みなさんは、「マウント」や「マウンティング」といった言葉をご存知でしょうか。
これらは
相手に対して自身が優位な立場であることを誇示する意味合いで用いられる言葉
です。
ITエンジニアとして仕事をしている中でも、マウンティングを目にする機会がありますよね。
偏差値の高い学校を出ていることと自慢する「学歴マウンティング」や、有名企業からのスカウトがあったと誇示する「採用スカウトマウンティング」などなど・・・
一般に、これらマウント・マウンティングはネガティブなものとして捉えられます。マウンティングをされたほうは不快になったり、あるいは「マウンティング合戦」に突入して疲弊したり。そのため、マウンティングはしない、されないほうが良いと考える方が多いと思います。
しかし、そのような「マウンティング」を大事なスキルとして扱っている書籍があります。
それが、『人生が整うマウンティング大全』です。プログラミングやシステム開発に関する書籍を多く出版している技術評論社のこの書籍。ターゲットは広く社会人一般と思われますが、ITエンジニアがマウンティングを活かして成長するためのヒントも多く含まれています。
目次
あえて「マウントさせる」ことで良好な関係を築く

ITエンジニアは、ひとりでパソコンに向かえば完結するお仕事ではありません。チームメンバーや、ときには顧客とやりとりをしなければ仕事は進みません。
私は過去客先常駐のリーダーとして仕事をしていた経験もあり、このような場合は顧客との対話がメイン業務になります。
顧客やチームメンバーとやりとりをして仕事を進めるうえでは、良好な関係を築くことや、相手から信頼を得てさまざまな情報を引き出すことが成果に直結します。つまり、相手にあえてマウントさせてあげることで、気分良く話してもらったり自分の味方になってもらったりするテクニックが効いてきます。
書籍中で挙げられている言い方としては、たとえば以下があります。
・共感型
・例:まさに◯◯さんの仰るとおりでして、
・尊敬型
・例:この点については◯◯の専門家である◯◯さんに伺いたいのですが、
・謙遜型
・例:私の理解力が追いついていないせいかもしれませんが、
どこかで聞いたことはありませんか?
また、さらに大事な要素であると私が考えたのは、マウントさせてあげる側である自分にもエンジニアとしての一定のスキルや経験が求められるということです。
いわゆる「ヨイショ」や「おべっか」のような持ち上げ方は、誰でもできます。しかし、相手にマウントをさせるためには、相手の凄さを自ら理解していることが必要です。たとえば、相手がOSSのコミッターであったとします。その場合(実際このようなことを言うかは別として)「毎日世界中からプルリクが来て大変でねぇ」というマウンティングができるでしょう。これは、マウントする相手=聞き手である自分がエンジニアだから成立します。もし聞き手である自分が銀行員やサッカー選手などまったく別の職業であれば、このようなマウンティングは成立しませんよね。
つまり、相手にマウントさせるには「この人には自分の凄さがわかるだけの知識やスキルがあるだろう」と認識させる必要があります。
逆にそのような認識を持たせることができれば、マウントさせることでかわいがってもらえるでしょう。かわいがってもらえる、とは「この人になんらかの機会をあげたい」と思ってもらえる、ということです。新しい仕事や成長の機会につながるでしょう。
「自分がマウントしたいポイント」を自覚し、努力する

先の例は、相手にマウントをさせるという話でした。次は、逆に自分がマウントする側を考えてみましょう。
本書を読むと、「ああ、自分はいままでマウントをしていたのか」と気づく点があるはずです。もし誰かを不快にしていたかもしれない、と気づいた点があればこれから気を付けることが大切です。
一方、自分が何についてマウントしていたかを自覚することで見えてくる点もあります。
マウントしていた点というのは、自分が他人に対して自慢したい、つまり強みだと考えている点です。かつ、自分がコンプレックスに感じている要素でもあるでしょう。
この点を自覚することで、「エンジニアとして自分が何で勝負したいのか」がわかります。かつ、その勝負ポイントが適切であるかどうかを考える機会にもなるでしょう。仮に、自分がこれまで「学歴マウンティング」をしていたと気づいたとすると、それはITエンジニアとして生きていくための武器になるかどうかを自問する必要があります。
マウントしていた点が自覚でき、かつそれがITエンジニアとして有効なものだと判断できたら、あとはそれを伸ばす努力をしましょう。実際にマウントをすべきという話しではなく、マウントできるくらいのスキルや経験を身に付け、自分の中身を意識に追いつかせようということです。
マウンティングを味方につけて自分のために活かそう
今回は、マウント・マウンティングというネガティブに思われるものをITエンジニアの成果や成長に活かすことと、そのためのヒントが書いてある書籍についてご紹介しました。
本書中でも、マウンティングはなくならないので、それならば味方につけてしまおうと言われています。私自身、本書を読んでいて無自覚にマウンティングをしていたポイントに気づかされたり、「あの人のあれはマウンティングだったのか」といった気づきがありました。これは、物事を捉えるときの一つの見方を得た、とも言えるでしょう。
単純にマウンティング=悪、とするのではなく、うまく自分の成長や成果を出すことのために活用したいですね。
(文:伊藤由貴)
