仕事をするうえで「7つ」ルールをあげるとしたら、あなたは何をあげますか?

今回は、シェルパ・アンド・カンパニー株式会社でVPoEを務める、小川達(おがわいたる)さんの、7ルールを紹介します。

文系大学を出てエンジニアへの道を進み、枠に囚われない生き方を選択する小川さんに、独自の7ルールと人生の考え方についてお伺いしていきます。

関連記事:文系大学からVPoE、枠にハマらない大人自由な人生について<シェルパVPoE 小川達>

Rule1.計画的偶発性理論

キャリアが動く瞬間は、偶然の出来事にあると考えています。いつどのような出来事が起きるかわからないので、突然訪れた人生のターニングポイントを掴めるかどうかは、そのときの自分しだいです。そして、出来事が降ってきたときに、自分がどれだけ努力できるかによって人生は変わっていきます。

僕の人生を振り返ってもそうでした。僕は就職活動中に出会った、とある先輩の存在がきっかけで、文系大学からエンジニアになる、少し変わった道を選択しました。

このように、人生の分岐点はいきなりやってきます。先輩との出会いは偶然でしたが、その後CTOやVPoEとキャリアを積んでこられたのは、同じように偶然に起きたチャンスを、努力をして掴んできたからです。

ただ、ずっと受け身でいてもチャンスはなかなか起きないと思うので、意図的に自ら行動し、チャンスを増やしていくことも大切だと思います。

Rule2.信頼貯金

言葉のまま、「信用」を日ごろから「貯金」しておく、ということです。やはり信頼関係がないと仕事は成り立ちませんので、きちんと周りからの信用を貯めておくことはかなり意識しています。信頼貯金は、さきほどの偶発的出来事を引き寄せる力にもつながりますからね。

Rule3.期待値を超える

では、具体的にどのようにして信頼を貯めるのかというと、それは「期待値を超える」ことです。頼まれた以上のことをしたり、何か自分なりに+αで返したりなど、どのようにして期待を超えるかは人それぞれ。ですが、予想していた期待値を超えたものを与えられると、相手からより信頼を得られます。そして、信頼されることで、任される仕事の幅はさらに広がっていきます。

この「信頼を貯める」ことはとても時間がかかりますが、崩れるのは一瞬です。なんてことないミスや遅刻が原因で、積み上げてきたものが一気に崩れることもあるので、基本的に守らなければいけないことはきちんと守ることが前提になってきます。

Rule4.引き出しを多く持つ

これは信用を貯めるためのもう1つの方法です。僕が社会人になったばかりのころに出会った“師匠”から学んだことなのですが、その師匠は、仕事に関することはもちろん、それ以外の分野に対してもなんでも興味を持つような人でした。何か話せばだいたい返ってくるくらい師匠は知識を豊富に持っている方だったので、何か相談しようと思ったときは、師匠のことがよく頭に浮かびました。

僕が師匠のことを信頼していたように、周囲の人間と信頼関係をつくるためには、自分の頭の中に引き出しを多く持っておくことが重要だと考えています。

引き出しをつくるには、たくさんの知識を常に勉強しておかなければいけないと思うかもしれません。しかしそうではなく、とりあえずインデックスを貼っておくだけでもいいんです。

「今すぐ必要ではないけどいつかどこかで使うときが来そうだな」という情報は、インデックスだけ脳内に置いておいて、いざ聞かれたときにその引き出しを開きます。深い知識はそのときが来たら、そこから辿って深掘りすればいい状態にしています。

Rule5.モチベーションに左右されない

「モチベーションを保つ方法とは」というような一文をよく目にすると思うのですが、僕はそもそもモチベーションに左右されないことが大切だと思います。

もちろんモチベーションを一時的に上げなければいけない場面はあるのですが、アドレナリンをガーっと出して仕事したあとって、燃え尽きて疲れてしまいますよね。しかもその反動は、年齢を重ねるごとに大きくなっていくように感じます。だからどちらかというと、適度なモチベーションを維持するほうが重要だと僕は思います。

ちなみにこのルールが、僕の性格にとてもマッチしているというのもあるんです(笑)。僕は感情の起伏が小さく、喜怒哀楽があまりないタイプなので、そもそもモチベーションの波はあまり大きくありません。だからモチベーションを調整しやすいというのもありますが、感情の波が大きなタイプの人でも、モチベーションの高い自分にあまり頼りすぎないようにし、調整することはできると思います。

また、モチベーションは、周りのケアも必要です。もちろん自分自身でコントロールする必要もありますが、マネジメントしてくれる立場の上司などが職場にいるなら、その方のマネジメントの意識も重要だと思います。

Rule6.「事実」と「感情・意見」は分ける

対人の面で意識しているルールなのですが、相手が今話しているのは、「事実」なのか「意見」なのかを聞き分けるようにしています。なぜかというと、どちらのことを言っているのかによって、こちらがそれに合わせた有効なアプローチができるからです。

たとえば相手が事実を話している場合は、こちらもファクトベースのアプローチをします。反対に、相手が自分の意見や感情について話しているときは、こちらは相手の感情に寄り添うようなアプローチを。

この2つをごちゃ混ぜにしてしまうと、事実がはっきりと見えなくなってしまうし、どのようなアプローチが正解なのかわからず、ふわふわとしたラリーになってしまいます。だから、僕は普段から事実と意見は分けて聞くようにしています。

また、話している相手のバックボーンを理解することも心がけています。この人はどういう経緯で今お話をしていて、会社ではどのようなポジションだからこのような言い方をするんだな、というように、相手が置かれている状況も考える。そこも理解できていると、より事実と感情の聞き分けが明確にできるようになります。

Rule7.技術を活かし、持続可能なしくみをつくる

仕事を長く続けていくには、モチベーションが落ちづらい環境をつくることが大切です。

人間誰しも得意なことと不得意なことがあると思うのですが、不得意なことをずっと続けていても楽しくないですよね。あとは、同じことをただ繰り返すだけで時間ばかりが取られてしまう作業も、仕事の中にはあると思います。そういったものを、自分以外の得意とする人にやってもらったり、技術を利用して省力化したりするという方法があります。

こうして不得意なことを取り除いて、自分はより時間をかけたい作業に集中する。そうすると、自分のモチベーションも保たれるし、仕事を楽しいと感じる時間も増え、モチベーションが落ちる要因は減っていきます。

これは自分だけではなくて、マネジメントをされている方はとくに意識するべきことではないかなと思いますね。

おわりに

小川さんの人生の考え方は、とてもフラットで軽やかなものでした。

いつでも、どんなときでも、すぐ歩き始められるように。

これからの道を決め込みすぎず、自分には自由な選択肢がいつだってあることを忘れないようにする。

では、そのためにはどうしたらいいのかを、客観的に考え、日々意識している小川さんの7ルールには、ハッと気付かされるものがあります。

誰しも平等に訪れるチャンスを掴むにはどうしたらいいのか? 日々やらなければいけないことでがんじがらめになっていた足を、スッと軽くしてくれるようなお話でした。

(撮影:渡会春加/取材・文:はるまきもえ

― presented by paiza

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