わたしは現役で製造業の社内SEをやっており、社内向けヘルプデスクやセキュリティ関係を担当しています。加えて、副業でLPを作ったりWordPressを触るプログラマーもやっています。

ただ、エンジニアになりたいと思ってなったわけではありません。大学では情報系とはまったく関係ない分野を学び、新卒で入った会社では毎日工場に出勤するような職種でした。わたしが送りたい人生を実現しようとしたら、偶然エンジニアにたどり着いただけです。

エンジニアに大した思い入れのない私が、エンジニアになるきっかけはなんだったのか、どのように挫折せず勉強したかなどを紹介します。

エンジニアのきっかけはブログ運営

わたしは旅行が趣味です。学生時代からバックパッカーをやっていて、社会人になってからは経験を記録に残したいと思い、ブログ運営と動画撮影を始めました。2023年現在から5、 6年前なので、わたしが26歳くらいのときだったと思います。

動画撮影はすぐやめてしまった反面、ブログは性に合ってたようで今でも続けています。
趣味を記録・発信するためにブログ運営でHTMLやCSS、PHPを触ったことが、エンジニアの第一歩です。

プログラミングの勉強は挫折しがちと言われがちですが、わたしの場合は趣味の一環だったためか、苦も無くスキルが身に付きました
プログラミングを勉強したというより、プログラミングを使って遊んだ感覚です。

ちなみに、わたしは大学時代プログラミングの講義を取っていましたが、お情けで合格点を取れたレベルの理解度でした。
興味があったわけでなく必須だったから受講しただけ。決してプログラミングが得意だったわけではありません。

旅した過ぎてフリーのWebエンジニアに転向しました

わたしが最初に就職した会社は自動車メーカーでした。自動車業界には祝日が出勤の代わりに長期連休が10日以上ある独特な勤務体系があります。自動車業界に入った理由は、長い連休で旅行をしたかったからです。
ただ、激務で休日出勤もたくさんあったので、思うように旅行できなかったのが現実でした。

少ない休みで旅行をして、ブログでの発信も続けていました。ただ、やはり連休が少ないと行ける場所やできることも限られてきます。旅行をもっとしたい気持ちが湧きあがり、3年ほどで退職しました。その後は、ブログ運営で若干触れるようになったHTMLやCSS、PHPを使い、Web制作やWordPress関係をメインとするフリーランスエンジニアに転向しました。

もちろん、すぐに仕事が取れたわけではありません。まともなエンジニア経験もない素人に仕事の依頼をしていただける方はいません。そのため、コネで友人の会社のホームページを作ったのが、最初のエンジニアとしての仕事でした。

駆け出しのころは、周りにエンジニアの知り合いがおらず、相談できる人もいなくて非常に大変でした。ググっても本で調べても疑問がなかなか解決できません。ジモティで探した講師に教えてもらい、何とか完成までたどり着きました。

最初の依頼を終え、未経験で大したポートフォリオもなく、フリーランスでいることの厳しさを感じたわたしは、ブラウザで動くオリジナルのWebツール作成を始めました。Webツールは広告を付けてお金を稼げますし、ポートフォリオにもなるのでオススメです。

Webツールを作っていたころは「PCだけでお金を稼いで長期間の旅に出かけたい!」という思いが強く、わからないことだらけで大変ではありましたが、諦めようとはまったく思いませんでした。

最初に作った友人のサイトやWebツール、趣味で続けているブログをポートフォリオとし、クラウドソーシングやSNS経由で徐々に仕事を獲得できるようになりました。

当時の目標は「1か月に10万円稼ぐ!」でした。経験上、10万円あれば物価の安い国でギリギリ生活できることが分かっていたからです。

初めて月10万円の目標を達成したある日、収入の安定感はまったくありませんでしたが、ベトナムに行き仕事をしながら旅行を始めました。

ベトナムを選んだ理由は、物価が安かったこと、通信環境が悪くないこと、東南アジアの端なので旅の起点としてよいと思ったからです。

2018年当時、安いドミトリーなら1泊1,000円程度でした。
また、パスワード付きのWi-Fiがホテルやカフェにあり、多少遅かったですが通信にひどく困った記憶はほぼありません。
また、一番長くいたのはベトナムでしたが、周囲のタイやラオス、マレーシアにも転々としていました。

