フリーでライター・編集をしている北村です。突然ですが、私は人よりも集中力がありません。長い時間、ひとつのことに集中できない、典型的な「シングルタスク」人間です。
ライターになった当初は、1記事を書き上げるのにも一苦労。「企画提案から納期まで1週間で」と言われると冷や汗ものでした。
そんな私が、ライターとして独立してから5年の間に行き着いた「集中力を上げ、効率的に、爆速で記事を書き上げるための7つのマイルール」をご紹介します。会社員の方にも、フリーランスの方にも何かしらの気付きがあったら嬉しいです。
1. 取材音源は取材当日に文字起こししよう
当然のことですが、取材記事を書く場合は「文字起こし」をする工程があります。ここを突破しなければ、タイトルや見出し、構成を組むのは難しいでしょう。つまり、文字起こしをしない限り原稿は書けません。
私は文字起こしが苦手です。自分の声が好きではなく、録音した自分の声を聞かなければならない作業は苦痛でしかありません。この仕事をしていて唯一、腰が重くなります。インタビュイーさんの声だけ抽出してくれるAIが早く発明されないか、と思うほどです。
取材音源は取材当日に文字起こししましょう。私の体感ですが、翌日に持ち越してしまっただけで、納品が2〜3日は遅れてしまいます。
私のように、なるべく文字起こしを避けたい方は、AIツールを駆使したり外注したりするのも一つの手。文字起こしに限らず、気が進まない作業、苦手な作業はいち早くやってしまうのが、最初にして最大のコツです。
2. 重要箇所は太字でわかりやすくしよう
文字起こしを終えたら、執筆作業の半分は終えたようなもの。次に、取材時の雰囲気を思い出しつつ、絶対に使いたい重要な箇所を太字にしていきます。
たとえば社員インタビューなどの場合は、入社動機、現在の仕事内容、社内の雰囲気についてなどのトピックがあるでしょう。記事として外せないポイントに、どんどん印をつけていくイメージです。
ただ、取材の流れを最初から最後まで、そのまま記事に反映させるケースは稀です。よっぽど取材されることに慣れている有名人なら別ですが、話題に沿って理路整然と話せる人は多くありません。話が飛んでしまったり、質問した内容と答えが食い違っていたりすることもあります。
「この話は、終盤にしていた話と合わせたほうがわかりやすいな」など想定しながらピックアップしていくと、次の「構成を組む」工程がやりやすくなります。
3. 太字に沿って構成を組もう
重要な箇所を太字にし終わったら、そのポイントに沿って構成を組んでいきます。太字にした箇所を参考に記事タイトルや小見出しを仮設定しましょう。
タイトルや小見出しは記事の顔であり、もっとも時間をかけなければいけない点ですが、後で変更することを想定して最初に仮設定してしまいます。タイトルや小見出しは、構成や本文執筆のための道しるべ、旗のようなもの。仮で設定しておくだけでも、構成や記事の内容がぶれず、格段に書きやすくなります。
また、太字にした箇所について、構成を組んでいるうちに「この箇所はそこまで重要ではない」と気づく場合もあるかもしれません。その場合は躊躇なく省きましょう。書き起こしの元データは別で保存しておけば安心です。
4. 作業はできるだけ細かく分けよう
構成を組み終わったら、あとは本文を執筆するだけ。記事の内容や文字数にもよりますが、およそ小見出しは多くて4〜5くらいになったのではないでしょうか。
本文を執筆する際には、できるだけ作業を細かく分けましょう。納期にもよりますが、仮に「1日1小見出し分を完成させる」と作業目標を立てれば、1週間以内に記事を完成させられる計算になります。
作業を細かく分けておけば、着手するハードルをできる限り低く抑えられます。いわゆる「ベイビーステップ」を意識して、1日に進められる最低限の作業量を割り振っておきましょう。
5. 1日に1回はすべての記事に触れよう
時には複数の記事を抱え、締切が重なってしまうこともあるかもしれません。1記事完成させたら次の記事へ……と順番に進めていると、締切に間に合わなくなってしまう可能性も。そうならないために、1日に1回はすべての記事に触れるようにしましょう。
たとえば、「ルール4. 作業はできるだけ細かく分けよう」に沿って、1日に1小見出し分を完成させると決めたとします。仮に5記事抱えているとしたら、その5記事分を同時進行させるのです。
記事Aの小見出しを完成させたら、次に記事Bの小見出しを完成させる……といったように、1日ですべての記事に進捗があるように、触れなかった記事がないように進めます。
同時並行することにより、「記事Aに着手しているあいだに、記事Bや記事Cのことが気になってしまう……」といった焦りがなくなるため、おすすめです。
6. 締切は1週間後に設定しよう
本締切とは別に、自分だけの仮締切を1週間後に設定しましょう。
ニュース記事や記者会見ネタなど、即時性が求められる記事でない限りは、およそ1週間後に設定しておけば遅れる心配はありません。あくまで仮締切なので、破ってしまってもクライアント側に影響もないでしょう。
1週間後に設定し、この日までにある程度まで作業を進めておくと心積もりをしておけば、十分本締切までに納品できます。「締切がないとついダラダラしてしまい、なかなか作業が進まない……」といった方にはとくにおすすめです。
7. 自分にピッタリくる「やる気スイッチ」を全力で探そう
自分だけの「やる気スイッチ」をいくつか見つけておきましょう。
私の場合は、「コーヒー」「チョコレート」「10分睡眠」というやる気スイッチがあります。集中力を上げる三種の神器です。ちょっと集中が切れてきたな、と感じる午後にまずはコーヒーを淹れ、それでもダメならチョコレートを2〜3粒口に、それでもダメなら観念して10分だけ仮眠を取ります。
やる気スイッチは人それぞれ。作業する場所を変える、散歩をする、5分だけまったく別のことをするなど、人に合うスイッチがあるはず。私の場合は、まるでプラシーボ効果のように、「これをやったら集中力が上がる」と思い込むことでだんだんやる気スイッチ化してくる現象もあります。
集中力は、仕組みでつくれる
今回ご紹介したのは「記事を爆速で書き上げる7つのマイルール」ですが、「作業を細分化する」「やる気スイッチを見つける」など、どの職種にも応用可能なルールです。集中力は「仕組み」でつくっていきましょう。
(文:北村有)