「新しいチャレンジをしたくてコクヨに入社しました」。

そう語るのは、これまでに通信系IT企業や大手EC企業でエンジニアやエンジニアリングマネージャーとして活躍してきた小谷 侑哉さん。9年間勤めた前職の大手EC企業を辞め、開発エンジニア組織を立ち上げるためにコクヨ株式会社(以下、コクヨ)ビジネスサプライ事業本部のVPoEに就任した。小谷さんにこれまでのキャリアやこれからのキャリアについて、話を聞いた。

チャレンジを続ける小谷さんのCareer Decisionとは――。

小谷 侑哉さん プロフィール

コクヨ株式会社 ビジネスサプライ事業本部 VPoE。熊本高等専門学校卒業後、20歳で東京の通信系IT企業に新卒入社。25歳のときに大手EC企業へ入社し、ウェブアプリケーションエンジニアやエンジニアリングマネージャーとして活躍。2024年2月から現職。

中学生のころからプログラマになるのが夢だった

小谷さんがコンピュータに興味を抱きはじめたのは小学6年生のころ。当時、家にあったWindows98の家族共用パソコンで、ソリティアなどのゲームをして遊んでいた。そのうちにインターネットで調べながら、htmlやJavaScriptを学ぶようになる。自分でホームページをつくれるようになり、プログラミングのおもしろさに目覚めていった。

「興味を持ったきっかけは覚えていませんが、小学生のころにゲーム感覚でホームページを立ち上げました。そのときはWebには公開せず、メモ帳にコードを書いたものがブラウザに表示されて喜んでいましたね。中学生のころには、自分用のパソコンを買ってもらいました。日記を書いたり掲示板をつくったりする程度のものでしたが、遊びの延長みたいな感じでホームページをWebに公開しました。そのころにはすでに、将来はプログラマになるぞ、と思っていましたね」

熊本県出身の小谷さん。中学卒業後は、プログラマになる夢を叶えるために情報工学を学びに熊本高等専門学校へ進学した。高専を選んだ時点で、卒業後は就職しようと考えていた。熊本高等専門学校卒業後の2010年、20歳で東京にある通信系IT企業へ新卒入社。ウェブアプリケーションの開発に携わり、中学生のころから抱いていた夢を叶えた。

「新卒入社した会社では、パッケージソフトをウェブアプリケーションにする仕事をしていました。ただ、パッケージソフトをメインに扱う会社だったので、リリースサイクルのスピードがどうしても遅かったんです。スピード感のある開発に携わりたいと考え、BtoCビジネスをしているEC企業へ転職しました」

新卒入社した会社で約5年働いた後、2015年10月に大手EC企業へ転職。ウェブアプリケーションエンジニアを約3年間、エンジニアリングマネージャーを約6年間務めた。この会社ではじめてマネージメント業務を経験した。

「前職の企業に入社したのは、エンジニア組織の立ち上げがはじまって少し経ったくらいの時期でしたね。メンバーを増やしていくタイミングでして、私が入ったときには約10名のエンジニアが在籍していました。2年後にはエンジニアが30名規模の組織になっていて、5-6人の複数チームにわかれていました。当時の上長へマネージメントに興味があることを伝え、チームマネージメントする機会をいただきました。ただ、はじめのころはコードに触れたい気持ちもあり、プレイングマネージャーとして仕事をしていましたね」

小谷さんがマネージメントの仕事をしはじめたころ、経験のないなかで年上のメンバーとの接し方などに悩み、あらゆるマネージメントに関する本を読んでインプットしていた。そのときに最も小谷さんの心に刺さったのが、『エラスティックリーダーシップ ―自己組織化チームの育て方』(オライリージャパン)だ。

リーダーは引っ張るだけではなく、支えるときもある。環境や状況に応じてリーダーシップの姿は変わることをこの本から学んだ。

「東京卍會」のような関係性でチームの相乗効果を体感

小谷さんは学生時代から、周りの人を支えてみんなで成功体験をつかむことが性に合っていたという。社会人になってからもチームを支えてみんなを楽しませたい想いがあり、チームマネージメントに携わりたいと考えていた。マネージャーになってからは苦労もあったが、大きなやりがいも感じたという。そのエピソードを話してくれた。

「5人のメンバーをマネージメントしていたときに、社内システムの開発を私たちで担当しました。みんなで技術選定をするところからはじまり、リリースまで約1か月でやり切りました。そのときに、5人で700パーセントの力が出せたんです。通常、5人チームで仕事をする場合はコミュニケーションコストがかかるので、結果として300パーセントの力しか出せないことがあります。そこを500パーセントにするのがマネージメントだと思っているのですが、700パーセントという想像以上の力を出せました。スケジュールを守れたうえ、想定していた以上のものができたんです。そのときにチームの相乗効果を体感し、とてもやりがいを感じました」

