2018年の創業以来、あらゆるWebシステムやサービスの画面上に操作ガイドやナビゲーションを表示し、ユーザーが迷わずにシステムやAIを使いこなせる体験を提供するAI型デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)という独自の領域で急成長を続けているテックタッチ株式会社。
同社のエンジニア採用において特徴的なのが、最終選考で行われる「カルチャーフィット面接」です。この面接ではあえてビジネスサイドチームのメンバーが候補者と対面し、技術スキルだけでは測りきれない人間性や、会社の価値観への共感度を深く見極めています。
こうした文化へのこだわりは、入社後の組織づくりにも反映されています。経営陣の想いを伝える社内ラジオや、共通の価値観をもとに称賛を送り合うSlackチャンネルなど、日々の業務の中で自然と行動指針が意識される環境が整えられています。
技術力と組織文化をどのように融合させ、強い開発チームを築き上げているのか。Head of Security / Reliabilityを務める市川悠人さんに採用設計から文化醸成のプロセスまで、詳しく伺いました。

市川 悠人さん プロフィール
東京大学理学部、同大学新領域創成科学研究科卒。ワークスアプリケーションズでAI、NLPの研究開発に従事した後、サイバーセキュリティクラウドにてクラウド型WAF製品「WafCharm」事業を部長として牽引。2022年3月にテックタッチにSREとして入社。「テックタッチ」の信頼性とセキュリティ向上に貢献した。2025年9月にHead of Security / Reliabilityに就任。
目次
成長のベクトルは自分かチームか。生成AI時代のスキル要件と、揺るがない人間性の定義
——採用ターゲットとなるエンジニアの技術要件と、重視されている人間性の定義についてお聞かせください。
市川:求めるスキルは、社内外の状況に応じて変えています。ここ2年で生成AIが製品や開発プロセスに深く浸透したことで、実装のハードルが下がる一方で、複数のクラウドやAIモデルを組み合わせたシステム全体の設計や運用の難易度は高まってきています。
そのため、現在は技術的な専門性を持ちながらも、必要に応じて領域を越えてプロダクト全体の価値提供に向き合える方を重視しています。技術に対する好奇心を持ち、自ら学び続けながら、その成果を個人の成長にとどめず、チームやプロダクトに還元していける方と一緒に働きたいと考えています。
人間性の面では、人の役に立つことに喜びを感じられる方との相性が良いですね。社内には相手の視点に立って考えるメンバーが多いため、個人のパフォーマンスのみを優先する傾向が強い方だと、チームとしての調和を乱してしまうリスクがあります。技術力はもちろん重要ですが、周囲へのリスペクトを持って協力し合えることが、私たちの組織では不可欠な要素です。
カルチャーフィットを見極める際の評価ポイント
——カルチャーフィットを見極める際、具体的にどのような点を注視しているのでしょうか。
市川:全社統一のヒアリング項目と見極めポイントは用意されていますが、僕は特に「なぜ」という問いを繰り返して候補者の考えの根底に迫ろうと努力しています。
一つの質問を深ぼるのではなく複数の質問で、聞き方も直接的でなく自然に引き出せると、その人の仕事に対する向き合い方を知ることができると考えています。
当社の選考フローは、スキル選考、コンピテンシー面接、そして最終段階のカルチャーフィット面接という構成です。この最終面接では、エンジニア候補者にはビジネス職のメンバーが、逆にビジネス職の候補者にはエンジニアが担当します。
あえて専門外の人間が対話することで、技術に詳しくない相手にも丁寧に説明できるか、歩み寄る姿勢があるかを確認しています。同時に、第三者の視点で客観的に評価する役割も兼ねています。
こうしたプロセスを経て、ありのままの組織を理解していただいているため、入社後のミスマッチがほとんどありません。結果として、離職率は非常に低い水準を維持できています。

バリューを日常語に。その文化を支える仕組みとは
——バリューの浸透を実感するエピソードを教えてください。
市川:日常の何気ない会話の中に、バリューが自然に溶け込んでいます。
例えば「いつでもごきげん」というバリューは、社員同士で人柄を称える言葉としてよく使われています。
また、顧客からのフィードバックを製品に反映したり、提案した機能が実装された際には、「Co-Developers」という言葉が自然と飛び交います。
「挑み続けろ 援護があるから」というバリューは、Slackでのスタンプや投稿で引用され、互いを称え合う文化が定着しています。
ーそのような文化は、どのようにして根付いているのでしょうか。
市川:もともと創業当初にみんなで話し合って決めた(トップダウンではない)バリューであるということが大きいと思います。自分たちで大事にしたいカルチャーを自分たちで言語化して、形骸化しないように実践していくというループがしっかり回っていると思います。今は日々の感謝を3つのバリューに照らして伝え合う素敵なチャネルがあって、人数が格段に増えた中でバリューに接触する機会をうまく創出しています。
また、採用段階でバリューに共感してくれる方を見極めていることも、文化が自然に根付く要因となっております。

自律的に動く組織をつくる。透明性と当事者意識を支える仕組み
市川:テックタッチでは、組織の透明性と、メンバー1人ひとりの当事者意識を非常に大切にしています。
経営陣の人柄や姿勢の影響が大きいのはもちろんですが、特に情報の透明性が組織の求心力になっています。
例えば、CEOとCTOによる社内ラジオでは、経営の考えがオープンに共有され、社員がリアルタイムで質問や意見を伝えることも可能です。
こうした情報が開かれている環境に加えて、立場に関係なく意見を出せる心理的な安全性があることも大きいと感じています。実際にその場で質問や意見が交わされることで、「発言しても大丈夫だ」という感覚が組織の中に自然と醸成されています。
その結果、単に指示を受けて動くのではなく、「自分たちで考えて動く」という意識が自然と生まれているのだと思います。
その象徴が有志によるワーキングチームの活動です。情シスや、テックブログ、コミュニケーションなど、さまざまなテーマでメンバーが自発的に立ち上げ、組織運営に欠かせない役割を担っています。
一方で、組織としては、かつて極めてフラットな体制を目指していましたが、組織拡大に伴い意思決定の一極集中による停滞が発生し、意思決定の分散のために階層構造を設計しました。
現在は役職に関係なくニックネームで呼び合う文化を維持しながらも、フラットさと効率のバランスを取っています。このように文化と仕組みの両方があることで、単に雰囲気が良いだけではなく、組織として成果を出し続けられる状態が保たれていると感じています。
今後求める人物像と組織の展望
ーどのような方と一緒に働きたいですか?
市川:新入社員の方を含めて全員でスタートアップマインドを持ち続けたいと考えています。
だからこそ、個人の成長意欲だけでなく、会社や組織を成長させたいという当事者意識を持った方と一緒に働きたいです。
現在は、祖業である「テックタッチ」に加え、新規事業も含めた複数の取り組みが同時に進んでいます。組織が大きくなっても挑戦のスピードを落とさず、事業を成長させ続けられる状態をつくることが、今後の重要なテーマです。
その中で私たちのチームでは、SREと情シスを横断的なガバナンス機能として再定義し、複数事業を同時に成長させる体制を構築しています。
ガバナンスを制約ではなく、事業を加速させるプラットフォームへと昇華させていきたいと考えています。
この変化のフェーズを楽しみながら、テックタッチという会社そのものを一緒につくっていける方と出会いたいと考えています。

