ITエンジニアの界隈では、勉強会やカンファレンス、シンポジウムなどさまざまなイベントが開催されています。

わたしは普段QAエンジニアとして仕事やコミュニティ活動をしているので、テストやQAに関するイベントの情報にふれることが多いです。しかし、開発者やテックリードなどQA・テストエンジニア以外の方からすると、なかなか馴染みがないかもしれません。

最近では、テストや品質に関心のある開発者の方が増えていたり、QAエンジニアを採用するためにQAの考え方やコミュニティの空気感を知りたいという方もいたりします。

そうした方々に向けて、今回はソフトウェアテストやQAに関する各種イベントについて、「こんなときはこのイベントがオススメ!」という情報とともにご紹介します。

なお、今回は主にコミュニティや団体主催のイベントを対象としてご紹介します。企業主催のものやセミナーなど、宣伝がメインとなっているイベントは除いてありますのでご注意ください。

また、私が過去に参加した経験などからどんな方・目的での参加がオススメかをご紹介しますが、各イベントにはそれぞれターゲットの参加者およびルールが存在します。たとえば「採用の声がけ目的の参加は不可」など明示されているものもありますので、ルールや行動規範などを確認のうえ参加をお願いします。

ソフトウェアテストやQAに関するイベント

今回は5つご紹介します。

JaSST(ソフトウェアテストシンポジウム)

JaSSTソフトウェアテストシンポジウム

まずソフトウェアテストのイベントといえば、というくらい界隈でメジャーなのがJaSST(Japan Symposium on Software Testing)ソフトウェアテストシンポジウムです。

JaSSTは北海道、東北、新潟、東京、東海、北陸、関西、四国、九州と地域ごとの開催のほか、JaSST Review、JaSST Online、JaSST nanoといった対象な内容に特化したものも開催されています。

もともとは地域ごとに開催されていましたが、コロナ禍でオンライン開催が主になっていました。本記事の執筆時点ではオンライン+オフラインのハイブリッド開催など、また各地域現地での開催も戻ってきています。

ITではない異業種の方の招待講演がある地域や、本気のワークショップがある地域など、それぞれに特色があります。

とくにJaSST Tokyoは並行セッションで多岐にわたる講演・発表があったり、国内外の著名な方による講演があったりします。他地域開催のものも含め、ソフトウェアテストやQAを専門としている方以外でも参加しやすいシンポジウムです。

開発者の方が個人で参加するのもいいですし、開発部門のマネージャーの方が参加をしてもいいですし、間口の広いイベントです。

また、少しかわったJaSSTとして、毎月オンラインで行われるJaSST nanoがあります。

こちらは

小さな小さな、最も発表のハードルの低いJaSST

と位置づけられており、ソフトウェアテストやQA、品質に関するトピックについてレベルや質に関係なく話したい人が話すイベントです。

話す側もですが、聞く側も気軽に参加できるので、まずはここからテストやQAイベントに参加してみるのもアリですね。

JaSST nanoが気になった方はYouTubeの再生リストから過去開催の雰囲気をチェックしてみてください。

SQiPシンポジウム(ソフトウェア品質シンポジウム)

ソフトウェア品質シンポジウムは、その名の通りソフトウェアの品質に関するシンポジウムです。

ソフトウェア品質シンポジウムのコンセプトは「聴く、考える、話す」です。

とされており、ただセッションを聴くだけでなく、積極的に考えたり話したりして参加・問題解決につなげようというコンセプトの場です。

JaSSTに比べると参加費が高めだったり、経験発表や経験論文などが多かったりと一見ハードルが高く見えるかもしれません。しかし、誰もが知っている企業の中での品質に関する取り組み事例などが(一部SNS等への公開NGの内容も含めて)聞けるメリットもありますし、学びが多いイベントです。

JSTQBカンファレンス

JSTQB カンファレンス in 2023 Autumn

日本におけるソフトウェアテスト技術者資格認定の運営組織であるJSTQB(Japan Software Testing Qualifications Board)が運営するカンファレンスです。直近では

