キャリアアップや自己成長に意欲的なエンジニアは、自身のキャリアについて常に悩むものです。わたし自身も例外ではありません。
悩むというとネガティブな印象を受けるかもしれませんが、自分のキャリアや今後について考えるのはよいことです。
しかし、あまりにも思い悩みすぎてしまう、つらくなってしまうのは困ります。ある程度考えたら、そこから仮説を立て、行動を起こすなど、未来につなげるアクションが必要です。
今回は、キャリアや成長についての悩みがなくなる方法……ではなく、悩みと付き合っていく方法の一つについて、わたしの体験談もふまえながらご紹介したいと思います。
目次
キャリアに関する悩み
まず、ITエンジニアのキャリアの悩みについて整理してみましょう。
これまで自分自身が悩んだり、あるいは部下や後輩から相談を受けたなかで見えてきたことがあります。
それは、「この仕事を辞めたい」といったネガティブな悩みではなく、「もっと成長したいがうまくいかない」など、ある意味ポジティブな悩みを抱えている方が多いということです。
もちろん、IT業界も広く、いろんな方がいます。ポジティブな悩みを持つ方に囲まれていたのは、わたしが恵まれていた面も大きいかもしれません。しかし、ここはTech Team Journal。おそらく読者の皆さまは「IT業界でどう身を立てていくか」もしくは「関わる若手に対してIT業界をどう楽しんで、身を立てて、活躍してもらうか」という意識を持ってらっしゃる方が多いのではないでしょうか。
こうした意欲的な方々にとってのポジティブな悩みというのは、キャリアの方向性だけでなく、進みたい方向への推進力をどう大きくするのかという面を含んでいます。
つまり、今の職種(フロントエンド、バックエンド、インフラ、QAなど)でもっと成果を出したい、成長したいがなかなか思い通りにいかないという悩みを持っている状態です。
悩みとうまく付き合っていくために、自分の強みを知る
こうした悩みというのは、ITエンジニアのキャリアや成長についてまじめに考えている証、という側面もあります。
そのため、キャリアや自己成長に関する悩みが完全に解消されることはありません。
悩みをなくすのではなく、
- 悩みすぎない、気落ちしすぎない
- ほどよい悩みを持ちつつ、成長や成果につなげる
という意識に変えていくことが大切です。
この、悩みを持ちつつ成長や成果につなげていくために、わたしは「自分の強みを知る」ことが有効だと考えています。
オススメはクリフトンストレングス
強みを知る方法の一つに、「クリフトンストレングス(ストレングスファインダー)」というものがあります。
参考:クリフトンストレングスオンライン才能テスト | JA – ギャラップ
才能テストと聞くと「ちょっと怪しい」と思ってしまう方もいるかもしれません。
このテストは、設問(177問)に答えると全34種類の資質のうち自分はどれが強いのかのランキングをみることができる、というものです。
強み・資質といった表現をしていますが、これらは考え方や感じ方、行動のパターンのことを指しています。
クリフトンストレングス・テストの活用方法 | JA – ギャラップから、実際のサンプルなどをみることもできます。
このクリフトンストレングスをオススメする理由は、主に2点です。
- 高価すぎない
- たんなる占いではなく、自分の回答によって結果が出るので、ある程度信頼できる
このようなテストは、結果を知るために数万円も必要なものもあります。しかし、効果がどの程度かわからないものに対してすぐに数万円を支払うのはためらいますよね。
クリフトンストレングスは『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 最新版 ストレングス・ファインダー2.0』という書籍を購入すると、付属のコードを用いてテストを受けることができます。これが2,500円弱です。
一点注意が必要なのは、書籍付属のコードでテストを受けた場合、知れる特性は上位5つのみであることです。
実際には34種類すべての特性に対して、じぶんにとって強い順に1番から34番までの結果が出ます。すべての特性を知りたい方は、最初から公式サイトで8,450円のフルバージョンを購入するとお得です。(※本記事執筆時点)
フルバージョンには電子版かつ英語ですが、書籍も付いてきます。強みを活かすためのレポートのほうは日本語で閲覧可能なのでご安心ください。
