はじめまして!星影(@unsoluble_sugar)と申します。
私はエンジニアとしてのキャリアを基軸に、ガジェット系ブログや技術情報記事の執筆、エンジニアリングコミュニティの運営などを行なっています。

今回は、自分自身の技術情報キャッチアップを兼ねて、「NFT完全に理解した」状態になるための連載記事を書くことにしました。

主に「NFTに興味はあるけどまだ触ったことない」「NFTまわりの開発ってどうやるの?」といった方を対象に、NFTの概要から用語解説、技術構成や実際にNFTを発行してみるところまで、いくつかの記事に分けてお伝えしていきたいと思います。

NFTとは

NFTとは「Non-Fungible Token」の略称で、直訳すると「非代替性トークン」または「非可換性トークン」となります。NFTはブロックチェーン技術(特にイーサリアムなどのスマートコントラクトをサポートするブロックチェーン)を利用して、デジタル資産を一意に表現するためのものです。

This colorful illustration depicts a non-fungible tokens NFT marketplace, units of data stored on a blockchain, associated with digital files such as photos, videos, and audio

以下に、NFTの特徴として代表的なものをいくつか紹介します。

  1. 一意性: NFTは、その所有権を証明する一意のデジタル資産であり、他のものと交換可能な代替可能トークン(例えば、ビットコイン)とは異なります。各NFTは特定の情報(メタデータ)を含み、これによりそれぞれのNFTが独自の価値と属性を持つことが可能となります。
  2. 所有権の証明: NFTは、デジタルアートやその他のデジタル資産の所有権を証明する手段として用いられます。NFTを所有していることは、そのデジタル資産の「オリジナル」の所有者であることを証明するものであり、ブロックチェーン上にその証拠が不変の形で記録されます。
  3. 不変性: NFTはブロックチェーン上に存在するため、一度作成されたNFTの情報は変更することが非常に困難です。これにより、NFTの所有権やその他の重要な情報の不変性が確保されます。
  4. 分割不能: NFTは全体として一つの単位として取り扱われ、一部だけを取引することはできません。これは、例えばビットコインのような代替可能なトークンとは異なる特性であり、NFTの非代替可能性を強調しています。
  5. プログラマビリティ: NFTはスマートコントラクトを用いてプログラムすることが可能であり、これにより、特定のルールや機能をNFTに組み込むことができます。例えば、NFTの売却時にオリジナルのクリエイターにロイヤリティを自動的に支払うといった機能が該当します。

これらの特性により、NFTはデジタル資産の所有権を証明する手段としても注目され、例えばデジタルアート、音楽、ゲームアセット、不動産などといった分野で活用されています。それぞれのNFTは所有権、著作権、証明書などを証明することが可能なため、著作権者にとって新たな収益源となる可能性を秘めています。

ブロックチェーンとは

NFTの理解には、その基盤となるテクノロジーである「ブロックチェーン」について把握することが重要です。ブロックチェーンは、分散型データベースの一種で、取引や契約などの情報の記録を安全に保存するためのシステムです(デジタル台帳と表現されることもあります)。

情報が「ブロック」と呼ばれるデータの単位に格納され、それらが時間の経過とともに連鎖的につながれて「チェーン」を形成するという概念から「ブロックチェーン(chain of blocks)」と呼ばれています。

 

Blockchain concept 3d rendering with blue cubes and chains stands as cryptocurrency digital code chain.

以下、ブロックチェーンの主な特徴としてよく挙げられるものです。

  1. 分散化: ブロックチェーンは一元化されたサーバーではなく、ネットワーク上の多数のコンピューター(ノード)にデータを分散して保存します。これにより、システムの透明性が向上し、単一障害点がなくなるため、システム全体の耐障害性が向上します。
  2. 不変性: 一度ブロックチェーンに情報が追加されると、その情報は変更することが非常に困難になります。これは、各ブロックが前のブロックのハッシュ(一種のデジタル指紋)を含むためで、これによりブロックは連鎖的にリンクされます。従って、過去の情報を変更しようとすると、そのブロック以降のすべてのブロックのハッシュを再計算する必要があり、これは計算上非現実的なほど困難です。
  3. 透明性: ブロックチェーンの取引履歴は公開されており、誰でも確認することができます。これにより、取引の透明性が向上し、不正や詐欺が防止されます。
  4. セキュリティ: ブロックチェーンは高度な暗号化技術を使用しています。これにより、取引やデータのセキュリティが強化され、不正アクセスや改ざんから保護されます。

これらの特性により、ブロックチェーンは金融取引(暗号資産)だけでなく、サプライチェーン・マネジメント、医療記録、投票システム、不動産取引、デジタルアイデンティティなど、さまざまな産業で広く利用されています。

