2023年1015日(日)、埼玉県越谷市にあるイオンレイクタウンkazeにて、「全国小学生プログラミング大会 ゼロワングランドスラム(通称:ゼログラ)」の2回戦(東日本ブロック大会)が開催されました。 全国のプログラミングを愛する小学生たちのなかから、オンラインで開催された予選および1回戦を突破した選手が一堂に介し、さまざまなタイプの競技でスピードや技術、創作性を競いながら勝ち進めていくトーナメント形式の大会です。

このゼログラは2021年度よりスタートし、今回が2回目の開催になります。主催は、一般社団法人ジュニアプログラミング推進機構。また、ヤマハ発動機株式会社やエレコム株式会社をはじめとした、プログラミングの学びを応援する企業が協賛し、子どもたちが活躍するために可能性を広げるサポートをしています。

本記事では、日本一の小学生プログラマを決める決勝戦の前哨戦である、2回戦(東日本ブロック大会)の様子をお届けします。決勝戦出場の切符がかかった、熾烈な戦いぶりをどうぞご体感ください。

>>出場選手インタビューはこちら

3種の競技が揃うプログラミングの総合大会

全国から約1000名の小学生が参加したゼログラのWEB予選。選手たちはオンライン上で、ビジュアルプログラミングツール「Scratch」を用いた問題に挑戦しました。その後、WEB予選を通過した374名によっておこなわれた1回戦では、オンライン一斉競技を実施。

今回はその1回戦を制した小学生36名のうち、北海道から中部エリアの静岡県にわたる、東日本ブロックに居住する18名が、遂に対面で競技を行いました。 

実施する競技は以下の3種類。

1競技:ロボット競技
2競技:Scratch競技1(デバック競技)
3競技: Scratch競技2( ハッカソン競技)

これら3つの競技を3×6チームに編成し、半日かけて対戦。合計点数の高いチームが決勝戦にコマを進めます。

チームの3名は事前にオンラインで顔合わせはしたものの、実際に対面して競技に取り組むのは当日。ほとんどぶっつけ本番ということになります。おまけに年齢も幅広く、小学3年生から小学6年生が揃い、年齢混合のチームです。ただでさえ初めて顔を合わせて話すことは緊張するもの。ですが、大人の予想を飛び越えて冷静な子どもたち。

当日参加した子どもたちからは、「最初は緊張したけれど、競技が始まるとすぐに話すことができた」という頼もしい声や、なかには「同じチームになった仲間のプログラミング作品をオンライン上で見たことがあった」という今どきな出会い方をしていたというエピソードも聞くこともできました。好きなことが共通していたり、目的が明確だったりするとすぐに打ち解けられるようで、驚きですね。

戦略を事前に立てることが競技において要となる

アンバサダーの、千代田まどか(ちょまど)氏など出演者が揃い、観客でにぎわう会場のボルテージもアップしたところで、いよいよ競技がスタート!

1競技は、ロボット競技。ロボットプログラミングの異種格闘技戦です。

小学生を中心に広く学ばれている「アーテックロボ」「KOOV」「SPIKEプライム」のうち、選手たちが得意なロボットをそれぞれ1種ずつ選択して、挑戦。

同一のルールはあるものの、どんなロボットで、どんなプログラムを組んで挑むのかは、個々の戦略に委ねられます。

選手たちは、競技開始前に発表されたフィールド上のターゲットの位置を確認し、ターゲットを落とせるようにプログラムを調整したり、ロボットの形を調整したりするなど、綿密なチューニングを実施します。ロボットを始動させてからは、ロボットに直接触れることができないので、ここでいかに調整するかが大切です。

いよいよ本番。スタート位置においたロボットを、合図の後にスイッチを押して競技がスタート。5分という制限時間を設けていましたが、選手たちのプログラミングレベルが想定以上に高く、大きなミスもなくすべてのターゲットを落としていき、あっという間に競技が終わりました。

「ロボットは、得意不得意があるので、得意なメンバーに任せた」と話す子どもたちも。チーム戦なので、それぞれの得意な分野に挑み、自分が取り組まないときには全力で応援します。声を上げ、手をたたき応援する会場内は熱気に包まれていました。

