私は長くイラストの仕事を中心に活動してきましたが、ここ数年はほぼインタビューライターとして生計を立てています。自分とはまったく異なる生き方をしている人の話を聞くのが好きで、我ながらインタビューライターは天職だと感じている今日この頃。

多くの人の話を聴くうちに、仕事の途絶えない人や幅を広げている人には、ある共通点があることに気づきました。100人以上の話を聴き、フリーランス歴が17年目に突入した私が思った「仕事で信頼し続けてもらう7つのルール」をお届けしてまいります。

Rule1:メールの返信は3時間以内

「仕事のデキる人の条件」として、「メール返信の早さ」がよく挙げられます。 それはなぜか? 自分がメールを受け取る側になって考えてみるとわかります。

メールの返信が遅い人に対して、どんな印象を持ちますか? 「やる気がない」は言い過ぎにしても、「自分のことを重要視していない」と感じるのではないでしょうか。もし好きな相手なら「脈ナシ」だと思ってあきらめてしまいますよね。

「返事が遅い」だけで、自分が思う以上に相手に不安を与えているんです。

仕事相手ならなおさら、良い印象を持たれなくて当然。よほどスゴイ才能の持ち主ならともかく、同じレベルのフリーランスが2人いれば、次は返事が早いほうに仕事を頼むでしょう。

では、どんなタイミングで返事をすればいいのでしょうか? 私は「3時間以内」がベストだと思います。具体的には、午前中に来たメールは午後イチまでに、午後に来たメールは終業時間までに返せば、相手に「遅い」とは感じさせないでしょう。

「メール返信の早い人」を目指すなら、少なくとも1時間以内、できれば30分以内に返すことをおすすめします。出先からでも「後ほど改めてお返事します」と一報するだけで、印象はまったく変わってきますよ。

Rule2:メールは短くわかりやすく

仕事をする上で常に頭に置くべきは「相手は忙しい」ということ。自分の送ったメールを、ゆったりコーヒーでも飲みながら、丁寧に読んでくれるとは限らないのです。

メールを読んでいるのは、締め切り前にドタバタしている最中かもしれませんし、移動中の電車のなかかもしれません。そんな相手へのメールに求められるのは「斜め読みしても理解できるような簡潔さ」です。

「必要なことだけを、伝わるように」書くこと。連絡事項が複数あるなら、以下の2点を心がけ、パッと見て、「視覚的」に理解できるメールを目指しましょう。

・タイトルを付ける
・箇条書きにする

相手に失礼があってはいけないと気遣ううちに、長文になってしまう……この気持ちも、とてもよくわかります。でも残念ながら、長い文章を書くほど誤解されたり、真意が伝わりづらくなってしまったりするのです(経験談)。

Rule3:締切は守る+α

まず最初に、締切は「守る」のが当然。破るのは言語道断と覚えておきましょう。

その上で、クライアントに対し「大体いつ頃納品できるか」を事前に伝えておくと、より親切です。宅配便の荷物と同じように「いつ届くかわからない状態」で待つのは、落ち着かないものですよね。

可能であれば、ギリギリではなく締切1日以上前の納品を目指しましょう。すべてにおいて「早い」は正義です! 早くて悪いことなど、ひとつもありません!

Rule4:営業後もたまに連絡

名刺交換や営業した相手とのその後の関係、どうしてますか? それきりで終わってしまうのはもったいない。とはいえ、あまりしつこくするのも逆効果です。

せっかくのSNS全盛の世の中。まずは相手のアカウントをフォローしましょう。相手が返してくれれば儲けもの。最新のお仕事などの近況を流して興味を持ってもらえれば、いつか仕事はやってきます。

無理に売り込んでも、自分に合う仕事がなければ声はかかりません。覚えていてもらえれば、いつかはご縁があるものです。実際にSNSで繋がっていた人から、10年経って依頼がきたこともあります!

大切なのは「売り込む」のではなく、「忘れられないようにする」こと。ほんのたまになら、メールで近況報告をするのも有効。ただ、くれぐれもやり過ぎは禁物です。

Rule5:ファイル名に工夫あり

制作物を納品するときのファイル名、どんなふうに付けていますか? 実は、このファイル名の付け方で「仕事ができるかどうか」が、可視化されてしまうんです。

たとえば画像であれば、「image.jpg」などと付けてしまうことは避けましょう。そ相手がやりとりをしているのは、自分だけとは限りません。もしほかの人も同じファイル名を付けて送っていたら、ファイルが上書きされてしまうかも。

また「image.jpg」という名前では、開いてみないと中身がわかりませんよね。

・ほかの人とかぶりそうにない
・ファイル名を見ただけで中身が何かわかる

この2点を考慮しながらファイル名を付けるのがポイントです。

「仕事のできる人」は、小さなところまで相手への「気遣いができる人」なのです。

Rule6:同業者や後輩を大切に

たまにいませんか? 名刺交換して、同業者や新人だとわかった途端に、態度を変える人。

私の知る限り、売れている人ほど誰にでもフラットに接します。相手がどんなに若くても、敬語を使い丁寧に話す人がほとんどです。

この先、誰が自分にとって重要な相手になるかなんて、誰にもわかりません。後輩が急に売れて遠い世界の人になってしまう、というのはよく聞く話。タレントさんの「若い頃にいじめたディレクターが偉くなってプロデューサーになったら、仕事を干された」という話も、業界問わず、珍しいことではありません。

同業者と仲良くすれば、横のつながりで仕事の依頼がくることもあります。無理に友達になる必要はありませんが、失礼のないように付き合うことで、業界を「生きやすく」なるはずです。

Rule7:相手の「ラクさ」を常に考える

仕事をする上で考えるべきは「またこの人と一緒に仕事がしたい」と相手に思ってもらうこと。そのためには、成果物のクオリティを上げるのと同時に「人柄に好感を持ってもらうこと」も重要です。

「好き」になってもらうのはハードルが高いですが、「この人と仕事をすると楽だ」と思ってもらうのは、意外と難しくありません。

「メール返信が早い」「締切を守る」この2点だけでも、催促をしなくて済むぶん、相手はかなり楽だと感じるはずです。精神的にも、レスポンスが早いのは歓迎されます。

私自身驚いたのが、ある仕事で昇給したときに画像サイズや指定フォントを守るなど、「自分にとっては当然」と思っていたことも評価の一つになっていたこと。それだけ決まりを「守らない人が多い」から、「守るだけで目立つ」のかもしれません。

さらにもう一歩進んで、自分の仕事の範囲を少し超えて「相手が楽になること」を探して行えば、必ず次につながります。

当たり前を当たり前にやれること

ここまで挙げたことは、フリーランスに限らず、社会人として、「人として」当たり前のことです。

仕事をしていると、改めて「人への気遣いが大事なのだ」と気づかされます。相手の立場や状況を想像し、できるだけ手間や無駄を省けるよう気遣う。それが当たり前にできる人が「この人と仕事がしたい」と思われ、「仕事が途切れない」人。

小さなことから「当たり前」を始めてみましょう。

(文・陽菜ひよ子

presented by paiza

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