「世界のラストワンマイルを最適化する」をビジョンに掲げる株式会社オプティマインドは、組合せ最適化アルゴリズムとデータ解析をコア技術とし、ラストワンマイルに特化した自動配車クラウド「Loogia」を開発・提供するスタートアップです。

「どんなにデジタル化が進んでも、私たちの生活からものがなくなることはありません。ものが届くという当たり前を守り、人々の幸せな生活をテクノロジーで下支えしたい。それが私たちの使命だと思っています」

そう語るのは、代表取締役社長の松下健さんです。最先端の技術で「物流クライシス」という社会課題に挑む松下さんに、大切にしている仕事のルールを聞きました。

Rule1. 謙虚かどうか問い続ける

私が人生で一番大切にしているのは「謙虚であること」です。今の自分があるのは、決して自分の力だけでなく、いろいろな方の支援があってこそだと、常に意識するようにしています。そうしないと、勘違いしちゃうんですよ。

勘違いした瞬間に、お客様に言葉や想いが届きにくくなったり、社員や家族に迷惑をかけてしまったりすると思うので、いつも「誰々さんのおかげ」と認識するように心がけています。

そして、役職や立場によって、相手を上に見たり下に見たりしないこと。相手はひとりの人間であり、それぞれに存在価値があると認め、敬意を持ち続けることを昔から意識しています。

とはいえ、私もうまくいっていると調子に乗ってしまうタイプなので、自戒を込めて問い続けるようにしているんです。株主や先輩経営者の方々にもよく指導をしていただけるのですが、これはとてもありがたいなと思っています。

ときには叱られることもありますが、注意してもらえるのも、謙虚でいればこそ。「こいつはもういいや」と思われたら、何も言わず離れていってしまいますから。そうならないよう、叱ってもらえる状態を保ち続けることを大切にしています。

Rule2. お金と時間はきちんとする


「お金と時間はきちんとしなさい」は、私が小学生のときに母親に言われた言葉です。信用はささいなことで一気になくなるけれど、積み重ねていけるものでもあると思っています。

お金は、借りた側は忘れてしまいやすいけれど、貸した側はすごく気になるじゃないですか。でも、催促しづらい。だから私は少額であっても人にお金を借りずに済むよう、常にリュックに数千円の予備を入れてあります。

どうしても人にお金を借りなくてはならないときには、その場でリマインダーをセットして、次の日には絶対に返すようにしています。お金にだらしない人になりたくないんです。

時間も、予定の5分前になってもまだ準備ができていないとか、連絡もせずに遅刻するとかは、だらしないと思います。相手の時間は、取り戻せないものですから。お金を借りてうやむやにする人や時間にルーズで傲慢な人からは、だんだん人は離れていくでしょう。

お金と時間にルーズにならないように自分を律することは、相手を尊重する行為ですが、自分の信用が積み重なるので、結局自分のためにもなっていると思います。

Rule3. 「伝える」ではなく「伝わったか」を意識する

「伝えたかではなく、伝わったかどうか」は、先輩経営者に教えてもらった言葉です。代表の立場ではとくにメッセージングが大事ですが、“伝えている”という姿勢は、すごく自己中心的だと思います。自己満足で発信しても伝わっていないこともありますから。

大事なのは、相手にきちんと伝わったかどうか。どれだけ噛み砕いて説明したとしても、事実として伝わっていないのであれば、つまり相手がこちらの意図を理解できていないようなら、伝え方をあらためなくてはなりません。

ITリテラシーが高くない相手に説明するときも「どうしてこの言葉がわからないんだ」ではなく、伝わっていない事実を認め、どうすれば伝わるかを模索しながらプレゼンや発信をする必要があります。

伝えただけで満足すると、コミュニケーションに齟齬が生まれて、結果的にいろいろな問題が起きると思うんです。「伝える」のはあくまで手段であり、「伝わった」という目的に対してどう自分たちがアプローチしているかをすごく大事にしています

絵を使って説明するほうがいいのか、言葉のほうがいいのか。プレゼンの後にドキュメントも共有する二段構えのほうがいいのか。会議室はうるさくないか、どういう場だと伝えやすいか。こちらの都合ではなく、相手の目線で考えることが大事です。