また、ブロックチェーンはスマートコントラクトの基盤としても機能し、これにより自動化され、信頼性の高い取引が可能になります。スマートコントラクトは自己実行型のプログラムで、事前に定義された条件が満たされたときに自動的に実行されます。これは中間者を取り除くことで、取引の効率性と信頼性を向上させることができます。

ブロックチェーンの潜在的な応用範囲は広大で、その技術は多くの産業に変革をもたらす可能性を秘めています。しかし、技術が成熟するにつれて、スケーラビリティ、エネルギー消費、プライバシー保護など、いくつかの重要な問題を解決する必要があります。

スマートコントラクトとは

スマートコントラクトは、プログラムされた契約や取引ルールを自動的に実行するデジタルプロトコルです。これは、特定の条件が満たされた場合に自動的に実行されるコードで、ブロックチェーンネットワーク上で動作します。スマートコントラクトは、中央の調停者や信頼できる第三者が不要な、自律的な取引を可能にします。

Smart contract execution on blockchain, users are exchanging assets and cryptocurrency, finance and technology concept

以下に、スマートコントラクトの主な特徴を紹介します。

  1. 自動化: スマートコントラクトは、契約の条件が満たされたときに自動的に実行されます。これにより、手動の介入や管理が不要になり、取引の効率性が向上します。
  2. 信頼性: スマートコントラクトはブロックチェーン上で実行されるため、一度契約がブロックチェーンに追加されると、その内容は変更することが非常に困難になります。これにより、契約の信頼性と不変性が確保されます。
  3. 透明性: スマートコントラクトの内容はブロックチェーン上で公開され、誰でも確認することができます。これにより、取引の透明性が向上します。
  4. セキュリティ: スマートコントラクトは、ブロックチェーンの暗号化と分散化による保護を受けます。これにより、不正アクセスや改ざんから保護されます。
  5. コスト削減: スマートコントラクトにより、中間者や仲介者が不要になるため、取引コストを大幅に削減することが可能です。

スマートコントラクトは、金融、保険、不動産取引など、多様な業界やアプリケーションで利用されています。特に、スマートコントラクトは暗号資産とNFTの取引において、所有権の移転と支払いの自動化を行う役割を果たしています。

NFTの問題点

NFTには前述のようなメリットがある一方、いくつかの問題点があることも事実です。

  1. 環境影響: NFTは主にエネルギー消費が大きいプルーフ・オブ・ワーク(PoW)ベースのブロックチェーン、特にイーサリアム上で作成されるケースが多いです。これにより、NFTの作成や取引が地球温暖化に影響を与える可能性があります。
  2. 知的財産権の問題: NFTの作成や販売は簡単であるため、著作権を侵害した作品がNFTとして販売される可能性があります。また、取引されたNFTが物理的なアートワークやデジタルアートワークの著作権を証明するものであると誤解されることもありますが、多くの場合、NFTは作品自体ではなく作品の「版権」を所有することを証明するものです。
  3. 価格の不安定性: NFT市場は非常に投機的であり、価格の変動が激しいです。一部のNFTは高額で取引される一方で、大多数のNFTは低価格で取引されており、価格を予測するのは難しいです。
  4. 規制の不確実性: NFTは新しいテクノロジーであり、その法的な地位や規制はまだ不確定であり発展途上です。これにより、NFTに投資する際のリスクが高まります。
  5. スケーラビリティの問題: NFTの作成や取引にはブロックチェーンネットワークが必要ですが、現状のブロックチェーン技術は大量の取引を処理する能力に限界があります。これにより、NFTの取引に高い手数料(いわゆるガス代)が発生したり、取引の処理が遅くなったりする可能性があります。

NFTの利用範囲が広がりつつある中、これらの課題に対する解決策も求められています。NFTという新たな技術が浸透するには、今後のテクノロジー面での進化と共に、社会がどのようにそれを受け入れるかに大きく左右されることでしょう。

次回予告

今回はNFTの概要について、サラッと紹介しました。普段聞き慣れない言葉がたくさん登場し、なかなか頭に入らなかったでしょうか?NFT業界は情報の流動性が高く、キャッチアップするにもひと苦労です。NFTに興味を持ったとしても、その概念の理解や用語の多さにハードルを感じてしまう方もいるかもしれません。

しかしながら、土台となる部分さえ抑えておけば、全体像を把握するのも容易になるはずです。本連載記事でNFTに関する知識を吸収していただき「なんだ、実際に触ってみるとそれほど怖くないな」と思ってもらえたら幸いです。

次回はNFTを取り巻く用語について、解説していきます。
私と一緒に「NFT完全に理解した」と言えるまで、お付き合いいただけると嬉しいです。

(文:星影

― presented by paiza

Share

Tech Team Journalをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む