2種のScratch競技では有識者も感嘆する

 2競技、第3競技はどちらもScratch競技です。同じScratch競技でも内容は異なります。

2競技は「プログラミングの間違い探し デバッグチャレンジ!」。今大会から新たに採用された新種目です。「デバッグ」とはエンジニアだったらご存じ、プログラムの間違いを直す重要な作業。隠された間違いを発見して、正しいプログラムに導いていきます。

2競技で課された課題は5つ。制限時間10分以内にどれだけの数をこなすことができるかが勝敗を決めるポイントになります。

軽々とは解けないレベルの難易度の問題を用意した、と主催者は話します。

しかし、各チームとも次々に課題をクリア。筆者にとっては「なんだか楽勝な内容にしか見えない」と思えるほどの素早さ。一番早く完了したチームはなんと320秒ですべての課題をクリアしていました。

本来はこなせる数の多さが争点になっているはずが、目にも止まらぬ早さでこなすために、5つの課題をこなすのは当たり前に。各チーム平均5分程度で課題をクリアしており、途中からはいかにスピードを上げて競技に臨めるかといった、スピードを争う競技に変化していました。それほどそれぞれ腕に自信があったようです。

デバックは、プログラミングの仕事をするビジネスパーソンとって、毎日の重要な作業のひとつ。それをまだ小学生であるのにもかかわらず、楽々と間違いを探して、正しいプログラムを導いていく姿がさながら社会人のタマゴのごとくでした。

これにはアンバサダーである千代田まどか(ちょまど)さんも「素晴らしいですね」と感嘆しきり。

なかには、「もっと早くクリアしたかった」と悔しそうな顔を見せる選手の姿も。未来は明るいな、と思わず唸る活躍ぶりでした。

最後に行った第3競技は、創作性が求められるゲーム開発限界バトル「ゼログラハッカソン」です。前回大会でも白熱するバトルを繰り広げたハッカソン競技が、本大会でも実施されました。

ルールは制限時間30分以内に、いくつかの条件をクリアしつつ、オリジナル要素も盛り込みながら、ゲーム開発にチャレンジするというもの。

まずはゲームとして成立することが大切ですが、もちろん選手たちはそれを上回る腕っぷりを見せます。機能性はよくて当たり前、面白さがありつつも細やかな装飾や高いデザイン性を実装したゲームプログラムに、感心する出演者たち。

さらにはプレイをする人のことを考えたUIを設計するチームも。「ゲームをするときにプレイヤーが疲れないように、目に優しい色合いやデザインに配慮をしてみました」と設計した選手は話します。思いやりを想定した発想力に、会場から感動の声が上がりました。

想像を超えた技術・クオリティ・創造性の頂点を極める

6チームの各競技のポイントが出揃い、1位通過となったのは、関東ブロック代表のFチームの3名。そして、2位通過したのは東海・中部ブロック代表Bチームのメンバー。2つのチームは、各競技それぞれ均等に高い得点を獲得したことが決勝戦進出へとつながりました。しかし、参加したチームのメンバーは、どのチームも主催者の想像を超えるほどの技術や知識、情熱を持ち合わせていたことは確かです。

このあと全国約1000名の小学生プログラマーの頂点を決める決勝戦が、1126日(日)に東京都豊島区にある池袋・サンシャインシティ 噴水広場にて開催。本年度は決勝戦も引き続きリアル会場で行います。

10月29日(日)に開催された西日本ブロック大会の勝者を交えて、選び抜かれた4チームが揃う大会。一体どんな白熱具合になるのでしょうか。

東日本ブロック大会に参加した子どもたちは、意外にも独学でプログラミングを始めたという人が多くいました。「好き・興味がある」の力は無限大。彼らの好奇心は大人の想像を遥かに超えたクオリティ、技術、創造性を生み出しています。

未来を担う子どもたちのスーパープレイをぜひ観に行ってみませんか。

(取材/文:永見薫、撮影:野田涼

■全国小学生プログラミング大会 ゼロワングランドスラム

決勝戦は1126日(日)@池袋・サンシャインシティ 噴水広場(アルパB1)(東京都豊島区)にて開催

■ゼロワングランドスラム公式ホームページ

https://01-grandslam.jp/

■ゼロワングランドスラム公式SNS

公式Xhttps://twitter.com/01_grandslam
公式YouTubehttps://www.youtube.com/@user-tr3jw6dm8m

 presented by paiza

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