2023年7月5日(水)、京都女子大学にて、新しい時代の情報リテラシーを学べる情報基盤科目のスタートを記念して、「文理は関係ない! これからの時代に知っておくべき IT業界と女性のキャリア」というイベントが開催されました。

告知ポスターでひときわ目を引くのは「ITは私のミライを広げてくれる」というコピー。ITエンジニア=理系というイメージを持つ学生も多いと思いますが、本イベントは文理に関係なく、将来を考えるヒントを得たい人、「手に職」をつけたい人、就活までに何をすべきか知りたい人に向けて、IT・教育・キャリアに役立つ情報を届けることが目的です。

「IT業界におけるジェンダーギャップ」を大きな課題と捉える、株式会社サイバーエージェント エンジニア 縣美早(あがた・みさき)氏、京都女子大学 情報基盤センター長 宮下健輔氏、paiza株式会社 代表取締役 片山良平氏の3名による講演と、現役女子学生のリアルな声を聞けた座談会のようすをレポートでお届けします。

ダイジェスト動画

約90分のイベントを10分ほどにまとめました。

「文系からITの道へ」株式会社サイバーエージェント エンジニア 縣美早氏

株式会社サイバーエージェント 縣美早(あがた・みさき)氏

私は2021年に女子大文系学部を卒業し、新卒で株式会社サイバーエージェントにiOSエンジニアとして就職しました。現在は「ABEMA」の技術者としてアプリ開発に携わっています。今回はサイバーエージェントが2023年1月に始動させた「Tech DE&I プロジェクト」の一環として登壇の機会をいただきました。

Tech DE&Iプロジェクトは、IT業界や開発組織におけるジェンダーギャップ解消のためのDE&I(Diversity, Equity and Inclusion)を促進するための取り組みです。4月にも女性エンジニア向けイベント「Women Tech Terrace 2023」を開催し、リテラシー教育、普及活動、コミュニティ支援などをおこなっています。

今日は文系からITの道へ進んだ私の経験をもとに、学生時代の就職活動のことや、現在のエンジニアとしての仕事内容や働き方、キャリア展望をお話しします。

文系だったけれど、プログラミングに出合ってのめり込むように

高校は普通科で、理系科目が苦手だったので文理選択では迷うことなく文系を選びました。なかでも数学が苦手で、当時は自分がエンジニアになるなんて思ってもみませんでしたね。必然的に大学も文系から選び、「社会課題の解決」を学びのテーマとする津田塾大学の総合政策学部・総合政策学科に入学しました。

プログラミングとの出合いは、大学1年生の必修科目「統計」の授業で、統計解析向けのプログラミング言語(R言語)に触れたことです。その後もデータサイエンスやアルゴリズムの基礎、Pythonなども授業で学んだのですが、この時点ではプログラミングが楽しいとは思えませんでした。

2年生のときに友人の誘いで、アプリ開発をおこなう学生団体でアプリ開発にチャレンジすることになりました。コミュニティを広げるためにサークルに入るくらいの気持ちだったのですが、そこはSwiftというプログラミング言語でiOSのアプリ開発を学ぶ団体で、メンバーはそれぞれ企画・実装・リリースの目標を立ててアプリ開発をおこなっていました。

Swiftは初めてでしたが、授業でプログラミングの基礎を学んでいたため、言語は違っても共通する部分があり、比較的容易にプログラミング言語習得、そしてiOSアプリのリリースができたんです。授業で学ぶ分析としてのプログラミングとは異なる、ものづくりとしてのプログラミングを経験し、その面白さに気づいて、そこからプログラミングにのめり込んでいくようになりました。

それと同時に「将来はITに関連する職種に就いて、プロダクト開発にも関われたらいいな」と思うようになり、IT企業でのインターンシップに参加したり、情報系のゼミに所属してプログラミングをする機会を増やしました。

最初はエンジニアになるかITコンサルのようなIT関連職種に就くのか迷っていたのですが、複数の会社でインターンシップを経験して、新卒はエンジニアとして入社したいという気持ちが固まり、エンジニア職で就職活動をすることに決めました。

