顔認証を活用したIDで職場のあらゆるサービスを利用できる「NEC丸ごとデジタル IDプロジェクト」。NEC本社ビルで開始されたこのプロジェクトは2万人規模で開始され、デジタルテクノロジーを活用した新しい働き方を世の中に示している。

20組織以上、200人以上の社員が携わったこのプロジェクトを率いたのが、デジタルID・働き方DX統括部長の今泉 万寿美さんだ。そんな今泉さんに、仕事をするうえで大切にしている7つのルールを聞いた。

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今泉 万寿美さん プロフィール
日本電気株式会社 コーポレートIT・デジタル部門 デジタルID・働き方DX統括部長。1998年に日本電気株式会社(NEC)へ新卒入社。2023年4月から現職。

Rule1.「ファミリー感」を大切にし、組織の親になる

マネージメントをする際には、まずビジョンや方向性、目標をしっかりと示します。そしてブレないことが大事です。メンバーに成功体験を積んでもらうため、有言実行に力を入れています。

私は、組織においても「ファミリー感」を大切にしているんです。組織の親になりたいと思っています。

プロジェクトを進めるときには、ただ甘やかすのではなく、その人がもっとも成長できるように考えています。喜びだけでなく悔しさもあるでしょうけど、そうしたことも感じてもらいながら成長してほしいと思っていますね。

コミュニケーションの際には明るくフラットに接しながら、さりげなくその人のいいところを探しています。そのうえで雑談も交えながら、相手の考えることや思っていることを引き出すようにしていますね。

Rule2.「予測して、決める」ために情報を集める

新しいプロジェクトをはじめる際に意識していることは、とにかく計画をしっかりと立てることです。プロジェクトマネージメントの基本ですよね。体制やコスト、納期をはじめに考えます。

そして、忠実に「予測して、決める」ために情報を集めます。情報収集は多方面からおこなうことが大事です。技術やデータは嘘をつかないと思っているのですが、人は嘘をつくんですよ。だからこそ、いろいろな情報を取り寄せて、そのなかから判断していきます。

さらに、仲間になる人たちは早めに巻き込み、コミュニケーションを取るようにしています。そうしてモチベーションを高めていくんです。

たとえば、国際的な大規模スポーツ大会に関するプロジェクトを担当したときに「絶対に失敗しないプロジェクトにしよう! これで社内のアワードを取ろう!」と話してモチベーションを高めました。

プロジェクトを進めるなかで、課題に直面することもあります。でも、難しくて目を背けたくなるような課題も放置せずに、しっかりと向き合うところからがスタートです。

そして、解決するためにできることはなんでもします。一手目がだめなら、二の手、三の手と続けていきます。もし、自分たちだけで解決できないのであれば、上司や部下を問わずに越境して助けを求めますね。

ときには恥をかくこともいとわない覚悟です。そうすると、周りのみなさんが助けてくれます。そのうえで、いまできることを実行しながら、将来できることも検討します。

Rule3.熱意を大切にしながら、「仲間として巻き込む」

私はこれまでに、防衛や警察領域の事業でミッションクリティカルなシステムを担当することが多くありました。いまは、とにかくスピードを重視しています。また、会社の顔としてのDXの意味もあるので、国内だけでなく、海外協業の重要性や社会に向けてのアピールも意識しなければなりません。

DXの取り組みは全社にとっていいことなので、反対意見は出ないんですよ。ただ、総論では賛成だけど、各論では反対になることがあります。組織単位では予算やそれぞれの優先順位がありますので、なかなか簡単にはいかないのですが、関係者を仲間として巻き込むことで克服してきました。

そのために組織や社内に閉じる話にするのではなく、1つ上の視点の世界観で目標を共有します。たとえば、「NECという会社をこのようにしたい」「社会をどのように動かしたい」といったことを伝えるんです。なにより「熱意」が大切です。

Rule4.仕事とプライベートをあえて切り替えない

仕事とプライベートの切り替えはどうしているのかと聞かれますが、あえて切り替えることはしていません。ただ、子育て中は家に帰ったらママになりますね。

そのときの興味がいまの仕事に関することであれば、それに関係する書籍や論文などを読んで勉強をします。仕事と関係ないものでも、興味があれば実行しますね。たとえば、プログラムを組んでいるときはプログラミングに集中しますし、音楽に浸りたいときは音に集中します。

プライベートでは、以前からずっとスリーピースでバンド活動をしていて、ギターボーカルを担当しています。バンド活動とプロジェクトは、すごく似ていると思うんですよね。

バンドでは、最初にデモテープをつくってメンバーに渡すのですが、みんな自分の個性で曲を解釈して考えてきます。デモテープをもとに、はじめて演奏を合わせたときには「こんなふうになるんだ」と快感を得られます。個性のぶつかり合いで、素敵な世界に変わっていくんです。

プロジェクトを進めていても同じような感覚があります。そのときは本当にうれしいですし、おもしろいですね。

Rule5.情報を幅広く集め、気になるものは自分で調べる

最新情報のインプットに関しては、社内共有がしっかりしているため、さまざまな情報が自然と入ってくるんです。多くの情報に目を向け、耳を傾け、気になったことがあれば、自分自身で調べるようにしています。最近はなかなか論文を読めなくなってきていますが、気になるものがあれば目を通します。

生成AIも活用していますね。当社でも「cotomi(コトミ)」という生成AIを独自開発しています。cotomiは日本語ベンチマークにおいて、圧倒的な高速性を維持しつつ世界トップクラスの精度を達成しました。社内でも使用できる環境が整っているので、cotomiを使用して情報収集することもあります。

また、社内には経営課題を解くための変革プロジェクトへの参画、リードを担う「チェンジエージェント」というメンバーがおり、私も参加していました。変革を自分ごととして捉えるための活動の企画やリードをおこなう、社内の意識改革の担い手で、こうした仲間は非常に強力で頼りになるので、いろいろと聞くことがあります。

最近は社内に閉じず、他社動向や最近のトレンドなどを追うようにしていますね。

Rule6.最終決定は「自分がどうしたいか」を軸に

重要な意思決定をする場合には、まずは情報収集からはじめますね。上・下・横からの意見をしっかりと聞き、分析したうえで「自分がどうしたいか」を軸に判断しています。

判断した理由を尋ねられたら、ロジカルに説明することが大事です。それと同時に、なぜ自分がそう判断したのか、という気持ちの部分も話します。

グレーなことほど判断しにくいですが、そういうものにこそ理由付けが必要です。判断を求められることは、白も黒もあり得るわけです。誰が見ても白であれば、判断する必要はありません。そういうときには、私の判断を求めず勝手に動いてくれますから。

グレーな場合には根拠を示して、白とするのか黒とするのかを決めて、説明責任を果たすようにしています。

Rule7.責任感を持ち、スピード感を持ってブレずに進む

リーダーシップを発揮する際に、もっとも大事にしていることは「責任感」です。メンバーを守り、育て、成長させることを意識しています。そのときには、甘やかすだけではなく、厳しさも必要になります。そのためには、自分自身が有言実行し責任感を持つことが重要です。

変化の激しい時代のなか、 自分の固定観念にしがみつかず、柔軟でしなやかな動きができるよう対応したいと考えています。そのなかでも基本的な知識や経験は大事にし、スピード感を持って実行していかなければなりません。さまざまな変化のなかでも、自分の「これ」と思う軸はブレないようにしています。

(取材/文:川崎博則撮影:撮影:渡会春加

― presented by paiza

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