睡眠解析技術とセンサフュージョン技術を駆使したSaaS型⾼齢者施設⾒守りシステム「ライフリズムナビ®+ Dr.」を開発・提供するエコナビスタ株式会社。2021年からは在宅向けに東京ガスと共同事業「ライフリズムナビ®+HOME」を開始するなど、IPOへ向けて事業を順調に拡⼤している注⽬の企業です。
急速に事業が拡大し、会社としてのフェーズが刻一刻と変化する中で、開発組織も大きな変化が求められます。そんな開発組織を牽引するのが、CTOを務める安田輝訓さん。過去に別の会社でIPOの経験がある安⽥さんが、エコナビスタのCTOとして2度目のIPOを目指す中、どのようにここまでサービスを成長させてきたのでしょうか。
この記事では、同社がIPOに向けて取り組んでいることや安⽥さんがCTOとして意識していること、さらに今後の展望などについてもお伺いしました。
目次
組織の急拡⼤に伴い、チーム作りに注力
――はじめに、現在のエコナビスタの状況について伺ってもよろしいですか。
安田輝訓氏(以下「安田」):ライフリズムナビ®のユーザーが増え、5期連続で増収増益を実現するなど、IPOが目指せるレベルに着実に近づいていると感じています。これまでに種まきしてきたことが⼀気に花咲くときで、サービスのスケールアウトが急務です。そのため、現在は採用を強化し組織も拡大させていく必要があります。
ご入社いただく方には、自分たちのこれまでの軌跡をきちんとお伝えしつつ、即戦力として入社後すぐにご活躍いただけるようなチームづくりをしています。
「縁と運」を掴み、チームの士気を上げる
――安田さんはエコナビスタがご自身2回目のIPOへのチャレンジだと伺いました。IPOに大事なのは何だと考えていらっしゃいますか。
安田:1回⽬のIPOのときに 「縁と運」も大事だと思いました。同時に、「縁と運」を掴むためには、経営と開発が一貫性を持ち、お客さまをも巻き込んでシームレスに連携していくことが必要不可欠だとも感じました。だからこそ、自分自身CTOとして「事業をスケールさせるためには」「売上を伸ばすためには」といった経営課題に対して世界の技術トレンドを常ににらみながらここまでやってきました。さらに、私たちが作ったサービスをただお客さまに届けるだけでなく、お客さまからの声に真摯に耳を傾けバージョンアップをし続けています。それが社会課題を解決すると信じています。
――IPOに向かっていく中で、社内のメンバーの反応はどうでしたか。
安田:私がCTOとしてエコナビスタに参画したときからずっと「IPOをしよう」とチームのメンバーと夢を語っていました。ですから古参のメンバーは「いよいよ来たか」という感覚だったと思います。一方で、新しい方もどんどん増えてきて、これまでの暗黙知をどう伝えていくか、管理していくかなど戸惑いもあったようです。
そこで、用事がなくてもメンバーの顔を見に行くようにしました。何か問題がないか、何か不安なことがないか、こちらから拾いに行くようにしました。さらに、メンバーとの会話やメンバー同士のコミュニケーションの場を増やし、当たり前の文化として定着させていくことを意識しました。管理するためのマニュアルに力を入れるより、私はコミュニケーションで開発の透明性を図ることが⼀番効率のいいやり⽅ではないかと思っています。
今は売上拡大が数字で見えるようになり、開発・実装の結果もダイレクトに顧客から返ってくるようになりました。「本当に必要とされるものを開発した先にあるのが、IPOである」という意識が⽣まれていて、すごくいい流れになっていると思います。
――過去にIPOしたときの経験は今役に立っていると感じますか。
安田:そうですね。前回のIPO時は私も20代と若かったので、本当にただ短距離⾛を何度も繰り返している感覚でした。具体的には、エンジニアとしてプログラムを書くだけでなく、マネジメントもしていましたし、営業に⾏ってお客さまと直接顔を合わせて、しかられて帰ってくることもありました。このようにがむしゃらに走る中で開発・営業・売上まで一気通貫して経験したことで、ものづくり目線だけでなく、「売上を⽴てる」という経営視点も持てたのは、大きい経験だと思います。

――IPOのご経験があるだけでなく、エンジニア以外の役割も幅広く理解している⽅がリーダーだとメンバーも安⼼ですね。
ビジネスが⼀気に広がるこの機会にエンジニアとして飛び込む意味
――IPOが現実的な⽬標になってきて、組織の規模を⼤きくしていこうとしている今、エンジニアのメンバーに求められる要素はどのように変わってきましたか。
安田:先ほどのコミュニケーションの話とつながりますが、会社が⼤きくなり、組織が拡大するにつれて、チームワークの重要度が増しています。そのため、周りとしっかりコミュニケーションをしながら、チームやプロジェクトをけん引できる方を採用するようになりました。
ただ、ここで⾔っているコミュニケーションとは、たくさん話すことではありません。あくまで⾃分の隣の人が何をやっているかに気づき、細かく⽬配せができるといったことを求めています。
――最後に、エコナビスタへの転職を検討しているエンジニアにメッセージがあればお願いします。
安田:エコナビスタは、「介護事業者・⾼齢者向けサービス」という見方をしてしまうともったいない企業です。私はまだこの会社で⽬指していることの半分もできていないと思っていて、現在の事業を軸にしつつそれをどう横に広げていくかをずっと考えています。私たちが持つ睡眠のビッグデータは高齢者だけにとどまらず活用領域を広げつつありますし、日本だけでなく海外からの注目も集めています。人は必ず眠るので、最も身近なテクノロジーの一つと言っても過言でありません。
どんどんビジネスを拡大するためには、エンジニアの皆さんのチャレンジ一つひとつが大きな意味を持つと考えていますので、特許出願を積極的に行うなど、エンジニアのチャレンジを応援する風土作りを行っています。エンジニアからの提案は積極的に採用しますし、ハードウェア・ソフトウェアの両⽅を触りたいと手を上げていただければ喜んで挑戦していただいています。なかなか他社ではできない開発経験が積める環境だと思います。
――安⽥さんというIPO経験者がリーダーとして開発組織を⽀えてくれているからこそ、エンジニアの個々のチャレンジが生きるのだと感じました。本⽇はありがとうございました。