お金の流れを“見える化”するプロダクト「家計簿プリカB/43(ビーヨンサン)」をリリースし、ユーザーが欲しいサービスを生み出す会社として歩みを進めている株式会社スマートバンク。
日々ユーザーの課題に耳を傾け、フィンテック業界でプロダクトの開発を行っているスマートバンクですが、事業だけではなく、創業当時から採用面にもかなり力を入れています。
今回は、スマートバンクの「採用活動は社員全員で行う」という考え方や、実際に採用している「構造化面接」という手法の狙いについて、CTO・堀井雄太氏と、人事の中畑氏に語ってもらいました。
目次
カルチャーに共感した採用を。「離職率0(ゼロ)」は結果でしかない
──スマートバンクは堀井さんが以前会社を立ち上げたときと同じメンバーで創設したんですよね。社員の方々はどのようにして採用したのでしょうか。
堀井:
初期メンバーは、前職で一緒に働いていたメンバーを中心に声をかけ、リファラル採用を中心に組織づくりをしました。今まで長く一緒に働いていたメンバーならわたしたちのことをよく理解していますし、わたしたちのものづくりのスタイルや特性も知っているので、これから会社の礎となるメンバーとして、仲間になってもらいました。
中畑:
現状スマートバンクのメンバーは、約60%がリファラル採用によって入社したメンバーです。リファラル採用を積極的に行うことで、わたしたちが目指すカルチャーに共感していただけるようなメンバーが集まっています。
──採用では、どのようなことを意識をしていますか?
堀井:
候補者の方のやりたいことと、わたしたちの環境がマッチングしているかのすり合わせができた状態で入社していただくというスタイルをとっています。そうすることで、わたしたちの目指している目標がメンバー自身のモチベーションにもなりますので、そこは大きなポイントかなと感じています。
──現在「離職率0(ゼロ)」という結果が出ているとお伺いしたのですが、その要因はどこにあると考えますか?
中畑:
まず「離職率0(ゼロ)」というのは結果でしかなく、目標としていたわけではありません。採用にこだわり、組織づくりを進めた結果、「離職率0(ゼロ)」という成果になったという流れですね。
社員全員で行う「構造化面接」
──具体的に、スマートバンクが行っている採用方法について、お伺いしたいです。
堀井:
スマートバンクでは、「構造化面接」という手法を取り入れています。この手法はGoogleが採用している面接方法。特徴は、面接官の質問を“固定”するということです。これによって、候補者の方の回答を一定の基準で評価できるというメリットがあります。面接官によって質問の内容がバラバラだと、主観が入ってしまったり、組織の軸とは違う物差しで候補者の方を評価してしまうことがあるんです。
「構造化面接」は前の会社でも採用していた面接方法で、とてもうまくいっていました。そこから少し内容をブラッシュアップして、スマートバンクも創業時から「構造化面接」を取り入れることにしたんです。
──創業時からここまでしっかりとした採用スタイルをつくりあげているのは珍しいですね。採用チームは、どのような組織形態なのでしょうか?
中畑:
人事の採用担当は、わたしを含めた2名で行っています。ただ、スマートバンクには「採用を社員全員で進める」という文化があるんです。人事は2名なのですが、採用自体は全社員で担当しています。
──それはどういうことでしょうか?
中畑:
スマートバンクの選考は3次面接まであるのですが、1次面接は、まず候補者の方の専門スキルを見るステップです。1次面接の面接官は、候補者の方と同じ職種の社員2名が面接を担当します。
2次面接は、スマートバンクのカルチャーへの共感や専門スキル以外に求めたい能力を確認するステップ。さらに2次面接は前半と後半に分かれていて、課題解決力や主体性、チームワークできる方かを主に評価します。面接官は、他の職種を含めたまた違う社員が前半で2名、後半で2名の計4名で行います。
──選考ステップごとに面接官が変わっていくんですね。
中畑:
面接官を担当する社員は、その都度変わっていきます。面接官は社員全員が担当することができるので、候補者の方に合わせて面接の日程を調整できるのもメリットかなと思います。
──情報の引き継ぎはどのように行っているのですか?
