わたしは紆余曲折ありながら7つの企業で働き、現在フリーランスとして働いている。年齢や転職回数、ライフイベントなどが「壁」となり転職自体に悩んだこともある。

「年齢」「経歴」「給与・待遇」「やりがい」などが頭の中をぐるぐるまわり、キャリアチェンジに悩んでいる方もいるだろう。

そんな転職に関して、モヤモヤを抱えている人に読んでほしいのが『元CA芸人 CRAZY COCOの夢へのフライト直行便』だ。

芸人の話と侮らないほうが良い。キャリアチェンジや転職で悩んでいる方のモヤモヤを打開するきっかけになるエピソードに必ず出会えるはずだ。

<著者紹介>
CRAZY COCO1986年、大阪府生まれ。大学卒業後、得意な英語を活かせる商社に入社するも、ブラックな企業体質に限界を感じて転職を決意。27歳のときにエミレーツ航空のCA(キャビンアテンダント)となる。その後、会社員としてコンサルタント会社や商社など、3社を経てお笑いの世界へ。自身のCA経験を活かした「東京CAと関西CAの違い」「日経CAと外資系CAの明らかな違い」などのネタ動画がSNSやYouTubeで人気を博している。

リサーチに手を抜かない

1社目に勤務した商社では、入社後に感じたギャップや理不尽さに悩みながらも「仕事として割り切るしかない」という気持ちで過ごしていたCOCOさん。入社3年目にさしかかったときに限界を感じ、転職活動を始めた。

すでにエミレーツ航空で働いていた友人のカッコよさを前にし「転職先はエミレーツ航空のCA一択」と決める。(この潔さは、なかなかマネできない。)

そんな1社に絞った志望先の試験準備でCOCOさんが意識したのは「受験者の中で、一番エミレーツのことを知っています」と言えるくらい、とことん企業について調べること。

とくに外資系企業を受ける場合は、会社のホームページを英語版でも閲覧することや、現地のニュース記事からもリサーチすることが、情報を取りこぼさないようにするために大事なのだそう。経営者が著書を出していれば、太字部分は暗記するくらい読み込むのもCOCOさんにとっては当たり前なのだ。

またCA試験経験者ならではの指摘も、次のように書かれていた。

『みんなアウトプットするっていうのを最終目的としてインプットしていないんですよ。ただ覚えてて。(P.30)』

面接で聞かれるであろうことは早押しクイズで回答するスピード感を意識し、インプットすることを徹底。試験本番では、まわりが考えている間に回答し、他の受験者と差をつけたエピソードが印象的だった。

これまで自分が経験した転職活動では、面接の準備として「自分のことを、どうアピールするか。どう話すか」という点に意識がいきがちだった。それも大切だが、キャリア採用こそ「相手(企業)を知り尽くした状態で臨む」ことが、他の志望者との差別化につながる可能性があると本書を読んで気づかされた。

面接やプレゼンなど相手に自分を売り込みたいときこそ「相手(企業)への理解をとことん深めること」と「すぐにアウトプットができるようにインプットすること」を意識したい。

「失敗しないこと」にこだわりすぎない

2回目の採用試験でエミレーツ航空に受かった、COCOさん。1回目の試験で落ちてしまったときの考え方にハッとなる。

『私は2回目でしたけど。なんで最初からうまくいくと思ってんの?みたいな。失敗しないことにこだわりすぎる、日本人は。(P.40)』

最短で自分の目指すゴールに到着できるのが理想だが、現実はなかなか思うようにいかない。しかも、その理想をいつの間にか「マストな条件」として設定してしまっている人が、自分を含め多い気がしている。

「1回目だから失敗しても仕方ない」

「自分に都合よく解釈する力で、ヘコまない、引きずらない」

そう語るCOCOさんの考え方や切り替え力は、とくに転職活動のはじめでつまずいたときこそ取り入れるべきだろう。「失敗しないように」といった自分を追い込む気持ちを手放すだけで、少し心が軽くなるはずだ。

キャリアチェンジに年齢は関係ない

27歳でCAとなり、35歳で芸人の道へ進んだ自身を「CAとしても芸人としても遅咲き」と称するCOCOさん。年齢を理由にキャリアチェンジをあきらめることにNOを唱えている。

『年齢とかホンマに関係ないから、やりたいことをやった方がいいですよと、これを声を大にして言いたいです。(p.20)』

そもそもCOCOさんが芸人の道を志したのは、2021年にコロナウイルスに感染したことがきっかけだった。入院しても高熱が続き、死を意識したときに「やりたいことを仕事にしたい」と強く思ったのだそう。そして体調が快方に向かうと同時に「女芸人No.1決定戦 THE W」へエントリー。

目指したのは「優勝」ではなかった。荒削りな芸(スキル)でも誰かの目に留まり「こいつ誰だ?」と話題になること。

ここで、もし「舞台でネタなんてやったことない素人だから…」「35歳から新しい夢を追うなんて無理だろう」と考え、エントリーをためらっていたら芸人CRAZY COCOは誕生していなかったかもしれない。

キャリアを好転させたいときには、決断力そしてスピード感ある行動力が必要だ。しかし、そうした力を押さえ込んでしまう「年齢やスキル不足などを挙げ、チャレンジしない理由を用意すること」こそ、キャリアチェンジにモヤモヤを抱えるひとつの原因なのでは…と本書を読んで感じた。

さまざまな経験を重ねると、いくらでも「チャレンジしない理由」は用意できてしまう。こうした理由を捨てて、やりたい気持ちにふたをせずに動き出すことが、幸せなキャリアをつかむコツなのではないだろうか。

本書には上記以外にも「目標の落とし込み方」や「ストレスを減らすための方法」「COCOさん流のお金の使い方」など、前向きな気持ちを分けてもらえる内容が盛りだくさんだ。

一冊読み終えた今、自分のマインドを少しCOCOさんに寄せるだけで、低空飛行の期間が減るような気がしている。

(文:ふじい)

― presented by paiza

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