私はテストエンジニアやQAエンジニアとして働いて10年以上が経ちます。ここ数年で「開発者からQAエンジニアになった」という方や、「QAエンジニアへのキャリアチェンジを考えている」という方を目にする機会が増えてきたと感じています。

一方、「異業種からITエンジニアになるにはまずテストから入るといい」という意見があったり、逆に「テストからキャリアを始めるとテストしかできなくなるからやめておけ」といったアドバイスを目にすることもあります。

QAエンジニアとしての仕事を楽しんでいる身として、QAエンジニアと他のITエンジニア関連ロールとの間には上も下もなく、相互にキャリアチェンジできる状態が望ましいと思っています。

そこで本記事では、
・他のロールからQAエンジニアへキャリアチェンジする際のパターン
・どのような理由でQAエンジニアになるのか
についてご紹介します。

他のロールからQAエンジニアになるパターン

たとえば開発者をやっている方などが、「QAエンジニアになりたい!」と思った場合はどのようにキャリアチェンジすればいいのでしょうか。いくつか代表的なパターンがあります。

■社内での異動

社内での異動によってQAエンジニアになるパターンです。より細かく見ていくとさらに2つに分類できます。

まず、QA組織がすでにあり、そこにJoinする形があります。この形では、とくに開発者はそのコーディングや設計スキルをもとにテストの自動化を行ったりCI/CDパイプラインの構築をしたりと、SET:Software Engineer in Testのような役割からQAエンジニアになることが多いでしょう。

大企業に勤める若手のエンジニアの場合は、異動で品質保証部門に配属になり、そこからQAエンジニアの道へ・・・という方もいます。

他には、新たにQA組織を立ち上げる際に1人目のQAエンジニアになる形です。

現在多くの企業で「1人目のQA募集!」「QA組織の立ち上げ責任者募集!」などの中途採用募集が積極的に行われています。しかし、こうしたニーズに対応できるQAエンジニアは市場にたくさんいるわけではないので、どの企業でも採用に苦労しているのが現状です。

そこで、いつになるかわからない採用を待つのではなく、社内の開発者にQAエンジニアになってもらおうということになるのです。

この場合は、「そもそもQAエンジニアとはどのような役割で何をするのか」を探るところからのスタートになります。実際にこうした状況の方と何名かお話しさせていただいたことがあるのですが、皆さん情報収集に苦労されていました。

たとえばSNS等でQAエンジニアをフォローして普段何をしているのかを探ってみたり、ソフトウェアテストやQA関連の勉強会に出て発表を聞いたり、あとは書籍を読んだりしているそうです。

■転職

ふたつめは、転職によってQAエンジニアになるパターンです。

未経験QAエンジニアを募集している事業会社も中にはありますが、多くはテスト会社に入ってQAエンジニアとしてのキャリアをスタートするのではないでしょうか。

テスト会社については、「<QAエンジニアが語る>テスト会社・第三者検証会社とは – Tech Team Journal」も参照してみてください。
テスト会社の中には、QAエンジニアやテストエンジニアとしての経験がなくとも開発経験があればOK、としているところもあります。

もちろん開発業務の中でのテスト経験は必要になりますが、ソフトウェアテストや品質保証に関する専門的な知識は、入社後の研修などで学ぶことになります。

QAを目指す理由

他のロールからQAエンジニアになった方は、社内の人事異動などを除けば、なんらかの理由があって自ら「QAエンジニアになろう」と思ってキャリアチェンジをしています。そうした方々は、なぜQAエンジニアになろうと思ったのでしょうか。私がこれまでQAエンジニアの採用に関わってきた中で聞いた理由をいくつかご紹介します。

■開発者としてテストを書くうちに品質に興味を抱いた

開発業務の中でも、自身の書いたコードに対して単体テストを書いたり、できあがったシステムを納品やリリースする前にテストを行ったりします。

その中で「本当に十分なテストができているんだろうか」という課題意識や、「もっとうまくテストができるようになりたい」といった思いから、ソフトウェアテストに関する情報収集や勉強を行いQAエンジニアになったという方もいます。

■バグを見つけることが多かった

前項のように品質やテストに関してとくに関心があってQAエンジニアになる以外にも、他の人が触っても見つけられないようなバグを見つけることができるなど「QAエンジニアに向いているのでは」と気づいてQAエンジニアを目指したという方のお話も聞きます。

自分自身で「向いていそう!」と感じることもあれば、同僚から「得意だよね」「QAできそう」と言われて気づくこともあるようです。

もちろんテストでバグを見つける=QAエンジニア、とは限りませんが、自分には向いていると思って仕事ができるのはすばらしいことですよね。

■周りの開発者をサポートしたいと思った

同僚のコードレビューで問題点を見つけたり、チームの開発業務やテストを効率的にするためのツールやインフラを整えたりしているうちに、「周りの開発者が安心して成果を出せるようにしたい」と考えてQAエンジニアになる方もいます。

同じ流れでマネージメントの道に進む人もいれば、スクラムマスターになる人もいたりと、開発チーム全体に貢献する役割はいくつかあります。そのうちの一つとしてQAエンジニアが位置づけられます。

「テストエンジニアは開発組織における「現代型ゴールキーパー」である – Tech Team Journal」でもご紹介しましたが、テストエンジニアやQAエンジニアは決して「最後の砦」や「開発を遅らせる存在」ではありません。むしろ、開発者を含め他のロールに安心感を与えたり、協力して開発を加速させる存在です。

■ITは好きだけどコーディングには向いていないと思った

少々ネガティブにも見えますが、実際にこうした理由でQAエンジニアになる方もいます。

たとえば新卒から開発者として仕事をしていて、ITエンジニア自体は楽しいと思っている。けれども、コーディングなど開発者としての業務が楽しめない。あるいは、一生懸命勉強・仕事をしても成果に結びつかない。このような悩みを抱えて、コーディングをしなくてもよさそうなQAエンジニアになる、というパターンです。

私は、このこと自体は悪いことではないと考えています。向き不向きや好みはあって当然です。

ただ、私がこのパターンの方に対して気をつけていただきたいと思っているのが、周囲との期待値調整です。

たとえばテスト会社等に転職してQAエンジニアになろうと思うと、「元開発者」に対しては一定のコーディングスキルや開発知識がある、と期待される場合もあります。QAエンジニアよりも前述のSETのようなテスト自動化に特化した仕事を求められるなどです。そうなると、転職先の求めるスキルと、自身のやりたいこととのミスマッチが生じてしまいます。

もちろん、「開発者に向いていなかったからQAエンジニアになったんだよね」という方で、テストや品質に関して深い知識をもってバリバリ働いている方もいます。ただ、そうなるには相応の勉強や経験が必要になります。開発経験があれば苦労せずQAエンジニアができる、というわけではない点には注意が必要です。

キャリアの選択肢にQAエンジニアを加えてみては?

本記事では、ITエンジニアの他職種からQAエンジニアになるパターンと、その動機についてご紹介しました。

私自身はキャリアのスタートからテストエンジニアやQAエンジニアをしていますが、開発者など他職種からQAエンジニアになった同僚とも多く仕事をしてきました。コーディングスキルを活かしてテスト自動化に取り組んでいる方もいれば、ソフトウェアの内部構造を深く理解して品質を担保する方もいて、みなさん経験を活かしてQAエンジニアをしています。

待遇など含め、QAエンジニアをとりまく環境はどんどんよくなっています。「ITエンジニアとして仕事はしたいけど、今と違った職種がいいかな」という方は、QAエンジニアを選択肢として加えてみてはいかがでしょうか?

(文:伊藤由貴

presented by paiza

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