「単語登録エバンジェリスト」を名乗っているヨスです。わたしは単語登録の活用法を考えることがライフワークになっていて、そのすばらしさを日本中の人に届けたいという志をもっています。

単語登録への愛が強すぎて書籍の出版もしました。わたしがなぜ単語登録にこだわるのかというと、パソコンに最初から備わっている基礎的な機能でありながら、使い方しだいで文字入力が爆速になるから。

パソコンの基本といえばタッチタイピングですが、一定レベルに達するとスピードが頭打ちになります。それ以上のスピードをめざすにはかなりの時間がかかるため、タッチタイピングだけではタイムパフォーマンスはなかなか改善しないのです。

20代のころ、まさにその状況になったわたしは「単語登録」に目をつけました。一般的には「単なる文字入力の補助」としか思われていないシンプルな機能ですが、試行錯誤して利用すれば、あなたのアシスタントのような力を発揮してくれるのです。

本記事では「単語登録エバンジェリスト」のわたしがやっている、タイムパフォーマンスを上げるために知っておきたい単語登録のコツを7つ紹介します。

使用頻度の高い単語を登録する

単語登録をフル活用するためのコツの1つ目は、使用頻度の高い単語を登録することです。

たとえば「おはようございます」や「お疲れ様です」といった毎日使うあいさつ。頻繁に使うことがわかりきっている言葉は、ぜったいに単語登録しておきましょう。

あいさつだけではなく、業務上よくつかう言い回しや専門用語、固有名詞(地名、建物の名前など)も登録しておくとタイムパフォーマンスが上がります。

上のアニメーション画像では「単語登録 → tt」「タイムパフォーマンス → tp」に登録しています。

「この単語を入力するの、今日2回目だな」と感じたら登録する、という気軽さで登録してしまいましょう。「以前登録した気がするけど……」と思ったとしても、もう一度登録してしまえばいいのです。

ちなみにわたしは、2,000単語ほど登録していますが、ダブっているものもありますし、ぜんぜん使っていないものもありますよ。

短い「読み」で単語登録する

単語登録をフル活用する2つ目のコツが、短い「読み」で単語登録することです。これはあたりまえですよね。

たとえば「お疲れ様です」を単語登録している人は多いと思いますが、「おつかれ」で登録するよりも「おつ」で登録すると効率がよくなります。

その単語を入力するときの本来の打鍵数(キーに触る回数)と、登録するときの「読み」の打鍵数に差があるほど、タイムパフォーマンスは高くなりますよ。

次の例をご覧ください。

「いつもお世話になっております。株式会社ピザ・クイテーナのヨスです。」をふつうに入力すると、なんと63回もキーを押す必要があります(Spaceキー、Enterキーの回数は除外)。

そこで「いつおせ」にこの2つの文章を登録した場合はどうなるのでしょうか?

驚くことに、キーを押す回数が6回にまで激減します。おおげさに書くと、この例では文字入力にかかる労力が90%以上も削減するという計算に。

しかも、63回もキーを押すのと6回しかキーを押さないのとでは入力ミスが起こる確率もかなり減ります。

「変換候補が競合しない読み」で単語登録する

前項で、単語登録するときの「読み」は短いほうがいいと述べました。
そのロジックからいうと、さきほどの「いつもお世話になっております。株式会社ピザ・クイテーナのヨスです。」を「い」に登録するのが最適だと考える人もいるでしょう。

ところが、ここに思わぬ落とし穴があります!

それが、単語登録をフル活用するさいに一番知っておくべき「変換候補の競合」の問題です。もしこのあいさつを「い」に単語登録すると、次のようになるのではないでしょうか?

「い」と読む漢字が「位・胃・伊・意・井・衣……」とたくさん出てきて、わたしにはまるで「オレを選んでくれ!」「いや、こっちをクリックして!」と主張し合っているかのように見えます。

このように「変換候補」のある「読み」で登録してしまうと、そのなかから「選ぶ」という作業が発生してしまいます。つまり、スムーズに入力できなくなるのです。

「読み」は短ければいいのではなく、ほかの「読み」と競合しないという前提をクリアしたうえで短くすることをしっかりと覚えておきましょう。

「読み」を日本語にしない

単語登録をフル活用する4つ目のコツが「読み」を日本語にしないこと。たとえば、さきほどの「いつおせ」を「いt」に単語登録するという意味です。

前項では「いつおせ」より文字数を少なくし、「い」に登録すると競合する言葉が生じる例を紹介しました。では「いt」に登録すればどうでしょうか?