就活の軸にしたのは、「自信を持って人に勧められるプロダクトを作りたい」という信念と「チームメンバーとともにエンジニアとしての技術力を高めていけるような環境に身を置きたい」という気持ちです。最終的に、さまざまなサービスやプロダクトが社内にあり、エンジニアがモチベーション高く開発ができ、継続的に技術力を高めていける環境だと感じられたサイバーエージェントに入社を決意しました。

エンジニアとしてiOSアプリ開発をおこない、専門性を高めて企画職へのキャリアップを目指す


入社後1~2年目の途中までは株式会社CyberZに所属し、OPENREC.tvというサービスの開発に携わる開発組織で、iOSアプリとApple TV向けのアプリを開発していました。専門領域を持たず、幅広くさまざまな機能の開発や改善をおこなって、エンジニアとしての技術力を高めることを目標にしていました。

入社当初はプロダクト志向が強く、エンジニアからプランナーのような企画職へのキャリアアップを目指していたので、エンジニア以外の働き方についてもチームで学ばせていただきました。実際の施策でプランナーを経験させてもらったことでキャリア観に変化が生まれ、プロダクト開発に開発者として携わりたい気持ちが強くなったのです。

より大規模な開発組織で経験を積み、自分の専門性を高める必要があると感じて、2年目の途中に「キャリチャレ」で株式会社AbemaTVに異動し、ABEMAの開発に携わることになりました。キャリチャレとは、現部署で勤続1年以上たつと、希望する他部署またはグループ会社への異動にチャレンジできる、サイバーエージェント独自の社内異動公募制度です。

3年目となる現在は、課金領域を専門とするチームでプロジェクトマネジャーやデザイナーと協力して、iOSアプリの開発や改善をおこなっています。多くのユーザーに使ってもらうため、アプリをよりよくするための施策を検討し、スケジュールを決めて実施を繰り返す毎日です。エンジニアとしての技術力だけでなく、視野を広く持ち、施策を円滑に進めるための業務遂行力が求められていると感じています。まだまだ学ぶことだらけですね。

エンジニアは黙々とPCに向かっていると思われがちですが、仕様書を設計するプロジェクトマネジャーや、UI(ユーザーインターフェイス)/UX(ユーザーエクスペリエンス)を考えるデザイナーと話し合うことも多い仕事です。実装した後も、表示のずれや仕様書と異なる挙動がないか、品質管理チームとともに徹底的なチェックをおこないます。

業務に限らず、チームメンバーとのコミュニケーションが盛んな環境で、リモートワークをする日もありますが、週に3日ほどは出社して、メンバーと一緒にランチにいったり、質問や雑談をしたりしています。

プログラミング的思考はどんな仕事にも役立つ


今はさまざまな業界がテクノロジーの力を取り入れている時代です。あらゆる業種でテクノロジーによって業務が効率化され、もはやITと無関係でいるほうが難しいでしょう。技術者とコミュニケーションを取ったり、ITに関連した業務に携わったりすることも多くなってきて、エンジニア以外の職種でも最低限のITの知識を求められるケースが増えています

プログラミングを通してITの素養を身につければそんなときも困りませんし、エンジニアを目指すのであれば、プログラミングの基礎があればほかのプログラミング言語も習得しやすいと思います。

また、プログラミングはトライアンドエラーの繰り返しです。問題があれば何が原因なのかを探り、解決方法を考え、実践する。そんな「プログラミング的思考」は、この先どんな分野に進んだとしても、きっと役立つに違いありません。

女子学生座談会

縣美早氏の講演に続き、女子学生3人の座談会がおこなわれました。参加してくれたのは、京都女子大学 文学部 英文科の1年生2名と、国際基督教大学 情報科学部3年生の1名です。とくに印象的だった部分を抜粋して紹介します。

京都女子大学 文学部 英文科1年 Iさん:
IT業界は女性より男性が多くて、難しそうという印象を持っています。私はプログラミング学習は未経験なのですが、数学を使うイメージで、ちょっと苦手意識があります。

京都女子大学 文学部 英文科1年 Uさん:
IT業界は難しい専門職が多く、理系の学生さんが就職されるイメージです。文系はなかなか職業に結び付く学部がなく、理系に比べると専門性が低いので不安でした。だけど、今日のお話を聞いて、逆に文系は枠にとらわれていない分たくさん夢があり、なりたい自分になれる学部なんだなと思いました。