ここまでの内容からは、わたしがクリフトンストレングスの回し者のようになってしまっていますが、もちろん他の診断やテストを用いても構いません。大切なのは、自分の強みを知り、それを自分が納得できることです。
わたしの強みをご紹介
参考までに、そしてこの後の話にも関係してくるため、ここでわたしのクリフトンストレングスの結果を一部ご紹介します。
わたしは34種すべての順番が見られるようにしているため、強みだけでなく発現が弱い資質(弱みではない)についても知ることができます。
上の画像の例では、わたし(伊藤由貴)の資質トップ5は
1. 収集心
2. 自我
3. 学習欲
4. 内省
5. 個別化
です。
その他の資質について、たとえば「実行力」の一つ「達成欲」は31位と低く、同じ実行力の「信念」は10位と比較的高めとわかります。
この資質ランキングとともに「収集心が強い人はこんな傾向にあります」「こんなことに気をつけましょう」などの説明も付いてくるため、自分の日常的な行動やとくに仕事上の行動の参考にできます。
強みを仕事に活かすアプローチ
さて、クリフトンストレングスもしくは別のツールでもよいですが、自分の強みが可視化されたとします。では、仕事でどうキャリアを築いていくか、成長していくかといった悩みに対して強みを活かすにはどうすればよいでしょうか。
会社や職種ではなく、仕事の捉え方を変えてみる
キャリアアップや成長という点では、転職して違う会社で働くことや、そもそも違う職種で働くという選択肢もあるでしょう。しかし、わたしがオススメしたいのはもう少しハードルの低い方法、仕事の捉え方を変えることです。
実際にわたしがクリフトンストレングスを活用した例をご紹介します。
先にご紹介したわたしの強みのうち、4位にあるのが「内省」です。若いころはとくに、この内省が発揮されていました。内省は文字通り内を省みる、いろいろなものごとについて考え続けていたように思います。そういうと聞こえはよいのですが、もっとストレートに言ってしまえば「悪いように考えすぎてすぐへこんでいました」が正しいです。失敗を恐れたり、失敗したことを気にしすぎたりするタイプでした。
もちろん今もその根底は変わっていませんが、クリフトンストレングスによって少し変わることができた部分もあります。
それは、「1位の資質、収集心を活かせばよい」と気づいたことです。
たとえば何か失敗をしたとき。ただ単に「失敗した」と捉えるのではなく、「失敗事例を一つ増やすことができた」と考えるようにしました。収集心という資質は、物や情報を集めることに長けていて、それを好む傾向があると言えます。そのため、「失敗を一つ集めた」という視点で捉えることで、それが単なる失敗ではなく「自分の強みを活かしている」「自分に適したことをやっている」と自覚できるようになりました。
同時に、失敗を学びに変えて自分用のお仕事マニュアルをつくることも始めてみました。これは1位の収集心と、3位の学習欲につながるアクションです。
こうした考え方ができるようになってから、だいぶ気持ちの面で安定しました。また、強みを使った仕事の捉え方によって、学びが増えて成果に繋がりやすくなったとも感じています。クヨクヨ悩む前に目の前の仕事に向き合う割合が増え、結果的に満足いくキャリアが歩めています。
もちろん、強みを元に仕事の捉え方を変えることは、収集心や学習欲が強い場合限定の話ではありません。34種類ある資質それぞれに、活かす方法はあると考えています。
要は、仕事とその目的に対して道は複数あるので、自分が得意な道を通ろうという話です。得意な道を知るヒントになるのが、クリフトンストレングスあるいは類似のテスト・診断です。
まとめ:強みを自覚することで、悩みを成長の糧にする
まじめにエンジニアをやっているほど、キャリアや成長に関しての悩みはつきもので、その悩みが完全に消えることはありません。
ただ、自分の強みを自覚することで、目の前の仕事に対して得意なアプローチで対応できるようになります。ここが悩みとうまく向き合うためのポイントだと考えています。
うまくいかないことや困ったことがあったとき、強みを活かして解決にチャレンジする。これによって、キャリアや成長に関する漠然とした悩みをもつ状態から、目の前の仕事に意識を向けた状態へと移行できます。
加えて、強みを活かしたチャレンジをすることで、自分の成長実感を得ることもできるでしょう。
今回は強みを知る手段としてクリフトンストレングスをご紹介しましたが、もちろん他のものでも構いません。自分の強みを活かして仕事へのアプローチ・考え方をすることで、キャリアを着実に積み重ねてみてください。
(文:伊藤由貴)