名古屋・東京・大阪に拠点がある弊社では、毎週月曜日に「松下ピッチ」と名付けたリアルタイムのプレゼンを15分間おこなっています。そこで今私が考えていることをメンバーにシェアし、少し日を空けてから記事化して社内にもう一度発信して、“伝わる”ことを意識しています。

社長の仕事は、会社のビジョンやミッション、こういう組織でありたいというフィロソフィーの浸透だと思うのですが、社長がわーっと言っても伝わっていなかったら、ただの裸の王様。それぞれが腹落ちしやすい形に変えるのが大事だと思っています。

Rule4. かっこつけずに、恥をかける人でいる


私は「かっこいいリーダーでいる」のは、あまりよい状態ではないと思っています。隙がある、ちょっとダサいふるまいもできるリーダーの下のほうが、働きやすいと思うんです。

ついムキになったり、自分を大きく見せようとしたりしがちですが、そういう態度は見透かされます。なので、自分が失敗したこと、間違っていたことをちゃんと認められる人、ダサくなることを厭わず、恥をかける人でいたいと思っています。

これは、とくに社内に対して意識していることです。組織のトップがそういう感じでいれば、「社長もあれだけ失敗しているんなら……」と社員も失敗を恐れない気持ちになると思います。そういう空気感が会社のカルチャーになっていくのではないでしょうか。

Rule5. 笑顔が印象的な人になる

「○○さんってどういう人だっけ?」と目をつぶって思い浮かべたとき、真顔が出てくるのか、怒った顔が出てくるのか、笑った顔が出てくるのかって、人によって違うと思うんですよ。

私も知り合いの顔を思い浮かべたときに、笑顔の人もいればそうじゃない人もいます。でも、自分は誰かに思い出してもらえるときに、めちゃくちゃ笑顔の人間になりたいなと思っています。そのほうが相手に幸せな気持ちになってもらえるし、自分も幸せになれるので。

疲れてストレスを感じたときは、引きずらないように、とにかく睡眠をとるようにしています。寝ちゃだめだと思わず、とことん眠ります。16時間寝たこともありますよ(笑)。

不機嫌なリーダーは本当にダメで、上機嫌でいることは最低限のマナーだと思っているので、いつも機嫌よくいられるように自分自身をコントロールしています。

Rule6. 今を楽しむ


「今苦しいのを我慢して何かを犠牲にした結果、未来に見返りがある 」という考え方は、すごく不健全で、心身にとってよくないと思います。不確実な未来のために、今確実にある何かを見切ることは、私にとっては不幸なことです。

経営は長期戦なので、目指すものに対して今が幸せかどうかを大事にしないと、どこかの時点でつぶれてしまうと思っています。常に、自分がやりたいことをやれているか、実現したい未来に対して今挑めているか、大変なプロセスでも楽しめているのかを大事にしています。

大変なこともたくさんありますが、「人生ってこんなに大変なことも起きるのか、おもろ!」というスタンスでいたいですね。今を犠牲にして、「なんでこんなことしてるだろう」と思いながら一発逆転を狙うようなことは、したくありません。

未来のために今の自分を不幸にするのは、自分に対する裏切りだと考えています。

Rule7. ちゃんとサボる

毎日ハードに働く中で、ジェットコースターのような感情の起伏もありますが、「しんどいな」「今自分はいっぱいいっぱいだな」と思ったときには、サボっちゃダメだと思わずにちゃんとサボることを意識しています。眠るとか、ちょっとお酒を飲むとか、ぼーっとするとか。本当はやらなくてはならない仕事があるけれど、1日だけはオフにするとか。

「ちゃんとサボる」は「だらける」とは違います。今、自分が一生懸命に取り組めていないとわかっているのに、自分に甘くなって、だらだら続けるのはよくない状態です。本気で仕事をして、再び全力で仕事をするために休むことが「ちゃんとサボる」だと思っています。

メディアで「1日3時間しか寝ていません」といった経営者やストイックな人たちの話を見かけるかもしれません。でも、みんながそんなに強くはないし、少なくとも私はそういうタフなタイプではないので、苦しいときはちゃんとサボるし、眠ります。

事業とは、お客様に継続的に価値提供をし、社員の雇用を続けるものだと思ってるので、長い距離を無理なく走り続けるために、ちゃんとサボることが大事だと思っています。

オプティマインド
https://www.optimind.tech/
Loogia
https://loogia.jp/

(取材/文/撮影:ayan

presented by paiza

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