でわかった「30代後半〜40代のエンジニアが今後もエンジニアとして活躍していくために必要なこと」について考えてみました。
目次
40代以降もエンジニアを続けるための生存戦略
これまでの経験や強みを把握する
エンジニアに限った話ではありませんが、今後のキャリアを考える上では、自分が持っているスキルや強みなどについて把握するのが重要です。
ベテランエンジニアと若手エンジニアを比較すると、一般的には若手のほうが体力も吸収力もありますし、最新技術の情報などにも敏感でしょう。
ただ、当然ベテランエンジニアにも、若手にはない武器を持っています。それは、これまで積み重ねてきた経験や知見です。今後のキャリアは、「この武器をどう生かすか」にかかっていると言っても過言ではありません。
自分を客観視した上で、己の経験や強みがどこで必要とされているのか、なにで自分の価値を発揮していくかを考えていきましょう。
経験が武器になる仕事で価値を発揮する
とくに年次を重ねたエンジニアの方からは「自分の技術を会社が評価してくれない」「社内におもしろい仕事がない」といったご相談を受けることがよくあります。
エンジニア個人が勉強や経験を重ねて、スキルレベルが上がっているのに対し、会社には同じような事業内容、同じような案件の業務しかないというケースは、珍しくありません。
企業の事業内容やプロダクト、開発手法などは、数年単位で大きく変わるものではありません。加えて、企業は技術そのものではなく、技術を手段として使った上での成果や利益を評価対象としています。
対して、エンジニアは新たな技術を使ったり、スキルを高めたりしたい人が多くいます。ここでズレが生じると、自分のスキルが評価されない、仕事がおもしろくないということになってしまいがちです。
この場合、いろいろな企業を見てみて、落とし所を見つけるつもりで仕事を探してみるのがよいでしょう。
たとえば、難易度の高い技術選定や、複雑な設計ができる人を求めている企業に転職して、経験やスキルを活かした仕事ができれば、より高い評価を受けられるかもしれません。
効率よくどんどん学ぶ
人間は、例外なく衰えます。新しい分野について学ぶ場合も、吸収力や集中力は若手エンジニアのほうが上でしょう。加齢とともに、今まで酷使してきた身体への支障も出てくるでしょう。
また、若手のころと比べると家庭環境なども変わり、一人で自由に勉強できる時間が減ってしまった人も多いかと思います。
ただ、ベテランエンジニアであれば、今まで積み重ねてきた学習経験と前提知識があるぶん、新たな技術なども効率よく習得できるはずです。
たとえば、新しいプログラミング言語を使ってみるとしたら、初心者のように変数の使い方や条件分岐などについて、一つひとつ改めて学んだりはしないでしょう。
他の言語と異なる部分に絞って学んだり、最初からフレームワークを使ってなにかつくりながら全体像を掴んだりといった方法をとるかと思います。重要なのは、そうして少しずつでも挑戦したり知見を増やしたりしていくことです。
エンジニアリングを続けていくのであれば、知識のアップデートが不要になることはありません。
しかし、ベテランエンジニアになると、業務の中で新たなチャレンジをする機会も減っていってしまいます。意識してちょっとした挑戦を続けながら、吸収力や学ぶ感覚を維持していきましょう。
年下から学んだりマネジメントされたりすることに抵抗しない
エンジニアの仕事を続けていると、若い世代にかなわない場面も出てきます。また、エンジニアリングを貫いていると、若い人にマネジメントされる機会も増えてくるはずです。
年次を重ねてきただけの人の中には、好みではない技術や若手のマネジメント手法に難癖をつける人や、自分がわかる範囲でできる業務にしがみつこうとする人もいます。しかし、そんな人がエンジニア組織によい影響を与えられるはずがありません。
新しい技術や優秀な若手はどんどん出てきます。ただ、若手からすると「こんなときどうすればいいのだろう」「知見のある人に聞きたいな」と思う場面は多々あります。ベテランだからこそ、そんなときに気軽に質問できる人を目指しましょう。エンジニア組織の中でも、よい相互作用が生まれるはずです。
実際にエンジニアの方とお話をしていると、年齢を重ねても知識欲が強く好奇心旺盛な方は、余計なことを考えず、若手とも積極的に相談や質問をしあっている方が多いと感じます。
まずは自分に問いかけてみてから
最近はエンジニア経験を積んだ上で、マネジメントや採用、経営などの領域へキャリアを転向させる方も増えています。それもひとつのキャリアの道ですし、その場合は上記に当てはまらないケースもあるでしょう。
ただ、今後もエンジニアリングで活躍していきたい人の場合は、まず上記の項目を見直してみることをおすすめします。
(文:谷口智香)