中畑:
2次面接を担当する社員は、1次面接を担当した社員の申し送り内容を確認してから、2次面接を実施します。2次面接が終了したら、人事含め担当者全員で議論して、合否を判定します。候補者の方のどのようなところをさらに深掘りする必要があるのかなどを確認して、全員で評価を着地させ、最終選考に送り出します。
また、対面での引き継ぎに加えて、「HERP Hire(ハープハイアー)」という採用管理システムも利用しています。面接選考に関わる社員が、このシステムで一元的に応募者の情報を共有できるようになっています。
──なるほど。面接では、どのようなところを重点的に評価していますか?
堀井:
特に「課題解決能力」を重視しています。どんな人も仕事をしていくなかで、何かしらの課題に向き合いながら仕事をしていると思うのですが、その課題をどのように認識しているのか、課題に対してどのようなアクションを起こし、解決していくのかについて深掘りし、確認していますね。
──「構造化面接」を取り入れてから、採用面での変化はありましたか?
堀井:
「構造化面接」の手法は創業当時から取り入れていますが、会社の成長に合わせて、内容を少しずつブラッシュアップしています。以前は画一的な質問シートを使用して面接をしていたのですが、オープンなクエスチョンを候補者の方に投げると、こちらが求めている回答に辿り着くまで時間がかかることもありました。
それからは、候補者の方から事前にエピソードをいただいて、面接官もある程度イメージがついた状態で面接をするように変更しました。
また、会社のバリューに沿うように、質問内容は都度チューニングをしています。課題解決に対しての考え方や、オーナーシップを発揮したエピソードなどに関しては、より重要視して、評価をしています。
中畑:
スマートバンクの「Super Ownership」というバリューに沿って、オーナーシップを持って協業して課題を解決しているかを見ています。候補者の方のバリューの体現度を測っていると言っても過言ではないですね。
──ちなみに、スマートバンクはカジュアル面談も行っているのでしょうか?
中畑:
カジュアル面談もかなり積極的に行っています。カジュアル面談は、候補者の方と同じ職種の社員が担当することが多いのですが、候補者の方がエンジニアの場合は、CTOの堀井がほぼ担当しています。
──CTO自らですか?
堀井:
そうですね。フィンテック業界の開発事情は、まだ世の中にそこまで発信されていないんです。その当事者である自分たちが、業界や開発の世界について赤裸々に話すことで、転職意識がまだない人でも少し興味を持っていただけたらいいなと思っています。まずは一時的なつながりをつくれたらいいなと思って、カジュアル面談は積極的に行っています。
「人々が本当に欲しかったものをつくる」新たな活躍の場を求める人に向けて
──スマートバンクでは、どのような人材が活躍できると考えていますか?
中畑:
スマートバンクは、実は約70%がフィンテック業界未経験者なんです。ですから、新しい世界に興味があったり、次の活躍の場を求めている方にはぜひ来ていただけるとうれしいです。
堀井:
「人々が本当に欲しかったものをつくる」というのがスマートバンクの存在意義なので、そこに共感できて、ユーザーの課題解決をしたい、いいプロダクトをつくりたいという信念を持った方ですと、スマートバンクに合うのかなと感じています。
──これからの展望について、教えてください。
堀井:
組織面でいうと、組織づくりの1段階目が終わり、次のステージに移行している状態です。開発人員を増やして、組織の構造化を進めていくことが現状の目標になっています。会社としては、0から1を生んだ時代が終わり、少しずつ1から100にしていくステージにいる状態。会社の変化に合わせながら、組織体制も大きくしていき、よりユーザーに求められるものづくりをしていきたいです。
(取材/文:はるまきもえ、撮影:渡会春加)