エンジニア不足が深刻化するなか、AWS、クラウドに特化した専門家集団が誕生した。
パーソルクロステクノロジー株式会社(以下、パーソルクロステクノロジー)と株式会社サーバーワークス(以下、サーバーワークス)。両社が共同出資し、2023年10月に生まれた会社がパーソル&サーバーワークス株式会社(以下、パーソル&サーバーワークス)だ。
両社の強みを活かし、クラウド領域、とくにAWS領域における高スキルITエンジニアの育成を強化し、サービスの提供をおこなっている。
会社の設立経緯と会社の強み、今後実現したいことなどについて、代表取締役社長の植木さんと取締役の千葉さんに話を聞いた。

千葉 哲也さん(画像左)
パーソル&サーバーワークス株式会社 取締役
植木 順也さん(画像右)
パーソル&サーバーワークス株式会社 代表取締役社長
目次
パーソルクロステクノロジーとサーバーワークスの強みを融合
どのような経緯で、共同出資により会社が設立されたのだろうか。そこにはお互いの強みとユーザーのニーズが背景にあった。

「パーソルグループは、広義で言うと人材ビジネスの会社です。パーソルグループ全体で約7 万人の従業員がいるなか、エンジニアも1万人以上雇用しています。ただ、AWSの専門家はそれほど多くありません。一方、サーバーワークスには、AWS プレミアティアサービスパートナーとしての高度なAWSナレッジがあります。人材ビジネスのノウハウを持つパーソルクロステクノロジーと、AWSの専門家を多く有するサーバーワークスの利害が一致し、一緒に会社を設立しました」(植木)
「サーバーワークスは、2009年にAWSに特化したインテグレーション事業をはじめてから、システムインテグレーションに特化してきました。ただ、『AWSにくわしいエンジニアに常駐してほしい』というお客さまからのニーズは、以前から存在していました。そのニーズに向き合っていきたいと考えていたときに、パーソルクロステクノロジーとのご縁があり、新しいチャレンジをはじめようと考えました」(千葉)
パーソルグループが有する人材採用・人材供給支援体制、豊富な顧客基盤、シェアードサービス。そこに、AWS認定最上位パートナーの技術力を持つサーバーワークスのノウハウを掛け合わせる。それにより、クライアントの戦略やDX推進、クラウドサービスの導入から保守にいたるまでの支援サービスを実現できると考え、会社が設立された。
企業から求められるクラウドの専門家
システムの拡張性が高くスピーディーに導入できるほか、初期費用を抑えられることから、クラウドサービスを導入する企業は増加している。そのなかでもAWSはPaaS・IaaS利用企業の半数以上を占めている。 需要は高まるばかりだ。
会社設立から約1年。経営陣としての感触はどうなのだろうか。

「サーバーワークスはSIerですので、お客さま自身が困っていることを形にしたものに対して見積もりをおこないます。しかし、形にする方法がわからないお客さまもいらっしゃいます。パーソル&サーバーワークスではSESも提供しているので、お客さまの困っていることを切り出して形にし、自分たちで解決したりサーバーワークスのようなSIerに依頼したりできるようになりました」(千葉)
「営業活動においては想定以上に問い合わせをいただいており、市場からの期待を感じています。お客さまとの商談においても、とても相性のよいジョイントだね、とのお声をよくいただきます。パーソルグループでもAWSを使用しているので、グループ内の業務も行っています」(植木)
具体的な事業内容として、AWS領域における高スキルエンジニアの育成を強化し、CCoE支援サービスを提供している。AWS専業で取り組んできたサーバーワークスのナレッジを活用しながら成果を出していく、と千葉さんは話す。
「AWSでは現在、240を超えるサービスがあり、年間で3,000回以上のアップデート がされています。また、多くの会社がマルチクラウドを採用しているので、AWS以外のクラウドも正しく理解することが求められる状況です。このなかで、AWSの専門家を社内で生み出すのは難しいと思います。私たちに依頼いただければ、AWS専業で取り組んできたエンジニアがCCoEチームに常駐しご支援可能になります」(千葉)
CCoE支援サービスでは、大規模・中規模な企業の情報システム部門やDX推進部門を主なターゲットにしている。
「千葉からもあったように、AWSの世界はとても広いので、1人ですべてを把握することは難しいと思います。私たちにはAWSの専門家が数多く在籍しているので、その知識を共有しながらお客さまに貢献するビジネスモデルです。CCoE支援サービスとしては日本トップレベルのものを提供できると思っています」(植木)
植木さんはこのように、自信をのぞかせた。パーソル&サーバーワークスでは、豊富な顧客基盤に対して高品質なサービスを提供し、3年以内に着実な成長を目指している。
現役エンジニアによるハイレベルなトレーニング