小谷さんのチームが選定した技術は社内の標準言語になるまで浸透し、システム開発以上の付加価値を生み出した。チームをうまく導いたり支えたりすることで、想像以上の力が発揮できる。その経験が大きなやりがいとなり、いまも組織づくりに携わっている。

チームの相乗効果が発揮できた理由を聞くと、意外な回答が返ってきた。『東京卍リベンジャーズ』(講談社)の「東京卍會(とうきょうまんじかい)」のような関係性が大事、という答えだ。知らない方のために説明すると、東京卍會は、漫画の『東京卍リベンジャーズ』内に登場する暴走族チームのことだ。佐野 万次郎(マイキー)を総長とし、龍宮寺 堅(ドラケン)や三ツ谷 隆など、多くの仲間が支えている。

「マイキーみたいに『これできねえやつ、いねえよなぁ!!?』という感じで、上司と部下とか関係なく、いい意味で煽り合っていました。言いたいことを言い合える、心理的安全性の高いチームになったと思います。このチーム以外にもマネージメントする機会はありましたが、チームが崩壊するようなことはありませんでした。完全かどうかはわかりませんが、再現性はあるのかなと思います」

心理的安全性の高いチームの生産性が高いことはGoogle社が発表しており、多くの企業が心理的安全性を高めようとしている。方法はさまざまだが、小谷さんは対等な関係性で発言しやすい環境をつくることによってチームの心理的安全性を高めた。

コクヨでゼロから開発エンジニアの立ち上げにチャレンジ

2社目の大手EC企業で約9年働き、2024年2月にコクヨへ転職した小谷さん。前職を退職する際には、エンジニア組織は約70名の規模まで大きくなっていた。転職を決めた理由は、0→1のフェーズを体験したかったからだ。前職へ入社した際には、すでにエンジニア組織は立ち上がっていたため、ゼロから立ち上げにチャレンジしたいと考えていた。

あるとき、人づてにコクヨが開発エンジニア組織の立ち上げを検討している話を聞き、採用ページから応募。2回の面接を経て、ビジネスサプライ事業本部のVPoEとして入社した。

「前職では入社した時点で組織が立ち上がっていて、そこからスケールをさせていきました。その前の段階である0→1のフェーズを自分でやりたいという想いが、ずっとあったんです。コクヨで開発エンジニア組織の立ち上げを検討しているという話を聞き、新しいチャレンジをしたくて転職を決めました」

コクヨといえば文具のイメージを持つ人も多いと思うが、ビジネス領域は広く、ワークとライフの領域で豊かな生き方を創造する企業となることを目指している。小谷さんもキャンパスノートなどを製造販売している文具メーカーというイメージが強かったそうだ。

小谷さんが所属するビジネスサプライ事業は、文具や家具にとどまらず、オフィスで使うものをトータルで届ける流通事業・EC事業を担っている。ニーズに合わせてサービスを多角化させながら、オフィス用品運用の効率化と販売店側の受発注業務の効率化をサポートしていく必要がある。

開発エンジニア組織を立ち上げ、内製開発を可能にすることで課題に対応できるようになるだろう。

これからのキャリア展望

中学生のころから抱いていた夢を叶え、前職ではマネージメント業務を経験してきた小谷さん。これからのキャリアについてどのように考えているのだろうか。

「開発エンジニア組織を立ち上げるフレームを、いろいろな組織に転用できる人になっていきたいと思っています。どの組織でも、マネージメントの考え方やコツは一緒です。なので、組織を立ち上げていくフレームは、ほかの事業部や開発エンジニア以外の組織にも転用できると思っています。漠然とですが、組織をつくって『集の力』を最大化させることを広めていきたいという想いがありますね」

まずは、コクヨで開発エンジニア組織の立ち上げを成功させ、そのフレームをほかの事業や組織にも展開していく。そうすることで、会社全体にもいい影響を与えられる。前職時代にやりがいとして感じた「集の力」を最大化させること。これを小谷さんは広めていきたいと考えている。

最後に、さらに未来のキャリア展望について聞いた。

「将来的には、シンギュラリティを迎えた世界が来ていると思います。いまでいうChatGPTのように、その時代に世界を席巻している技術やツールをうまく活用して価値をつくり出せる人になっていたいですね」

少し前まで、これほどAIが進化するとは、ほとんどの人が思っていなかった。変化に対応し、その時代に合った技術やツールを活用することが求められる。中学生のころからの夢を叶えた小谷さんは、新たに思い描いた夢に向かってチャレンジを続ける。

(取材/文:川崎博則、撮影:渡会春加

― presented by paiza

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