AWS専業のクラウドインテグレーターとして唯一の上場企業である株式会社サーバーワークス(以下、サーバーワークス)。高い事業成長率を維持しているだけでなく、従業員エンゲージメントの外部調査結果でも最高ランクを取得するなど、まさに“顧客にも社員にも選ばれる会社“だ。その秘訣ともいわれるカルチャーや行動指針について採用育成部の本郷さんに話を聞いた。

本郷 肇 さん プロフィール
株式会社サーバーワークス 採用育成部 中途採用課 課長。教育業界、人材業界で営業や企画業務、マネジメント経験を経て、IT業界で人事のキャリアをスタートさせる。以降は複数の企業で新卒採用、中途採用、組織開発、人事企画など幅広い業務に携わる。2019年に国家資格キャリアコンサルタント取得。累計のキャリアカウンセリング数は1,500件を超える。

成長と成果を両立させるための行動指針

AWS専業のクラウドインテグレーターとして成長を続けるサーバーワークスだが、創業時は異なる事業を進めており、現在の事業に転換するきっかけがあったという。

「以前は大学向けの合否案内をするWebサービスを提供していました。ただ、このシステムには大きな課題があって、合否発表が集中する2月にだけ大量のサーバーが必要という費用対効果の悪い状況でした。そんな中、AWSというクラウドサービスと出会い、必要なタイミングに必要な分だけサーバーを使えるようになるということに衝撃を受けたんです。代表の大石は『クラウドを活用することでITの世界は変わる』と確信し、現在の事業をはじめました。」

こういった背景があり、サーバーワークスは2009年からAWSに特化したインテグレーション事業を開始した。「クラウドで、世界を、もっと、はたらきやすく。」というビジョンには、クラウドを活用することで顧客の競争力を高めること、かつそこで働く人が「はたらきやすい環境になった」と感じてもらいたいという想いが込められている。

「『クラウドで、世界を、もっと、はたらきやすく。』と掲げていますので、私たち自身も働きやすい環境づくりにこだわっています。ただ、私たちが考える“働きやすさ”とは、リモートワークができることや残業が少ないことだけではなく、社員が成長し、成果を上げ続けられる環境だと捉えています。そのためにサーバーワークスでは行動指針を非常に大切にしています。」

4つの行動指針のメカニズム

働きやすさと顧客への価値発揮を両立するためにあるという4つの行動指針。サーバーワークスでは、この行動指針が形骸化してしまったり、社員の疲弊に繋がってしまったりしないようにする工夫があるという。

「まず『顧客視点』についてですが、これは弊社のビジネスモデルと関係していると思っています。実はサーバーワークスは、インテグレーターでありながらリセールやMSP・SREなどのストックビジネスで大きな収益を得ています。ストックビジネスにおいて最も大切なことは、お客様から長期的に信頼を獲得し続けることだと思っていますが、弊社ではセールス組織が提案活動に集中できるよう、新規顧客のアポイント獲得はマーケティング組織が担っています。ときにはお客様の中期経営計画まで読み解き、目先の課題解決ではなく将来的なクラウド活用を見据えた深みのある営業活動を行っています。」

転職希望者の中には“自社サービスの方針に縛られて顧客目線の提案ができない。プロジェクト期間や予算が決まっているから納得のいくモノづくりができない。利益目標のために無理な提案をしなければならない”などの声が多い。同社では“本当に長期的にお客様に価値を届けられる提案になっているのか”という視点でマネジメントや評価がなされているため、そういった課題も解決できるだろう。

また、顧客から信頼を獲得し続けるには、それ相応の専門性や提供価値の高さも必要だと本郷さんは続ける。

「これは皆さんに驚かれるんですが、エンジニアの有償稼働率を原則7割前後に抑えるようにしているんです。他社と比べてもかなり低い数字だと思っていますが、残りの時間を最新技術の学習や、学んだ内容をブログや勉強会でアウトプットすることに充ててもらっています。AWSは日々非常に多くのアップデートがありますので、これをキャッチアップし続けることは容易ではありません。そのための時間を確保し、仲間同士で議論して補い合うことで初めてお客様に最新技術を届けることができます。有償稼働以外の時間をいかに自己成長や組織貢献に繋げられるかという点において『オーナーシップ』の行動指針が根付いているように感じます。」

技術情報の共有は社内コミュニケーションツール(Slack)のオープンチャンネルでも盛んにやりとりされているとのこと。外部からもアクセスできるアウトプット先としてもエンジニアブログやサーバーワークス チャンネルがあり、業界内でも注目度の高いコンテンツとなっている。