JSTQBカンファレンスin2021 Spring – connpass
JSTQB カンファレンス in 2022 Autumn – connpass

と年に1回のペースで開催されています。

内容はJSTQBも参加しているISTQB(International Software Testing Qualifications Board)の動向紹介や海外ゲストの登壇などです。

イベントのターゲットは、2022年開催時は

ソフトウェアの開発者・テスト技術者・品質管理/品質保証の担当者の皆様へ

となっていましたが、2023開催では

ソフトウエアの開発・運営に関わる全ての皆様へ

と広がっています。

開発者の方が「普段の業務に役立てたい!」という意図ではじめて参加すると「?」が多くなるかもしれません。可能であれば他のイベントに参加をしてからが良さそうです。
一方、QAやソフトウェアテストに関する動向を知りたい、という場合は得るものが多くあるでしょう。

QUES(キューズ)

Ques

ヒューマンクレスト社主催ではあるものの、会社の宣伝というよりは複数の企業からQAエンジニアが登壇する形のイベントなので、今回取り上げさせていただきました。

Webサービスやモバイルアプリなどを開発・提供している会社さんからの発表が多いため、組込み等よりはWeb・モバイルの開発者・QAエンジニアのほうが直接役に立つ知見を得られるでしょう。

Quesも、現場のエンジニアからリーダー・マネージャーまで幅広く役に立つイベントです。

過去の発表の一部はYouTubeチャンネルでも公開されていますので、こちらもチェックしてみてください。

WACATE

WACATE : 若手テストエンジニア向け勉強会・ワークショップ

最後は少し毛色が変わって、合宿形式で2日間にわたって行われるワークショップ形式の会、WACATEをご紹介します。

WACATEはWorkshop for Accelerating CApable Testing Engineersの略で、若手でテストに興味がある方を対象としたワークショップです。毎年6月と12月に開催されています。

コロナ禍以前は、神奈川県の三浦半島にある宿泊施設(と併設の研修施設的なところ)で土日の2日間開催でした。コロナ禍ではオンライン開催や、現地開催ではあるものの宿泊なしで土曜日×2週のトータル2日間の開催形式もありました。

こちらは現場で実務をやっている、若手=35歳までの開発者もしくはテストエンジニアが主なターゲットです。毎回1クラスくらいの人数が集まって、5人程度の班に分かれていくつものワークショップを行い、ソフトウェアテストに関して学びます。

そのため、「ちょっとテストについてのレクチャーを受けてみたい」くらいで行くと面食らうかもしれません。テストの知識やスキルアップ、そして同じくらいの熱量の仲間を見つけるという意味ではとても良いイベントなので、そうした思いのある方の参加をオススメします。

その他のイベント情報がほしいときは

ここまでは、主に団体や有志の実行委員主催の大きめなイベントをご紹介してきました。

ほかにも、企業主催や草の根的な勉強会・イベントなどがたくさん開催されています。むしろたくさんありすぎて、テスト・QAエンジニア界隈でも追いきれないくらいになっています。

そこで、そうしたテスト・QA関連のイベントがどこか一か所で見られたらいいな、という思いからテスト・QA関連イベントカレンダーというものを作成・運営しております。

こちらを見ていただくと企業主催のセミナーや小規模なイベント等も含めて探せますので、よろしければぜひ見てみてください。

まとめ

開発者など、テストエンジニア・QAエンジニア以外の方には馴染みがないかもしれませんが、実はテスト・QA界隈でもたくさんの勉強会やカンファレンスなどのイベントが開催されて&盛り上がっています。

昔は「テストの人」しか集まらないような時代もあったかもしれませんが、最近ではテストや品質に興味のある開発者が参加・登壇されることも増えてきています。それぞれのコミュニティのイベントに相互に参加し、盛り上げていけるといいですね。

開発者やマネージャーの方など、ぜひテストやQA関連のイベントにも参加してみてください!

(文:伊藤由貴

 presented by paiza

Share