当時のわたしは、生活できる程度には稼げて念願の長期旅行も始まり、どうにか頑張って生きていこうという気持ちであふれていました。

おいしくない仕事しか取れなくて心が折れそうになる

ベトナムをはじめ海外に1年ほどいましたが、当時のわたしのエンジニアとしての経歴もスキルも本当にショボかったので、おいしい仕事が取れませんでした。せっかく海外にいるのに、安いドミトリーにこもって働きづめです。

スキルや知識の足りなさを実感し、少しずつ減っていく貯金のこともあり、心が折れそうになりました。それでも海外での生活を続けられた理由は、旅行しながら働くこと自体が楽しかったからです。

2019年から2020年にかけての年末年始で、日本の実家に戻っているときコロナ騒ぎが始まり、数か月後に日本が入国制限をかけました。念のために海外に行くのを控えていたことが功を奏し、海外で身動きが取れなくなることはありませんでしたが、すぐに国内でも旅行がしにくくなりました。

フリーになった最大の目的である旅行もできないため、スキルアップを狙い就活を始めました。

景気がよいとはいえず、当時の求人は多くなかったです。
しかし、自分で勉強し仕事を獲得して生活していた経験を評価していただける企業が数社ありました。
いくつか内定はいただきましたが、元々やっていたホームページ制作を続けたいと思い、小さなWeb制作会社に入社しました。

エンジニア就職も結構楽しい!

就職は、独学では学べない業界のお作法のようなものも学べ、非常に有意義だと感じています。

たとえば、独学ではわたしが読みやすいコードを書いていましたが、チームでは全員が読みやすいコードを書かなくてはいけません。自分だけで開発するときは「動けばいい」と考えて命名規則やコメントを深く考えていませんでした。そのため、数か月後に自分が見たときでさえ解読に時間がかかる状態でした。

問題なく動くシステムをつくることは最低限で、さらに保守性や可読性、セキュリティなどさまざまな観点も必須であることを学びました。

わたしは、エンジニアとして就職して3年程度経った今でも、会社員を続けています。
帰国後に入社したホームページ制作会社は報酬面で希望と合わず退職しましたが、今は地元の製造系企業で社内SEをやっています。

必死に安い報酬でプログラミングしていたときも充実してましたが、就職して組織に入ると大きな仕事もできるので違う楽しさがあります。連休もありますしリモートワークもできるので、そこそこ旅もできます。

企業によっては、自宅からしかリモート接続を許可していないところもあるでしょう。
ただ、わたしが就職した企業は少し緩めで、ポケットWi-Fiと覗き見防止フィルムを使うなら自宅外でのPC利用を許可されています。

そのため、北海道や沖縄などに行きながらでも仕事ができます。
平日は7時から16時や12時から21時など時間をズラして業務し、余った時間でホテル周辺の散歩やツーリングをするのが楽しみです。
週末はお休みなので、次の目的地に向けてバイクを走らせることもあります。

理想の生き方をそこそこ現実にできたのかな、と思っています。

エンジニアになるために必要なことはポジティブな目標の存在

上記の経験を通して、プログラミングのみならず物事を続けるのに最も大切なことは、ポジティブな目標の存在だなと実感しました。

わたしは、その時々に「長期の旅行をする」「月に10万円を稼ぐ」「できるだけ長く海外にいる」というポジティブな目標を持っていました。
ただ、本当に大変でしたし、少しずつ減る貯金という現実に心も擦り減っていったのも事実です。

今の仕事がツラくて辞めたいからエンジニアを目指したとしても、隣の芝は青く見えるというもので、エンジニアを続けるのは難しいかもしれません。
なぜなら、エンジニアも楽ではないからです。IT技術は日進月歩で進化していくため、覚えることが莫大にあります。夜間や休日にシステムに不具合がおきて緊急対応せざるを得ない場合も少なくありません。事実、深夜2時に電話で起こされてエラーを直した経験も、一回や二回ではありません。

ただ、エンジニアはリモートワークやフレックスで勤務形態の自由度が高めです。完全週休二日が主流で休みも多めです。エンジニアの働き方が、わたしの「旅を楽しみたい」というポジティブな目標にピッタリと合いました。

あなたがエンジニアになりたい理由はなんでしょうか。
ChatGPTを使ってみたら技術に感動して興味を持った、猫を飼っているから在宅勤務できる職種がいいなど、なんでもよいです。ポジティブな理由を持てば、勉強は苦も無く続けられ、気が付いたらエンジニアになっているでしょう。

本記事が、みなさまのエンジニアへの道の第一歩になるとうれしく思います。

(文:藤井宏治

presented by paiza

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