「いt」という読みの日本語は存在しないため、「Spaceキーを連打して単語を選ぶ」という動作がなくなります。つまり「い」に単語登録するより1文字多くなりますが、結果的には「いt」に登録したほうがスピードが速くなります。そう。「読み」を日本語にしないことが単語登録では効果的なのです。

そのために、わたしが一番おすすめする文字が「;(セミコロン)」。セミコロンは入力しやすいうえに日本語の「読み」に使われることがないという特徴があり「単語登録で活用するために存在するのでは?」と思うほどです。

たとえば、わたしことヨスのプロフィールページURLである「 https://ttj.paiza.jp/archives/interviewee/yos/ 」を「よす;」に登録します。「;」が「読み」で使われる日本語は存在しないため「選ぶ」という作業がなくなり、ラクに入力できるようになるというわけ。

わたしは文章を書くときに、単に「ヨス」と入力することも多いため、2つの単語が競合しないように「入力し分ける」ことでタイムパフォーマンスを高めています。

入力しにくい文字を単語登録する

単語登録をフル活用する5つ目のコツが、入力しにくい文字を単語登録することです。

たとえば、カッコや記号は「Shiftキー」を押しながら入力しなければなりません。この動作はあたりまえになっていると思いますが、よく考えるとめんどうではないでしょうか?

入力しにくいせいでミスも多いけれど、ほかに入力する方法がないのでしぶしぶ入力している人がほとんどだとわたしは勝手に思っています。単語登録を使えば一瞬で解決するのに!

ではカッコ開きを「c」に登録し、カッコ閉じを「cc」に登録した例を見てみましょう。

この方法は個人的にもっとも気に入っている単語登録です。「Shift+8」「Shift+9」をわざわざ押して入力していた過去の自分に、タイムマシーンで会いに行って真っ先に教えたいほど!

ちなみに、カッコ開きとカッコ閉じを合体させて「( )」のように登録する方法もありますが、別々に入力するほうが、「←キー」や「→キー」を押さなくていいぶんスピーディです。

ほかに「入力しにくい文字」といえば、同音異義語が代表でしょう。たとえば「昨日」という言葉は、同音異義語である「機能」と競合して入力しにくいですよね。「昨日」と入力したいのに「機能」と入力してしまい、入力し直したらまたしても「機能」を選んでしまってイライラしたことのある人は多いはず。

そこで「昨日」→「yd(yesterdayの略)」「機能」→「fc(functionの略)」のように登録すると、選ぶという作業がなくなりスムーズに入力できるようになりますよ。

覚えられない言葉を単語登録する

そして単語登録をフル活用する6つ目のコツを紹介しましょう。

それは覚えられない言葉を単語登録することです。わたしは今までに所属していた会社の住所を、一度も覚えたことがありません。ダメ人間だと言われるのを覚悟で書きますが、電話番号も口座番号もなにひとつ覚えたことがないです。

なぜなら、「あd(addressの略)」などに単語登録してしまえば、登録した住所を一瞬で出せるから。

しかも登録するときに間違えて入力しなければ、次回以降は100%ミスすることなく入力できるというメリットもありますよね。

「引っ越し」「引越し」「引越」のように表記のゆれがある言葉でも「hk(hikkoshiの略)→ 引っ越し」のように登録すれば表記を統一できるという利点もあります。

登録するときのルールを考える

最後にお伝えする単語登録をフル活用するコツは、登録するときのルールを考えることです。ルールがなければ、単語登録としてどういう「読み」を設定したかがわからなくなります。

では、わたしが考えた単語登録のルールをいくつか紹介しますね。

(1)カッコの始まりはアルファベット1文字、カッコ閉じは同じアルファベットの2連打

カッコ開き →「c」、カッコ閉じ →「cc」
カギカッコ開き →「k」、カギカッコ閉じ →「kk」

(2)カッコに入った文字は「c」をつける。

(例)→「れいc」
(月)→「げつc」

(3)ハッシュタグには「h」をつける。

#ビジネス #パソコン #起業 #副業 →「びじねすh」
#猫 #ネコ #猫のいる生活 #猫好きな人と繋がりたい →「ねこh」

(4)「裏」の意味をもつ言葉には「セミコロン」をつける

★ →「hs」、☆(※色違い)→「hs;」
アメリカ→「あめりか」、アメリカ合衆国(※正式名称) →「あめりか;」

単語登録をフル活用すれば確実に効率化を図れる

以上、わたしが単語登録をフル活用するために考えた7つのコツです。

なにも考えずに単語登録しても効率化を図れますが、このようなコツを知っておくだけでさらに時短になり、ミスも減り、余計なことに脳のリソースを割かなくて済むようになります。

ぜひ自分だけの「単語登録のわざ」を編み出して、業務を効率化してください。

(文:ヨス

― presented by paiza

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