国際基督教大学(ICU) 情報科学部 3年生 Oさん:
私は高校では文系だったのですが、参加したITキャンプでアプリをつくる体験をしてプログラミングの面白さを知り、理転して情報系を学べるICUに入学しました。

文系は総合職として就職する方が多いと思うのですが、私は得意なことと苦手なことの差が激しいタイプなんです。総合職で苦手な仕事に当たってしまったら辛そうなので、専門的な職種に就きたいと考え、具体的な職業としてITエンジニアを希望しています。

また、IT業界は働き方の自由度が高いイメージがあり、好きなファッションや髪色、ネイルを楽しめそうな点も魅力的です。10年後もネイルができる仕事をしていたいと思うので。

就職活動に向けてIT業界で長期インターンをやってみたいと考えてpaiza新卒に登録をし、スキルチェックというプログラミングのテストを受けました。それをもとに企業からスカウトをもらえたので、現在はアルバイトとして動画編集をおこなっています。

プログラミング学習ができるサイトはいくつもありますが、paizaラーニングのいいところは実行環境構築をしなくてもブラウザ上でプログラミング言語を実行できることです。学習したことをさきほど話したpaiza新卒のスキルチェックに生かせて、企業からスカウトしてもらえるので、プログラミング学習がその先につながっていると実感できます。

「プログラミングは楽しい」京都女子大学 情報基盤センター長 宮下健輔氏

京都女子大学 情報基盤センター長 宮下健輔(みやしたけんすけ)氏

京都女子大学は文系学部中心の女子大で、現代社会学部も入試科目としては完全な文系です。しかし、卒業生のなかにはSEとして働いている人やネットワーク系・プログラム系の企業に就職した人もたくさんおり、文系・理系に関係なく、活躍できると思っています。

さて、1年生のみなさんは、入学時に「大学の情報教育に期待することは?」というアンケートに回答したはずです。私は以前からこうした調査をおこない結果をまとめていますが、最も多かったのは「卒論や就活、就職後に役立つ実践力を身につけたい」という回答、ついで「操作スキルを身につけたい」という回答でした。

これらの要望に応えるために「情報リテラシー教育」がスタート。2022年度までは、1年生前期の必修科目「情報リテラシー基礎」でPCの基本的な使い方やMicrosoft Officeの操作を教え、後期の選択科目「情報リテラシー応用」ではデータ分析やグループワークなどのPBL(プロジェクトベースドラーニング)を通じたメディアリテラシー養成をおこないました。

毎年、前期授業終了時に「PCを使いこなせるようになりましたか?」というアンケートを取っていて、「どちらかといえばそう思う」もあわせ8割以上が肯定的な回答をしてくれているのですが、実際は少しずつ「どちらかといえばそう思わない」人が増えていたんです。授業を展開している側として「これはまずい傾向だな、なんとかしなくては」と考えて、2023年から、新時代の情報リテラシーが学べるようカリキュラムを刷新しました。

1年生全員に必修科目でプログラミングに触れる機会を提供


2023年より名称が「情報基盤科目」に変わり、「情報リテラシー」が1年生前期の必修科目に、「データ・AIリテラシー」が1年生後期の必修科目になりました。(※データサイエンス学部の1年生のみ、前期に両方の科目を履修)

PCの基本的な使い方やMicrosoft Officeのスキルは、授業外で習得してもらうスタイルとし、前期必修科目の「情報リテラシー」ではICT(Information and Communication Technology/情報通信技術)の理解や、情報収集・分析・表現・活用のリテラシー養成を目的とした授業をおこなっています。具体的なテーマは以下の通りです。

  1. 大学の情報環境
  2. 情報とコミュニケーション
  3. 情報の表現とアクセシビリティ
  4. 情報社会の法と権利
  5. 総合学習1(データの処理と分析1)
  6. 総合学習2(レポート作成)
  7. 総合学習3(データの処理と分析2)
  8. 総合学習4(レポート相互評価)
  9. 総合学習5(フィードバック)
  10. データベース
  11. デジタル表現1(色、画像)
  12. デジタル表現2(音)
  13. アルゴリズムとプログラミング
  14. ネットワークとセキュリティ
  15. 現代社会と情報システム