パーソル&サーバーワークスの強みとして、サーバーワークスの現役エンジニアによるトレーニングが挙げられる。クラウド経験者は、トレーニングによってAWS領域の幅と深さが広がる。クラウド未経験者は、クラウドの導入から設計・開発、運用・保守などを深く支援できるスキルが身につく。
「サーバーワークスでもおこなっている、ハイレベルなトレーニング(*)をパーソル&サーバーワークスの社員にも受けてもらっています。トレーニング完了後にお客さまのもとで仕事をはじめた際、もしもわからないことがあっても、サーバーワークスのエンジニアにSlackで聞いて解決できるサポート体制が整っています。これは、他社の人材サービスには真似できないところかもしれません」(千葉)
トレーニング内容は基礎と応用に分かれており、受講者のレベルによりコースは異なる。はじめにおこなわれる「ITエッセンシャル」と呼ばれるIT基礎研修では、2か月間にわたりインフラエンジニアとしての基本的なスキルを再学習する。続いておこなわれる「AWSファンデーション」と呼ばれるAWS基礎研修では、2か月間にわたりAWS AssociateレベルのAWSに関する広い知識を身につける。
最後におこなわれる「AWSアドバンスド」と呼ばれるAWS応用研修では、1案件1か月程度、計3か月間にわたって3つの模擬案件に取り組む。顧客役・営業役のトレーナーとコミュニケーションを取りながら、実際のプロジェクト同様に要件ヒアリングから提案、構築、検収まで取り組む実践的なトレーニングだ。
すべてのコースにおいて、アウトプットを中心としたトレーニング内容になっている。
「客先常駐する際、お客さまからはAWSにくわしいエンジニアが来ると認識されます。クラウドのサービスには専門用語が多いので、お客さまにわかりやすい言葉や情報量で説明する能力が重要です。そのためにお客さまに向き合う姿勢や伝えるテクニックなど、アウトプットをベースにしたトレーニングに主軸を置いています」(千葉)
現場での仕事よりも厳しい内容のトレーニングにしていることにも理由がある。

「フルマラソンを走る選手は、練習ではもっと走っているはずです。それにより、本番の厳しい環境でも走りきれるのだと思います。私たちのトレーニングも本番より簡単だと、エンジニアが現場で苦労してしまいます。だからこそ、トレーニングのほうが本番よりも厳しくあるべきだというのが私たちの姿勢です」(千葉)
トレーニングだけではなく、仕事をするうえでのサポートも充実している。ほかの会社に常駐しているエンジニアやトレーニング中のエンジニアと関われる機会や場所、コミュニケーションツールやイベントを設けており、困ったときにはすぐに助けを求められる。
スキルアップを望むエンジニアが多い
多くのエンジニアがパーソル&サーバーワークスに入社している。どのような理由で入社するエンジニアが多いのだろうか。
「入社してくれたエンジニアからは、『トレーニングに魅力を感じる』という声をよく聞きます。AWS認定資格は、書籍で勉強して過去問をたくさん解けば、実機に触らなくても取得可能です。しかし資格を取得したからといって、実機を触っていないと本人は現場で仕事をする自信が持てません。さきほどもお話ししたように、私たちのトレーニングでは『模擬案件』を受けてもらいます。このトレーニングは、資格だけの知識だけではクリアできません。実際のプロジェクトと同様の内容をおこなう実践的なものです」(千葉)
知識や資格はあっても実機を触ったことがないエンジニアもいるなか、パーソル&サーバーワークスのトレーニングを受ければ、実務で使える能力と自信が身につく。そうしたスキルを身につけるため、入社を希望するエンジニアが増えている。若いエンジニアだけではなく、40-50代のミドル層も活躍しているそうだ。

「私たちは多様性を尊重しているので、いろいろなメンバーに入社していただきたいと考えています。若手で伸びしろのある方はもちろん、これまでオンプレミスをやってきたけど、今後はクラウドに取り組んでいきたいと考えているミドル層の方も歓迎しています」(植木)
「クラウドでともに未来へ」パーソル&サーバーワークスが実現したいこと
最後に、パーソル&サーバーワークスとして実現したいことをふたりに聞いた。
「AWSにくわしいエンジニアは奪い合いになっています。人口が減少していることもありますが、クラウドの技術が難しいからこうした状況になっているというギャップもあるんです。パーソル&サーバーワークスは、そのギャップを埋められる会社だと思います。トレーニングの質を高めて、スキルの高いエンジニアをマーケットに輩出し続けていきたいです」(千葉)
「私たちは、『クラウドでともに未来へ』をミッションに掲げています。クラウドをさらに活用していく流れは続くので、それにより効率化が進むはずです。そうすれば、はたらく人の使える時間が増えて、いま以上に家族と一緒に過ごせるようになり、家族も幸せになれます。趣味や余暇に使える時間も増え、はたらく人の人生が豊かになる。こうした社会貢献をしていきたいですね。社内においては、助け合いの文化を強くしていきたいと思っています」(植木)
企業のDXを推進するうえで欠かせないエンジニアが不足し、社会課題になっている。そのようななか、自社でハイレベルな人材を育成し、供給するパーソル&サーバーワークス。独自の強みを武器に、急成長を続けることだろう。
(*)……サーバーワークスの研修と同様の内容は3か月、4か月のコンテンツはP&S独自で実施