しかし、多くの企業が有償稼働目安を9割前後で据える中、それを抑えた状態でプロジェクト遂行するのは簡単にできることではない。どのような仕掛けがあるのだろうか。

「それには『スピード』の行動指針が関わってきます。感覚として他社と比較して1.3倍から2倍の速度で動いていると話すメンバーが多いですね。案件規模にもよりますが、実際お客様からご相談をいただいてから提案をお持ちするまで1~2週間、発注いただいてから構築・運用開始までを2~3ヵ月など、かなり早い動きをしていると思います。『スピード』があるから短い時間でも高い価値提供ができますし、予測不能な事態にも対処する余裕が生まれます。」

「この『スピード』を実現できているのは、普段から技術をキャッチアップできていることが大きいですが、社内のAWS認定資格取得者率がエンジニア比率よりも高いこともあげられると思います。セールスやミドルオフィスのメンバーもAWSの資格を取得しているため、技術的な知識ギャップが比較的少ない状況で社内連携ができています。結果としてスピードが出ますし“セールスが技術的な知見なしに無理難題を請け負ってきてしまってプロジェクトにブレーキがかかる…”というようなこともありません。」

社内のトップエンジニアたちは特にこの「スピード」を意識していて、タスクの処理速度だけでなくSlackに投げ込まれた質問にもスピーディに回答しているという。そういった先輩社員の動きを見て若手も自然とスピードを意識するようになり、先手を打ったステークホルダー調整やトラブル対応力など技術以外のビジネススキルも高まっていく文化があるそうだ。

「これまで述べてきたような仕組みや文化で、私たちは組織のメンバー全員が等しく『成果』を上げられる状態を目指しています。この考えは働き方の分野でも同様で、個々人が『成果』を出すために最適な環境を選べる『クラウドワークスタイル』という制度を導入しています。」

「自律自走できるメンバーに対して定時での時間管理は必ずしも効果的とは限りません。育児などの家庭事情があっても、働く時間に縛られず『成果』を出せる環境を整えるべきですし、働く場所を問わなければ地方在住の優秀な人材を獲得することもできます。」
生産性を高めるために「はたらく場所」「はたらく道具」「はたらく時間」を社員が選択できるというクラウドワークスタイル。この考え方は今後もサーバーワークスの働き方のベースになっていくという。

行動指針の浸透に経営陣が本気

行動指針が浸透し、仕組みとしても機能しているのは経営陣の行動指針に対する熱量が高いことに起因しているという。毎週月曜日に開催される朝会では、代表の大石さんが全社員に向けて行動指針に関連するエピソードを共有したり、行動指針に沿った活躍を週間MVPとして表彰したりしている。こうした取り組みにより、行動指針が全社員に浸透しているのだろう。

「また、行動指針に対する経営陣の本気度が伺えるのが評価制度です。グレード定義をもとに、定性と定量の両方で評価する制度ですが、定性評価に関しては行動指針と紐づいているのが特徴です。グレードによって項目数は異なりますが、『スピード』が6項目、『オーナーシップ』が7項目、『成果』が9項目、『顧客視点』が5項目と最大で27項目あります。管理職の評価指標にも『チームのメンバーに対して行動指針に沿ったフィードバックが行えているか』という趣旨の項目があります。行動指針に沿って、サーバーワークスらしく成果を出すことを会社としても重要視しているんです。」

サーバーワークスでは、部長や課長といった役職は「役割(ロール)」として担うものであると考えており、グレードとは切り離している。役職によって給与額が決定するわけではない。そのため、一定期間はマネジメント業務をおこない、その後は専門性を活かした業務に戻るなど、マネジメントと専門職を行き来する人もいるそうだ。

「チャレンジに対してとても寛容な会社です。管理職を目指したい人もいれば、メンバーとして色々な挑戦をしたい人もいます。サーバーワークスは手をあげる人の背中は押す文化なので、自分のキャリアに対しても『オーナーシップ』を持てる人には絶好の環境だと思います。」

最後に本郷さんに、サーバーワークスにあうのはどんな人物だと思うか聞いた。

「あくまで働きやすさと成果創出の両方が大切なので、その観点を持っているかどうかは重要だと思っています。弊社には『ミスは叱責しない』というルールがありますが、これは失敗やトラブルを次の成果に繋げるために、ネガティブな報告のハードルを下げることを目的にしたルールです。叱責されない働きやすい環境、という点に目が行ってしまいがちですが、行動指針に合致しないような言動をしていれば適切なフィードバックを受けます。」

「私自身、ここまで行動指針に本気で、顧客にも社員にもポジティブに機能している会社は見たことがないです。ですのでこの考え方に共感できるかどうかが重要だと思っています。もちろん採用のシーンでも、近しい価値観をお持ちで行動に移してきた経験があるのかを確認させていただいていますし、行動指針を軸に信頼関係を結べる方であればぜひ一緒に働かせていただきたいと思っています。」

サーバーワークスは、今後も行動指針を通じて個人と組織の関係を紡ぎながら、クラウドで世界を革新していく。

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