私は情報工学が専門なので、アルゴリズムとプログラミングばかり教えたいところですが、そうもいかないので1回だけです(笑)。

paizaラーニングを活用してプログラミングを楽しんでほしい


来週の授業で「アルゴリズムとプログラミング」の回があるので、今回のイベントのきっかけとなったpaizaラーニングを活用します。paizaラーニングは普通は月1,000円ほど利用料がかかりますが、「学校フリーパス」を無料で使わせてもらえることになりました。

授業で使うプログラミング言語はPythonだけなのですが、太っ腹なことにpaizaラーニングの全講座を学べるんです。プログラミングだけでなく、SQL、HTML、AWS、Webセキュリティなどの講座や「情報処理入門」といった副教材になりそうな講座もたくさんあるので、来年以降はもっと活用して、予習にも取り入れてもらえるようにしたいなと思っています。

後期必修科目の「データ・AIリテラシー」は、データサイエンスとAI活用の基礎知識と基礎スキルを学ぶ内容です。後期にはアドバンスト科目も開講予定で、国際的な資格である「CompTIA IT Fundamentals+」の取得や、データサイエンティスト検定リテラシーレベルを目指せる内容を考えています。

文系の学生がプログラミングを学ぶとき、つまづきやすいのは最初の環境構築です。でも、paizaラーニングならブラウザ上でプログラミング言語を実行できるので、そのハードルを乗り越えやすいです。ぜひ実際に触れて「プログラミングって楽しいな」と思ってもらいたいですね。

「異能をのばせ。」paiza株式会社 代表取締役 片山良平氏

paiza 株式会社 代表取締役 片山良平(かたやまりょうへい)氏

paiza株式会社は「世界を変えるのは、異能だ。異能をのばせ。」というコンセプトで、paizaラーニングのようなプログラミング学習サービスのほか、転職サービスなどを展開している会社です。今日はIT業界とポータブルスキルについて話をしたいと思います。

paizaの転職サービス、就活サービスは、株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA Co.,Ltd.)、ヤフー株式会社、トヨタ自動車株式会社などの大手企業も利用しています。paizaがやろうとしていることは、日本からより多くの才能を発掘し、優秀なエンジニアを生み出し、社会で活躍させること。そのために「異能をのばせ。」をコンセプトとしています。

ポータブルスキルがあれば、自分のミライを自分で決められる

「配属ガチャ」という言葉を聞いたことがありますか? 就活のときに「こういう仕事をしたい」「こういう職種に就きたい」という希望をもって会社を選んだのに、いざ入社してみたら配属がまったく違うところになってしまうのが「配属ガチャ」、どうしても馬が合わない上司の下で働かなくてはならないのが「上司ガチャ」です。

望まない勤務地で働くことを余儀なくされる「勤務地ガチャ」「転勤ガチャ」もあります。弊社社員の前職の話なのですが、32歳のときに大手企業の東京本社に勤めており、子どもが4歳と1歳のタイミングで、念願の新築マンションを買ったのだそうです。

その直後に上司から呼び出しがあり、「悪いけど、2週間後に大阪支社に異動してほしい」と言われました。その後も異動の希望を出すも、結果的に10年間東京に戻れず、先に家族を東京に戻して、大阪で単身赴任となったそうです。

企業で働いていると、一定の割合でこういったガチャが起こることもあります。もちろん、大阪行きをチャンスと考えることもできますが、いろいろな選択肢を持っておいて、その中から自分が一番やりたいことを選べるようにしておくのが大事だと思います。

自分のミライを自分で決めるために選択肢は多いほうがいいし、それにはポータブルスキルが必要です。ポータブルスキルとは、さまざまな会社で通用するスキルのこと。ほかの会社でも通用すれば、さきほどのガチャが起こったときにいろいろな選択肢が生まれます。

これから先、東京で働きたい、もしくは地方で働きたいと希望が変わったとしても、ポータブルスキルさえあればどこでも働けますよね。

IT業界はオープンで、ポータブルスキルを身につけやすい


IT業界は非常にオープンな業界で、ポータブルスキルを身につけやすいです。Java、Python、PHP、C、C++といったプログラミング言語は世界中どこに行っても同じなので、どの国でも通用するし、それを生かした仕事ができます。

