私は今までの仕事で延べ5,000人以上のキャリア相談に乗ってきました。しかし、人見知りだったり、転職が10社に渡ったり、どこか漫画「初めて恋をした日に読む話」の主人公にも重なる「しくじりキャリアコンサルタント」だなと感じています。
キャリア相談に乗る中で、圧倒的に多かった相談は職場の人間関係の悩み。これはコミュニケーションに起因することで、私自身も「しくじり」があります。今回の記事では、相談に乗ってきた経験と、私自身の経験の両側面からコミュニケーションの改善方法を記していければと思います。
キーワードは「ストレスコーピング」と「傾聴」です。
目次
コミュニケーションの改善1:「ストレスコーピング」
春は異動・昇進・転勤・転職などの転機が多くストレスに繋がりやすい時期です。仮に良い出来事であっても、変化が大きいとストレス反応につながってしまいます。結婚・出産・介護や長引く転職活動などもそこに合わさってくると更に深刻になります。
そのストレスが気持ちの余裕をなくし、コミュニケーションにおいても、すれ違いが増えてきます。より良いコミュニケーションの土台を作るためには、日頃から気持ちを整えておくことが大切。おすすめの方法が「ストレスコーピング」です。
簡単にできるストレス解消法を手帳などにリスト化しておき、いつでも見返せるようにしておきます。日頃からストレスを小さくし、扱いやすくしておく工夫としておすすめの方法です。
「集中して息をするのも忘れていた!」という真面目さんほど、「ポモドーロ・テクニック」などの時間管理術や頑張りすぎない環境設定、自分なりのリラックス法を、日頃から研究しておくと良いかもしれません。
こうしてストレスを軽減させることが、実はコミュニケーションにおいてとても重要なのです。

コミュニケーションの改善2:「傾聴」
キャリアコンサルタントとして多くの人の話を聞いてきて分かったこと。それは、人は話したい生き物で、自分のことを分かってほしいと思っているということです。
なので、まずは相手の話を聴くこと。受容と共感の態度で話を聴くこと、つまり「傾聴」がコミュニケーションの出発点だと思います。私自身、日頃から聴く姿勢を心がけていたら、「話しやすい」と言っていただけるようになりました。
キャリアコンサルタントという肩書きのために、昔から聞き上手のように思われがちですが、むしろその逆です。幼い頃から人見知りで、母の影に隠れているような子どもでした。そのため、人と会話をする機会は少なかったと思います。聴くのが下手なのに練習しないから、上手にならないのでした。
しかし、自分の話は聞いてほしい。懸命に話そうとするのですが、上手じゃないしおもしろくもない。声も小さいのでかき消されてしまう、という悪循環だったのです。
あるとき、「自分がしてほしいことは、先に相手にやってあげると良い」という話を聞きました。じゃあ先に相手の話を聞いてみよう! と思ったのが始まりで、それから聞き役になることが多かったと思います。
次第に、よく道を聞かれたり、介護のボランティアで指名を受けたりするようになりました。自分から聴く姿勢をもつことで、相手からも関心を持ってもらえるようになったのだと思います。

-「傾聴」エピソード:聞き上手さんは得している
現在あるコミュニティのチューターとして話を聴く仕事をしています。しかし、もともとは受講生として話を聴く立場でした。意識的にリアクションをしながら話を聞いていたおかげで、声がかかったのだと思います。話し上手な主宰者なので、身を乗り出すように聴く私の姿勢が、印象に残ったのかもしれません。チューターをしていると受講生からも信頼していただけるので、いいことずくめです。
もし誰かのお手伝いをしたいと思うなら、自分の得意分野で貢献できることをアピールするのがおすすめです。私の場合は「聴くこと」でした。自分も楽しみながらできることをするのが理想ですね。
また、ライターとして取材をする場合も、普段では聞けないことが聞けます。好奇心旺盛な人にとっては素晴らしい仕事ではないでしょうか。
聞き上手さんは、身近にも多くいるもの。「私なんてまだまだだなあ」と思うことばかりです。日頃の会話のなかで「上手だな」と思うあいづちは覚えておいて、同じような場面で使ってみるのもいい練習になります。
-傾聴のあいうえお
「傾聴」で心掛けたいのは、相手に言いたいことを言えなくさせないということです。良いコミュニケーションをとるには、同じ目線に立つこと。相手が立っていたら、同じように立って体ごと相手に向き合う、目をしっかり見て話すなど、相手の存在そのものを尊重する態度や、関心を寄せる姿勢が重要になってきます。
傾聴の基本をあいうえおで表すと、次のようになります。
- あ アイコンタクト
- い あいづち
- う うなずき
- え 笑顔
- お おうむ返し
また、人間尊重の基本姿勢を理解するには、以下の方が分かりやすいかもしれません。
- あ 相手の目を見て
- い 一生懸命
- う うなずきながら
- え 笑顔で
- お 終わりまでしっかり聴く
自分にしっくりくるものを、まずは一つ取り入れてみてはいかがでしょうか。
ちなみに、私が相談に臨む姿勢はこちらです。
- あ ありがとう(貴重な時間をありがとう)
- い 意味が見つかる(これまでの経験の意味を一緒に見つけましょう)
- う うれしい出会いと
- え ご縁を大切に
- お 恩送り(映画「ペイ・フォワード可能の王国」より)
このような気持ちで向き合っております。
-身近な人で練習してみる
基本をおさえたら、試行錯誤しながら身につけていくわけですが、「YWT(やったこと・わかったこと・次にやること)」という振り返り手法が参考になります。
「相手の目を見て」を練習してみた(やったこと)
⇒じっと見すぎたら視線をそらされた(わかったこと)
⇒適度に顔周りに視線をそらしてみよう(次にやること)
以上のように、実際にやってみることで気づきやアイディアが生まれるはずです。
また、人を巻き込むのも習慣化するコツ。部活を作って練習するのも一つの手です。
私が所属するコミュニティでは、毎月一回傾聴の練習会をしています。土曜日の早朝にZoomで集まり、話し手・聴き手・オブザーバーに分かれてロールプレイング練習を行っています。
朝から話を聞いてもらってスッキリしたり、気づきや学びを得たり、お互いのいいところを見つけたりする習慣ができるので、一日の好スタートを切ることができます。
以上、しくじりキャリアコンサルタントの失敗談も交えて、変化の多い春の乗り越え方をお伝えしました。
ストレス管理と聴く姿勢を取り入れ、コミュニケーションの改善にお役立ていただければ幸いです。
(文:さつき うみ)