プログラミング言語はオープンソースです。ネットの有志でどんどん開発され、クローズドで寡占せずに基本的に無料で公開されて、迅速にアップデートされています。技術・情報をオープンにすると、より多くの人たちが使うようになり、イノベーションが起きやすくなるんです。結果的に革新も起こって、より使いやすくなります。それがIT業界の特徴です。

技術・情報がオープンだから非常に自分で学びやすいですし、身につけた技術は多くの会社で採用されています。つまり、ほかの会社にも行ける(人生の選択肢が増える)ポータブルスキルになるわけです。

今は、個人がキャリアの責任をもつ時代。20〜30年前は一律正社員採用、終身雇用が当たり前で、企業が学歴や人柄を重視して個人を選ぶ時代でした。年功序列の考え方も根強く、会社が個人のキャリアを設計していました。だから転勤ガチャも起きていたのです。

しかし、これからの時代は違います。大きな企業がある日突然つぶれることも珍しくなく、終身雇用制度は崩壊し、正社員に限らない働き方も増えてきて、パワーバランスとして個人の力が強くなってきました。すると、個人は特定の会社に入ることを目指さず、「ITエンジニアになろう」「会計士になろう」といったように「職」を選ぶようになります。

今後は、経験・専門性による職探しが増えて、より実力主義になっていくでしょう。個人がどんなふうに学び、ポータブルスキルを身につけるのかを考えなくてはいけない時代になってきていると思います。

IT業界はオープンで、個人でさまざまな技術・情報を学べますし、学んだことが自分のスキルになって、いろいろな会社で役立つので、主体的にキャリアを積みやすい業界です。タイトルにもあるように、ITはみなさんの未来を広げてくれるツールになると思います。

マクロ環境から見たIT業界と、求められる女性エンジニア


日本は2008年から人口減少フェーズに入っており、統計予測的にも今後人口が増えることは考えにくいです。人口が減少すると、経済成長率が落ちて国が貧しくなり、社会保障もなくなって犯罪が起こりやすくなり、住みにくくなってしまいます。

それを避けるには、一人当たりの生産性を上げるしかありません。現在のGDPを維持するには、2016年〜2030年の間に一人当たりの生産性を2.5倍向上させる必要があるといわれています。それを実現するためのカギとなるのが、ITによる自動化です。

ところが、それを支えるIT人材は質・量ともにまったく足りていません。今、日本にIT人材は約125万人いるといわれていますが、2030年には約79万人不足するといわれています。

つまり、めちゃくちゃニーズのある業界なんです。現在の日本のITエンジニアの男女比は8:2なので、マクロにとらえると、女性が普通にITエンジニアを目指してこの比率が5:5になれば、日本の今の課題は解決できてしまいます。

現実的にはまだまだ「ITエンジニアは難しいよね」「理系に行くのって男性でしょ」というバイアスがあって、ITエンジニアを目指す女性は少ないです。私たちはそうした課題を解決したくて学校フリーパスを配布し、みんながITに触れる機会を作っています。

IT業界は男性に向いていると思われがちですが、私は女性にもオススメだと思うんですよ。テレワーク率が高く時間の自由度が高いので、結婚や子育てといったライフイベントに対応しやすいですし、人が足りていないので比較的収入も高いです。

服装・髪型が比較的自由な会社が多い、ネットで調べられるから文系でも学習しやすい、アプリなど自分でつくったものが形になりやすいのもエンジニアの魅力といえるでしょう。

女性エンジニアの割合はこれから増えると思いますし、ITの力を身につけると人生の選択肢は広がっていきます。少しでも興味をもったら、まずプログラミングをやってみて、楽しいと思えるかどうかを試してみてください。

取材後記


1時間20分にわたり開催された本イベントは、1~2年生を中心に真剣に話に耳を傾ける学生が多かったのが印象的でした。「文系だから関係ない」ではなく、「文系でもIT業界でキャリアパスを描ける」と知り、興味を持った人もきっといるでしょう。

終了後は登壇した縣さんを女子学生が囲み、就活やキャリアについて質問をしていました。ITエンジニアとして働く少し年上の女性に「ミライの自分」を重ねたのかもしれません。

本イベントがIT業界のジェンダーギャップ解消の一助となり、女子学生がITエンジニアのキャリアを考えるきっかけになれたら何よりです。

(取材/文/撮影:ayan

presented by paiza

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